活性酸素より危険!細胞を壊して病気を招く、過酸化脂質とは

活性酸素より危険!細胞を壊して病気を招く、過酸化脂質とは

『活性酸素は体をサビさせる』『老化や病気の元凶は活性酸素』など、近年、活性酸素が体に与える影響が注目されています。

しかし、活性酸素だけを注意しても、老化や病気を防げないって知っていますか?

なぜなら、病気や老化を引き起こすきっかけは、活性酸素ではなく活性酸素と油が結びついた過酸化脂質の影響の方が強いから。
過酸化脂質は、活性酸素よりも体に深いダメージを与えて、病気や老化を引き起こすというのです。

では、病気や老化を防ぐためにも、活性酸素よりも危険な過酸化脂質について、学んでいきましょう。

活性酸素よりも危険な、過酸化脂質に注意!

そもそも活性酸素と過酸化脂質が、私たちの体を攻撃することはまちがいありません。
しかし、それぞれが体に与える影響は全くちがいます。

まず活性酸素は、私たちが呼吸によって体内に取り込んだ酸素の一部。
本来は、外部から侵入した菌やウイルスを撃退する、免疫システムとして働いています。

ところが、活性酸素は増えすぎると、誤って正常な細胞まで攻撃するのです。
活性酸素に攻撃された細胞は傷つき、酸化して機能が低下。
その影響が組織全体にまで広がり、老化や病気が引き起こされると考えられています。

しかし、活性酸素による攻撃は細胞の表面だけなので修復も早く、重病にまで至りません。
それよりも危険なのは、活性酸素と油が結びついた過酸化脂質です。

細胞を内側から破壊する、過酸化脂質

活性酸素は体内の油と結びつくと、過酸化脂質という物質に変わります。
先ほど説明した活性酸素は、素早く細胞の表面を傷つける攻撃性がありました。
一方、過酸化脂質は細胞の内側に蓄積して、ゆっくり細胞を破壊していく蓄積型の攻撃で体内にダメージを与えます。

ちなみに、過酸化脂質に変わる油はリノール酸やDHAなど、オメガ6系やオメガ3系と呼ばれる種類だけ。
この2種類の油は、私たちの細胞膜に多く含まれています。
そのため、細胞膜に含まれる油が過酸化脂質になり、細胞の中へ侵入していくのです。

私たちの体は、血液や臓器、筋肉・神経・骨など、全身が細胞で形成されています。
そのため、肌細胞であれば肌の老化、血管だと動脈硬化、臓器ならがんなど、過酸化脂質は発生する場所によって、さまざまな病気のきっかけをつくります。

過酸化脂質の攻撃に速効性はないものの、細胞を内側からじわじわ破壊するため、細胞自体のダメージが大きく、修復にも時間が必要です。

このように、活性酸素よりも細胞を内側から破壊する過酸化脂質の方が、大きな病気や老化につながりやすく危険性が高いのです。

活性酸素を減らして、過酸化脂質の発生を抑える

細胞を内側から破壊して、さまざまな病気のきっかけをつくる過酸化脂質。
老化や病気を予防するには、この過酸化脂質を発生させないことが重要となります。

過酸化脂質を防ぐポイントは、次の2つ。
活性酸素の抑制と体内の脂質バランスの調整です。
では、ひとつ目の活性酸素の抑制から順に見ていきましょう。

そもそも過酸化脂質は、活性酸素が体内の油と結びつくことで発生しました。
そのため、過酸化脂質の材料となる活性酸素を抑えることができれば、過酸化脂質の抑制にもつながります。

とはいえ、活性酸素は私たちの呼吸によって、体内に取り込まれた酸素の一部。
さすがに、呼吸を止めることはできません。

しかし、体内の活性酸素が増える原因は呼吸だけでなく、ストレスや喫煙、過度な飲酒、紫外線、電磁波、大気汚染なども関係しています。
すべてを排除することはできませんが、自分のできる範囲で活性酸素の増える原因を減らしていきたいものです。

また、果物に多く含まれるビタミンC、アーモンドに多いビタミンE、緑茶に含まれるポリフェノールなどは、抗酸化成分といって体内の活性酸素を消す作用があります。
抗酸化食品を摂取することで、さらに体内の活性酸素の量を抑えることができます。

サラダ油をやめて、魚を食べる!

過酸化脂質を防ぐ2つ目のポイントは、体内の脂質バランスの調整です。
現代は、肉やサラダ油の摂取量が多い反面、魚の摂取量は減少傾向。
そのため油の摂取内容が偏り、体内の脂質バランスは乱れています。

特に、サラダ油などに多く含まれるリノール酸(オメガ6系)を過剰摂取し、魚の油に多いDHAなど(オメガ3系)が不足しています。
先ほど、これらの油は細胞膜に多く存在し、活性酸素と結びつくと過酸化脂質に変わることをお話しました。

しかし、2種類の油の体内作用は全くちがいます。

リノール酸は体内に入ると、炎症物質を発生させるアラキドン酸へと変貌。
アラキドン酸が過酸化脂質に変われば、炎症はさらにひどくなり、新たな活性酸素も発生します。
活性酸素が増えれば、過酸化脂質の発生量も増えるため、細胞はさらにダメージを受けるのです。

一方、DHAなどのオメガ3は、活性酸素に対抗できる抗酸化力や、アラキドン酸の炎症を抑える抗炎症作用があり、本来は過酸化脂質を防ぐ力となります。
しかし、現代人はオメガ3が不足しているため、アラキドン酸の炎症や活性酸素を抑える力が弱く、過酸化脂質の発生を防げていません。

そのため、過酸化脂質の発生を促し、炎症を悪化させるリノール酸を減らして、代わりに活性酸素や炎症を抑えるオメガ3を摂取する必要があります。
偏った脂質バランスを整えることが、過酸化脂質の抑制につながるのです。

まとめ

活性酸素は菌やウイルスから私たちの体を守る反面、増えすぎると細胞を傷つけたり、過酸化脂質へと変貌して病気を引き起こすきっかけをつくります。

そのため、喫煙や過度の飲酒を控えたり、紫外線対策、ビタミン類などの抗酸化成分の摂取をおこなうことで、活性酸素の発生をできるだけ抑えたいものです。

また、体内の脂質バランスを整えるために、イワシやサバなどの青背の魚も積極的に摂っていきましょう。

ちなみに、亜麻仁油やえごま油に豊富に含まれているα-リノレン酸も、現代人が不足しているオメガ3の一種です。
小さじ1杯強をサラダにかけて食べるだけで良いので、ぜひ試してみてください。

活性酸素の抑制と体内の脂質バランスを整えて、元気で健康な体を維持しましょう。

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