揚げもの調理に最適の米油!米油特有の成分が油の酸化を防ぐ
菜種油やオリーブオイル、ココナッツオイルなど、食用油の種類はじつに豊富です。
そのひとつに、お米からできた米油という油があるのは知っていますか?
米油は油切れがよく、天ぷらなどをカラッと揚げることができます。
その秘密は、お米にしか含まれていないガンマ-オリザノールという成分。
油の酸化速度を遅らせる、強力な抗酸化成分です。
私たちが食べ親しんでいるお米からできる米油とは、どんな油なのでしょう?
早速、米油について学んでいきましょう。
米ぬかから採れる米油
米油はお米を精製するときにできる、米ぬかが原料の油。
揚げものがカラッと揚がり、油の酸化速度も遅いことから、ポテトチップスやかりんとうなどの揚げ菓子によく使われます。
また、揚げもの時に発生する油酔いの原因であるアクロレインの発生量が少ないため、油酔いや胸焼けが起こりにくい特徴があります。
熱に弱い植物油が多いなか、米油は揚げもの調理に向いてそうです。
では、脂肪酸組成から熱への耐性度をチェックしてみましょう。
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飽和脂肪酸
18.4%
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オレイン酸
41.1%
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リノール酸
36.3%
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α-リノレン酸
1.4%
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その他
2.8%
最も含有量の多いオレイン酸と3番目に多い飽和脂肪酸は熱に強い脂肪酸。
2つ合わせて、全体の6割弱を占めます。
そして、残りのリノール酸とα-リノレン酸は熱に弱い脂肪酸。
その他には、油の酸化を防ぐ抗酸化成分が含まれています。
このことから、米油は熱に強く加熱調理向きの油といえます。
しかし、リノール酸の含有量が少し多いのが難点。
リノール酸は現代人が過剰摂取している脂肪酸です。
リノール酸の過剰摂取はアレルギーや動脈硬化、ガンや認知症などを引き起こす原因となります。
毎日の米油摂取は、体内のリノール酸を増やしすぎる恐れがあります。
そのため米油は毎日使うのではなく、揚げものだけに使用するなど、使い分けの油として利用しましょう。
米油には有効成分がたっぷり
リノール酸の量は気になりますが、米油にはたくさんの有効成分が含まれています。
代表的なものは植物ステロール、トコトリエノール・ガンマ-オリザノールです。
では、どんな作用があるのかひとつずつ見てみましょう。
・植物ステロール
食用油の中で、最も植物ステロールを多く含んでいるのは米油です。
植物ステロールはコレステロールの体内吸収を抑えて、血中のコレステロール増加を防いでくれます。
コレステロール値を下げる作用がある健康オイルは、この植物ステロールの含有量を増やした油です。
・トコトリエノール
米油とパーム油にのみに含まれる抗酸化成分。
その抗酸化力はビタミンEの約50倍!
体内の活性酸素を除去して、ガンの発生や増殖を抑制します。
また、紫外線による色素沈着を防ぐ効果もあることから、美白作用も注目されている成分です。
・ガンマ-オリザノール
ガンマ-オリザノールは米油特有の成分です。
強い抗酸化力と防腐作用があり、食品添加物としても利用されています。
耐熱性があり、熱による油の酸化を防ぐ主力成分です。
他にも自律神経の働きを整えて更年期障害を緩和、過敏性大腸炎などの炎症性疾患の改善にも効果があります。
体に良い米油は低温圧搾だけ
揚げものを美味しく作れ、油の酸化も遅く、体に良い成分も豊富な米油。
しかし、すべての米油が良いのではありません。
体に良い成分が含まれているのは低温圧搾で作られた米油だけです。
食用油の製造方法は、油の原料となる果実や種子を圧搾して絞る圧搾法(低温・高温)と原料を薬で溶かして油を抽出する溶剤抽出法があります。
スーパーなどで格安に売られている油は、高温圧搾や溶剤抽出で作られた油です。
高温圧搾や溶剤抽出は効率よく搾油できますが、薬剤や高温加熱により、米油に含まれる成分は破壊されます。
また高温による加熱処理は、動脈硬化やガンなど体に悪影響を及ぼすトランス脂肪酸が発生しています。
体に良い成分をほとんど含まない米油になっているのです。
低温圧搾で作られた米油は、有効成分も破壊されることなく、トランス脂肪酸の発生率も低く抑えられています。
この製法はどの食用油にも言えることです。
必ず、低温圧搾で作られた油を選ぶようにしましょう。
まとめ
私たち日本人の主食であるお米から作られる米油。
米油にしか含まれていない抗酸化成分や、揚げものが美味しく揚がるなど、うれしい働きがありましたね。
しかし、身近なお米から作られている割には、あまり馴染みがありません。
米油の原料となる米ぬかは、精米されて米ぬか単体になるとすぐに油が分解されます。
そのため大量生産ができず、各地方で少量ずつ搾油するため、普及率が低いのです。
食用油の国内生産率はたったの3%。
そのうち油の原料となる作物の生産量は、お米がトップです。
美味しくて体に良い成分が含まれる米油をみんなが利用すれば、日本の食用油生産率を上げるきっかけになるかもしれませんね。