魚のEPA・DHAで健康な体に!水銀や放射能など有害物質の影響は?

魚のEPA・DHAで健康な体に!水銀や放射能など有害物質の影響は?

突然ですが、あなたは週にどのくらい魚を食べますか?

じつは魚の油に多く含まれるEPA・DHAは、私たちの体に欠かすことのできない重要な栄養素。
しかし、多くの現代人は魚をあまり食べないため、EPA・DHAが不足している状態です。

その結果、EPA・DHA不足によって、アレルギーや動脈硬化などのリスクが高まっていると考えられています。

ただ、魚を食べると、水銀や放射能などの有害物質を摂取する不安も…。
そこで、魚を食べる効果と危険性について調べてみました。

現代人は魚を食べなくなった

まずは、現代人の魚の摂取量をチェックしていきましょう。
現代人は魚離れが進行していると言われますが、じつは日本人の魚離れは20年以上も前から始まっていました。

肉の摂取量が増える一方で、魚の摂取量は年々減少。
2006年には、魚の摂取量は肉の摂取量を下回り、その後も魚の摂取量は減り続けています。

そもそも、なぜ魚離れを問題視しているかというと、それは魚に含まれる油(EPA・DHA)が、体に欠かせない油だから。
さまざまな健康効果が期待されていて、不足すると体調不良の原因にもなる重要な栄養素だからです。

では、EPA・DHAの話の前に、まずは油のことを簡単に確認しておきましょう。

油の種類によって、体内での働きはちがう

私たちが食品から摂取する油は、魚の油以外にも植物油やラードなどがありますが、種類によって主成分が違うため、体内での働きもそれぞれ変わります。

油の成分は、大きく4つのグループで区別されています。
それは、飽和脂肪酸・オメガ9・オメガ6・オメガ3の4つです。

それぞれを主成分とする油の種類と、体内作用は下記のとおりです。

【飽和脂肪酸】
飽和脂肪酸
(油の種類)ラードなど肉の脂身
(体内作用)コレステロールや中性脂肪を増やす

【オメガ9(オレイン酸)】
オメガ9(オレイン酸)
(油の種類)オリーブオイル、菜種油など
(体内作用)悪玉コレステロールを減らす、胃酸を調整

【オメガ6(リノール酸・アラキドン酸)】
オメガ6(リノール酸・アラキドン酸)
(油の種類)サラダ油、大豆油など
(体内作用)悪玉コレステロール、中性脂肪減少、免疫機能を調節
※過剰摂取すると、体内に炎症物質を発生させる

【オメガ3(EPA・DHA・α-リノレン酸)】
オメガ3(EPA・DHA・α-リノレン酸)
(油の種類)魚の油、亜麻仁油など
(体内作用)抗炎症作用、悪玉コレステロール、中性脂肪減少、脳の働きを助ける
※現代人は不足気味

以上の4種類は、どれも私たちの体に必要な油の成分です。
中でも、オメガ6とオメガ3は体内でつくることができないので、食事から摂る必要があります。

しかし、現代の私たちはオメガ6(サラダ油の主成分)を過剰摂取し、オメガ3(魚の油)が不足している状態です。

オメガ6は過剰摂取すると、体内に炎症物質を発生させて細胞を攻撃します。
オメガ3はその炎症を抑える作用があるのですが、多くの現代人はオメガ3が不足しているため、炎症を止めることができません。

その結果、アレルギーや動脈硬化など、さまざまな病気や症状が起こりやすくなっているのです。
(※詳細は、後ほど説明します)

そのため現代の私たちは魚を食べて、不足しているEPA・DHAを摂取しなければならないのです。

では、油の種類と関係性を確認したところで、いよいよ魚の油EPA・DHAの働きについて、詳しく見ていきましょう。

EPA・DHAの働き

EPA・DHAの主な作用は、中性脂肪の減少・脳の発達・抗炎症作用の3つです。
では、それぞれの作用による健康効果について、チェックします。

中性脂肪の減少

中性脂肪の減少

EPA・DHAには中性脂肪を減少させる働きがあり、中性脂肪が減少すると肥満予防や血行の改善が期待できます。

中性脂肪は、体を動かすエネルギーとなるもの。
肝臓で合成された中性脂肪は、血中を通って全身に送られ、エネルギーとして消費されます。

ただし中性脂肪は脂肪なので、必要以上に送られた分はそのまま蓄積されます。
これが、肥満の原因です。

ところが、魚の油に含まれるEPAとDHAは中性脂肪の合成を抑えたり、全身へ送り出す中性脂肪の量を調節する作用があります。
この作用により、必要以上に中性脂肪が体内に送られることが妨げるので、肥満の予防に効果があります。

また、脂肪を分解させる器官(ペルオキシソーム)に働きかけ、脂肪の燃焼を促す働きもあり、さらなるダイエット効果が期待できるのです。

なお、中性脂肪を多く含む血液は、中性脂肪が血管内部に付着しやすく血行不良の原因に。
しかし、EPA・DHAによって血液中の中性脂肪が減少すれば、血行改善も期待できます。

続いて、脳の発達について。

脳の発達

脳の発達

私たちの脳の6割は、油でできています。
その中でも重要とされるのが、魚に含まれる油のDHA。
DHAには脳の発達や働きを高める作用があり、脳に欠かせない油なのです。

特に影響しやすい時期は、脳が最も発達する胎児から幼少期にかけて。
この期間に摂取したDHAの量が、脳の発達に大きく影響すると考えられています。

ある調査では、妊娠中のDHA濃度が高い母親の子どもの方が、そうでない母親の子どもよりも知能指数(IQ)が高かったと報告されています。

続いて、抗炎症作用について見ていきましょう。

抗炎症

抗炎症

EPAとDHAはどちらも魚に豊富に含まれていて、体内での作用もほぼ同じことから、まとめて説明されることも多いです。

ただし、先ほどの脳の発達はDHA特有の作用。
一方、体内の炎症を抑える抗炎症作用は、EPAが特に優れています。

先ほど、油の成分についてお話しましたが、サラダ油の主成分であるリノール酸は過剰摂取すると、体内で炎症物質を発生させるアラキドン酸に変化します。

このアラキドン酸から発生する炎症物質は細胞を攻撃して、免疫機能や細胞の働きを低下させるのですが、EPAはこの炎症物質を抑える力があるのです。

そのため、体内で少しくらい炎症が起きてもEPAを十分に摂取していれば、EPAの抗炎症作用によって炎症は鎮静し、すぐに治まります。
ちなみに、市販の頭痛薬にもEPAの抗炎症作用が利用されています。

このように、魚の油のEPA・DHAは肥満予防や血圧改善、脳の発達や体内の炎症抑制など、さまざまな健康効果が期待できる成分です。

しかし、現代の私たちは魚の摂取量が少なく、EPA・DHAが不足傾向にあります。
ということは、以上のような効果は得られていません。

では、EPA・DHAが不足した体内はどんな状態なのか、見ていきましょう。

EPA・DHA不足の影響

EPA・DHAの主な作用は、中性脂肪の減少・脳の発達・抗炎症作用の3つでした。
ということはEPA・DHAの不足した体内は、逆の作用が引き起こされます。

主にリスクが高まると考えられているのは、動脈硬化・脳の機能低下・アレルギーなどの免疫疾患です。
では、こちらも順番に見ていきましょう。

動脈硬化

動脈硬化

EPA・DHA不足になると、血中の中性脂肪の減少作用が働かないため、血中の中性脂肪値は高くなります。
中性脂肪を多く含む血液は、粘性があり血管壁に付着しやすく、血栓を作りやすい状態。

また血栓だけでなく、血中の中性脂肪が高まると血管壁も傷つきやすく、動脈硬化を発症するリスクが高まります。

脳の機能低下

脳の機能低下

先ほど、脳の発達にDHAが欠かせないことをお話しましたが、脳の成長期を過ぎた後もDHAは脳にとって重要です。

脳は細胞同士で情報を交換することで機能していますが、DHAはその働きをスムーズにする作用があります。
そのため、脳の機能低下が原因とされる発達障害やうつ、認知症は、血中のDHA濃度が低いほど、症状が重くなるという報告もあります。

続いて、免疫疾患について見ていきましょう。

免疫疾患

免疫疾患

じつは現代人の魚離れが問題視されている主な理由が、この免疫疾患です。

現代人の食生活は肉の摂取量が増えると同時に、植物油の摂取量も増加。
その中で問題なのが、サラダ油の主成分であるリノール酸の過剰摂取です。

リノール酸は過剰摂取すると、体内に炎症物質を発生させるアラキドン酸に変わり、細胞を傷つけて体内に炎症を起こします。

多少の炎症であればEPAによって抑えられるのですが、多くの現代人はEPAが不足しているので、炎症を抑えることができません。
その結果、炎症物質によって細胞が傷つけられているのです。

そして体内にある免疫機能は、炎症物質の発生・攻撃を抑えようと反応しますが、炎症が繰り返されると、免疫機能は過剰な反応を示します。
その結果、少しの花粉や食品でアレルギー症状を発症してしまうのです。

近年急増している花粉症などのアレルギーは、このリノール酸過剰とEPA不足が原因のひとつ。

また、傷つけられた細胞が血管であれば動脈硬化、臓器であれば細胞がガン化する恐れもあります。

このように、魚離れによるEPA・DHA不足は、私たちの体に悪影響を及ぼす危険な状態です。
そのため、積極的に魚を食べてEPA・DHA不足を解消する必要があります。

1日1食は、魚を食べる

1日1食は、魚を食べる

では、どのくらい魚を食べればいいかというと、厚生労働省ではEPA・DHA合わせて1日1g以上の摂取を推奨しています。(※理想は2gとも言われています)

1gのEPA・DHAを摂取するためには、魚の種類にもよりますが、大きめの切り身1つ(90g)分が目安。
そのため、1日1食は魚料理を食べるのが理想的です。

また、EPA・DHAはタイやヒラメなどの白身魚よりも、イワシやアジ、サバ、サンマなどの青背の魚に多く含まれているので、青背の魚を積極的に食べるようにしましょう。

ただし、調理法には注意が必要。
EPA・DHAは熱に弱い成分なので、加熱すると摂取できる量が少なくなります。

魚に含まれるEPA・DHAを最も壊さず摂取できるのは、魚を生で食べる刺し身です。
火を通す場合は、焼いたり揚げたりする調理法ではなく、煮魚にすると煮汁に含まれるEPA・DHAも摂取できるのでオススメです。

過剰摂取による副作用は?

過剰摂取による副作用は?

しかし、いくら体に良いからといって過剰摂取には注意しましょう。
不足分を補おうと、毎食のように魚を食べたり、EPA・DHAのサプリを必要以上に摂取すれば、逆効果になることも…。

じつはEPA・DHAは1日に3g以上摂ると、下痢や嘔吐などを起こしやすくなる場合があります。
さらにEPAには、血液を固める血小板の凝集を抑える作用があるため、出血時に血が止まりにくくなる危険性もあります。

また、アジやイワシ、カツオはプリン体を多く含む食品です。
プリン体の代謝時につくり出される尿酸は、増えすぎると結晶化して尿管結石や痛風の原因になります。

一度に大量に食べるのではなく、1日1食、魚を食べることを習慣づけていきましょう。

次は、魚に含まれる有害物質の影響について、見ていきましょう。

魚に含まれる有害物質の影響

魚を食べる上で心配な点といえば、放射能や水銀などの有害物質を摂取すること。
そこで、魚に含まれる主な有害物質である、放射能・水銀・ダイオキシンについて、チェックしていきましょう。

放射能

福島の原発事故以降、魚に限らず国産の食品は、放射性物質による汚染の危険にさらされることになりました。
放射性物質は体内に入ると、DNAを傷つけてがんを発生させる恐れがあります。

そのため、政府は食品からの被ばくを防ぐために、食品中に含まれる放射性物質の基準値を設定。
現在は基準値以内の食品しか、市場に流通できないようにしています。

なお、基準値はICRP(国際放射線防護委員会)で勧告されている許容量と同じく、年間被ばく量は1ミリシーベルト。

年数の経過とともに、検出される放射性物質の値も全体的に低くなっています。
※詳しくは放射能の記事をご覧ください

【福島県における水産物の調査結果】



引用元:水産物の放射性物質調査の結果

ですから、私たちが食べる魚介類は基準値内のものだけで、放射性物質の心配なく食べられます。

ただ、独自に基準値を設定してより安心できる食品を提供している、食品宅配サービスなどもあります。
微量の放射性物質も避けたい方は、こういったサービスを利用すると、より安心して魚を食べることができます。
※安全な食材宅配のまとめはこちら

続いて、水銀の注意点を見ていきましょう。

水銀

水銀

体への摂取による水銀の危険性は、神経への影響。
特に神経が最も発達する、胎児期への影響が危険視されています。

じつは日本人が摂取している水銀の約8割は、魚介類によるもの。
そのため厚生労働省では、妊娠中の魚介類の摂取に注意を呼びかけています。

参照元:厚生労働省-これからママになるあなたへ

特に注意が必要なのは、大きな魚です。
水銀は自然界に存在する金属の一種なので、大きな魚ほど食物連鎖によって体内に多くの水銀が蓄積していると考えられています。

水銀の蓄積量が多いマグロやカジキ、クジラなどは、1人前(80g)で週に1~2回までの摂取を目安にしましょう。
また、イワシやアジ、サケ、サバ、サンマ、タイ、ブリ、ツナ缶などは、水銀の蓄積量が少ないので、妊娠中も摂取量を気にせず食べることができます。

ダイオキシン

ダイオキシン

ダイオキシン類は、8割以上がごみの焼却によって発生している化学物質。
一度できると分解されにくく、大気や排水から河川や海に流れ込み、食物連鎖を通じて魚介類に蓄積します。

動物実験でダイオキシンは、生殖毒性、発達毒性、発がん性、免疫毒性が認められており、IARC(国際がん研究機関)では、高濃度でダイオキシンにさらされると発がんリスクがあるとされています。

ただ、日本人のダイオキシン類の平均摂取量は、1日1.68pg-TEQ/kg。
1日の耐用摂取量は4pg-TEQ/kgなので、耐用摂取量の半分以下しか摂取していないということ。
農林水産省では、体に害を与えるレベルではないと判断しています。

また、日常生活で大量のダイオキシンを浴びる危険性も少ないので、あまり神経質になる必要はなさそうです。

次は、魚介類で起こりやすい食中毒について、チェックしましょう。

魚や貝による食中毒

魚や貝による食中毒

魚は有害物質だけでなく、ウイルスや寄生虫による食中毒にも注意が必要です。
食中毒の発生件数トップのノロウイルス、寄生虫のアニサキスなどの注意点を確認していきましょう。

ノロウイルス

魚介類の中でも、特に注意が必要な食材が、牡蠣。

魚介類の中でも、特に注意が必要な食材が、牡蠣。

牡蠣は生食や加熱不十分で食べると、ノロウイルスによる食中毒を起こす危険があります。

ただし、ノロウイルスは熱に弱いため、85℃以上で90秒以上加熱すれば死滅します。
中心部までしっかり火を通してから、食べるようにしましょう。

ちなみに、生食用と加熱用の牡蠣のちがいは海域です。
生食用の牡蠣は、保健所が指定した生活排水や工業排水が流れ込んでこない海域で獲れたもの。
加熱用は、それ以外の海域で獲れた牡蠣です。

じつは、牡蠣がノロウイルスに汚染される原因は、人の排泄物に含まれるノロウイルスが海に流れ込むから。
ノロウイルスは人の小腸で増殖するウイルスなので、排泄物を含んだ生活排水が海に流出し、その海域の牡蠣を汚染するのです。

そのため、生で食べる場合は必ず、生食用を選ぶこと。
ただし、生食用の場合も100%安全とは言い切れないので、より安全性を求めるなら保健所の指定だけでなく、独自に海水調査やノロウイルスの検査を行っている生産者から購入するようにしましょう。

なお、ノロウイルスの症状は下痢や嘔吐、発熱、頭痛など。
感染力が非常に強いので、感染した人の排泄物の処理中に2次感染するケースも多く、注意が必要です。

感染力が非常に強いので、感染した人の排泄物の処理中に2次感染するケースも多く、注意が必要です。

2次感染を防ぐために、清掃時は必ずマスクや手袋をつけること。
使用したマスクや手袋は、ビニール袋に入れて密封してから捨てるようにしましょう。

また、症状が消えても便にウイルスが含まれている恐れがあるので、最低3日間は2次感染に注意しましょう。

アニサキス

アニサキス

アニサキスは寄生虫の一種で、アジやサンマ、サバ、カツオ、イカなど多くの魚介類に寄生しています。
魚が生きている間は内臓に寄生し、魚が死ぬと筋肉(魚の身)に移動するので、内臓はすぐに取りだすようにしましょう。

また、アニサキスは下腹部に激しい痛みや嘔吐などを起こしますが、熱に弱いので加熱すれば問題ありません。

なお、アニサキスは目で確認することもできます。
魚に白色の太い糸のようなもの(長さ2~3cm、幅0.5~1mm)が付着していれば、アニキサスの可能性大。
取り除いて、しっかり火を通してから食べましょう。

ムール貝

ムール貝

パエリヤやパスタなどに使用される、黒色のムール貝。
じつは、稀に毒が含まれていると知っていますか?

この毒は、ムール貝が摂取するプランクトンの一部が毒化することが原因。
食べると激しい腹痛や嘔吐を引き起こすほか、海外では記憶喪失や死亡事故も起こっています。

そのため、自宅でムール貝を食べる場合は、ムール貝と一緒に銀のスプーンを入れて調理しましょう。

ムール貝に毒があれば、スプーンは黒色に変色します。
スプーンが黒くならなければ、毒は含まれていないので食べても安全です。

では、最後に缶詰の魚や養殖魚の安全性について、見ていきましょう。

缶詰の魚で、EPA・DHAは摂れる?

缶詰の魚で、EPA・DHAは摂れる?

缶詰の魚は、魚をさばく必要もなく、簡単に魚を食べることができる便利なアイテム。
缶詰でもEPA・DHAは十分含まれているので、調理に時間が取れない日は缶詰を利用するのもオススメです。

缶詰の魚はイワシやサバ、サンマなどEPA・DHAが豊富な魚の商品も多く、100gあたりのDHAの含有量はサバの水煮缶(1300mg)、イワシの水煮缶(1200mg)など、1缶でEPA・DHAの1日の摂取量が含まれている商品もあります。
(※参照元:マルハニチロ参照-DHAを含む食材

また、缶詰の煮汁にもEPA・DHAは含まれているので、捨てずに一緒に食べましょう。

ただし、1点注意したいのが缶詰の塗装です。
缶の内部には、サビを防ぐために塗装剤が使用されていて、この塗装剤には環境ホルモンの疑いがあるビスフェノールA(BPA)が含まれています。

ビスフェノールAを摂取すると、ホルモンや神経、免疫機能に影響が出ると考えられています。
そのため、動物実験では急性毒性や生殖毒性、遺伝毒性、発がん性などの試験がおこなわれ、体に害のない無毒性量が設定されました。

しかし、他の動物実験では無毒性量よりも低い量で、神経や乳腺、前立腺などへの影響が確認されています。

手軽で便利だからと、缶詰ばかりを利用するのは避けましょう。

なお、缶の製造メーカーではビスフェノールAを使用せず、PETラミネートなどの新しい内面被覆の技術も発達しています。
ビスフェノールA不使用の缶詰があれば、ぜひそちらを選びましょう。

養殖魚の魚は危険?

養殖魚の魚は危険?

スーパーには天然の魚と並んで、養殖の魚もたくさん陳列されています。
「養殖魚は美味しくない」、「密飼いされていて薬漬け」などと聞きますが本当なのでしょうか…。

まず、養殖魚が美味しくなかったのは、昔のこと。
昔はマイワシが豊富に捕れたので、養殖魚のエサはマイワシのみが与えられていました。

しかし、マイワシを大量に与えていたために魚が脂っぽくなりすぎて、美味しくなかったのです。
魚が食べ残したマイワシで海も汚れ、衛生的ではありませんでした。

現在はマイワシなどの生餌だけでの飼育は減少し、栄養バランスを考慮したペレット(魚粉や配合飼料を粒状にしたもの)と組み合わせて、飼育する方法が主流です。

魚がエサを食べきる割合が生餌よりも高く、水に溶けないペレットもあり環境にも優しい飼育方法です。

次に、養殖魚は薬漬けという疑惑について。
養殖はある一定範囲で多くの魚を飼育するので、1匹が病気になると感染しやすい環境です。

そのため養殖魚は稚魚の頃に、病気予防のワクチンが与えられています。
ただ稚魚の時期なので、出荷される魚にワクチンが残留する心配はほぼありません。

また、ワクチンを使用するには申請が必要となり、むやみに投与はできない体制が取られています。
このことから、養殖魚の薬漬けは現実的ではないと判断できます。

まとめ

現代人の魚離れの影響は、アレルギーや動脈硬化、がん、認知症など、さまざまなリスクに関係するものでした。

魚に含まれる有害物質の危険よりも、EPA・DHAの健康効果のほうが体への影響は大きいので、積極的に魚を食べるようにしたいですね。

ちなみに、EPA・DHAを豊富に含む食品は、魚以外では亜麻仁油やえごま油など。
亜麻仁油やえごま油が注目されたのも、EPA・DHAの作用が理由です。

しかしEPA・DHAを多く含む食材の中で、私たちが最も食べ慣れているのは魚です。
1日1回魚を食べること、そして肉や植物油の摂取量を抑えて、体内の脂質バランスを整えられるように心掛けていきましょう。

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