トクホ認定されていたエコナの発ガン性はウソ?ホント?

トクホ認定されていたエコナの発ガン性はウソ?ホント?エコナ油について考えました。

『コレステロールを下げる』『お腹の調子を整える』
体への効果を謳うトクホの商品が数多くありますね。

食用油では、1999年に花王の『健康エコナクッキングオイル』がトクホ第一号として登場しました。
しかし10年後の2009年、エコナは販売を中止し、自らトクホ認定を失効しています。

エコナはなぜ販売を中止し、認定を取消さないといけなかったのでしょう?
トクホの商品が溢れている今、エコナ騒動はすべての人に知ってほしい話です。

トクホとは?

まずトクホとは、特定保健用食品のこと。
体内の機能に影響を与える保健機能成分を含んだ食品です。

血圧やコレステロールなどを正常にする助けをしたり、お腹の調子を整えたりする効果があることを科学的に証明し、その効果を表示する許可を国から得ています。

トクホのマークといえば、人がKの字に伸びているマークが印象的ですよね。
このマークが見えただけで、健康的な食品だと思っちゃいます。

お茶や清涼飲料水など、さまざまな食品からトクホが登場し、2015年現在のトクホ認定商品は1500品目以上にまで増えています。

食用油で初めてトクホ認定商品が登場したのは1999年。
花王の『健康エコナクッキングオイル』です。
『体に脂肪がつきにくい』という効果から、多くの人に支持されました。

人気爆発エコナの油

エコナはなぜ脂肪がつきにくいのか、それは脂質が関係しています。

一般の油の多くは、消費されるまでに時間がかかり、脂肪となって蓄積されやすい脂質(トリアシルグリセロール)です。
エコナはこの脂質を、すぐに消費され体内に蓄積されにくい脂質(ジアシルグリセロール)へ、人工的に変化させたのです。

このことから、体に脂肪がつきにくい油としてトクホ認定され、エコナ関連商品は年間約200億円を売り上げる人気商品となったのです。

しかし販売開始から10年後の2009年、エコナに衝撃的なニュースが流れます。
それは『エコナに発ガン性のある成分が含まれている』という内容でした。

エコナは危険な油!?

この衝撃的なニュースは2009年3月、ドイツの研究所の発表が発端です。
その内容とは…

・赤ちゃん用ミルクに含まれる油にグリシドール脂肪酸エステルが含まれている
・グリシドール脂肪酸エステルそのものには発ガン性の不安はないが、分解すると発ガン性があるといわれているグリシドールができる可能性がある

このことから赤ちゃん用ミルクのグリシドール脂肪酸エステルの含有量を減らしていこうというものでした。

グリシドール脂肪酸エステルは植物油に微量に含まれていますが、エコナには他の食用油よりも最大182倍も多く含まれていたのです。

エコナは発ガン性の危険がその分高くなるという考えから、メディアは体に害があるものを売ったと強く批判。
エコナを使用していた消費者は、怒りや悲しみでパニック状態となりました。

騒動が大きくなり、花王はエコナ関連商品の製造・販売を中止。
2009年9月、エコナは店頭から姿を消したのです。

その後、花王はエコナのグリシドール脂肪酸エステルの含有量を減らす研究と安全性の確認を開始。
2010年8月『エコナを食べ続けても発ガン性の懸念はない』と結論づけました。

発ガン性はウソ?ホント?

発ガン性への不安がない!?どうして、そう言えるの?

今回問題となったグリシドール脂肪酸エステルは、国際がん研究機関(IARC)による発ガン性の危険レベルにおいて5段階中下から2番目の『ヒトに対する発ガン性については分類できない』というもの。カフェインやお茶と同じグループです。

そして、グリシドール脂肪酸エステルが分解されたときにできるグリシドール。
ドイツの研究所が危険視していたグリシドールの危険レベルは、上から2番目『ヒトに対して恐らく発ガン性がある』でした。

それなのになぜ、発ガン性の不安がないと言えるのでしょうか…?

それはグリシドール脂肪酸エステルが、必ずしもグリシドールに分解されるかは不明だということ。

そして、仮にエコナの油に含まれるグリシドール脂肪酸エステルが100%グリシドールに分解されても、発ガン性のリスクはフライドポテトやビスケットと同等。
つまり、摂取規制がない食品と同じレベルということでした。

このことから、エコナは発ガンの危険性が低く、懸念する必要はないという答えにたどり着いたのです。

まとめ

エコナの油は販売中止から6年が経とうしていますが、まだ販売再開には至っていません。
グリシドール脂肪酸エステルの低減製法を進めているとのことですが、エコナがまた販売されたら、あなたは購入しますか?

狂った油といわれるトランス脂肪酸もそうですが、そもそもグリシドール脂肪酸エステルが植物油に含まれているのなら、すべての食用油が含有量を表示し、消費者がどれを選ぶかを決めるべきだと思います。

少しのリスクも避けたい人、フライドポテトと同じなら気にしない人、考えはそれぞれです。
ちなみに国際がん研究期間が示す、発ガン性の危険レベルの1番上にはタバコやアルコールが入っています。この2つもそれぞれの責任に任されていますね。

トクホは薬ではなく、表示されている効果に特化した食品です。
選ぶ側の私たちが表示内容を理解し、自分に必要か見極めなければいけません。

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