遺伝子組み換え食品を避けても、知らずに食べてしまう訳とは

遺伝子組み換え食品を避けても、知らずに食べてしまう訳とは

私は知らない間に、遺伝子組み換え食品を食べていたのかもしれない。
そう気づいたのは、醤油やサラダ油には遺伝子組み換えの表示義務がない、と知ったことがきっかけでした。

そもそも、遺伝子組換え食品がどんな食品かも知らないのに、危険なイメージだけで避けていましたが、実際はどうなのでしょう?

遺伝子組み換え食品は安全なのか、危険なのか。
また、醤油やサラダ油など、遺伝子組み換えの使用表示がない食品やその理由など、遺伝子組み換え食品の疑問点について、調べてみました。

遺伝子組み換えって何?

遺伝子組み換えって何?

まず、遺伝子組み換えとは、ある動植物に別の動植物の遺伝子の一部を組み込む技術のこと。
例えば、病気に強い性質や除草剤をかけても枯れない性質など、特定の性質の遺伝子だけを取り出して、その性質を持たせたい別の作物に組み込むという、品種改良の一種です。

この遺伝子操作により、作物の弱点を減らすことで、害虫を予防する農薬の使用量を抑えたり、雑草の除去作業が不要になるなど、生産効率の向上が期待できます。
また生産面の向上だけでなく、従来の作物よりも特定の栄養素だけを増やすことも可能です。

ちなみに遺伝子組み換え食品は、GM食品やGMOと表示される場合があります。
これは英語表記の頭文字を取ったもので、Genetically Modified(遺伝子組み換え)、Genetically Modified Organism(遺伝子組み換え生物)の略です。

では、従来の品種改良と何がちがうのか、詳しく見ていきましょう。

品種改良とのちがい

例えば、味は良いが病気に弱いトウモロコシと、味は悪いが病気に強いトウモロコシがあるとします。
従来の品種改良は、この2つの品種を掛けあわせる方法です。

掛けあわてできたトウモロコシは、それぞれの良い性質を受け継いで、味がよく病気に強いトウモロコシが作られます。
しかし、反対に両方の悪い点を受け継いだ、味が悪く病気に弱いトウモロコシもできるのです。

そのため、両方の良い性質を受け継いだ、味がよく病気に強いトウモロコシだけを選び、その性質が固定化されるまで、何度も交配を繰り返さなければいけません。

また、多くの作物は年1回しか収穫できないため、新たな性質が固定化するまで、約10年もの月日が必要となります。

一方、遺伝子組み換えは、味が良いが病気に弱いトウモロコシに、病気に強い細菌などの遺伝子を組み込む方法です。

一方、遺伝子組み換えは、味が良いが病気に弱いトウモロコシに、病気に強い細菌などの遺伝子を組み込む方法です。

品種改良はトウモロコシ同士の掛けあわせでしたが、遺伝子組み換えは同じ作物だけでなく、他の植物や動物、細菌など、どんな生物の遺伝子でも関係なく組み込むことができます。

また、作物に与えたい特定の遺伝子を直接組み込むため、品種改良のような膨大な時間は必要ありません。

しかし、自然界では決して交わらない掛け合わせを人工的におこなうため、どんな影響が起こるか分からない、未知なる不安も併せ持っています。

では、遺伝子組み換え食品が私たちに与える影響とは、どんなことが考えられるのでしょうか。

遺伝子組み換え食品は、安全?危険?

じつは、遺伝子組み換え食品の危険性は、明確には分かっていません。
そもそも、遺伝子組み換え技術を本格的に食品に取り入れたのは、1996年のこと。
そのため、2016年現在で20年しか経過しておらず、遺伝子組み換え食品の長期的な影響は今も確認している真っ只中なのです。

しかし、現時点で考えられる危険性については、審査や検査がおこなわれています。
現在、遺伝子組み換え食品による体への影響として、具体的に考えられているものは2つあります。

それは、アレルギーの誘発と新生の有害物質です。

それは、アレルギーの誘発と新生の有害物質です。

では、アレルギーの誘発性から、ひとつずつ確認していきましょう。

アレルギーが起こる主な原因はたんぱく質ですが、そのたんぱく質の元となるのが遺伝子です。
そのため、新しく組み込んだ遺伝子から作られるたんぱく質が原因となり、アレルギーを発症する恐れが考えられています。

次に、新生の有害物質とは、組み換えられた遺伝子が新たな有害物質を発生させないかという不安です。

もちろん、組み換えられる遺伝子自体の安全性は確認されています。
しかし、異なる種類の植物や、植物と動物など自然界では交わらない遺伝子同士の組み合わせによって、予期せぬ有害物質が発生する恐れがあるのです。

そのため、以上のような危険がないか、遺伝子組み換え食品の安全性をチェックします。
安全性の判断基準は、実質的同等性といって遺伝子組み換え前の既存食品との比較をベースにしています。

具体的には、下記のようなポイントを中心に確認します。

  • 新しく組み換えられた遺伝子は、どんな働きをするか
  • 新しく組み換えられた遺伝子によるたんぱく質は、アレルギーの原因にならないか
  • 新しく組み換えられた遺伝子によって、新しい物質(毒性)が発生していないか
  • 遺伝子組み換え前と比べて、食品中の栄養素や成分などに変わりはないか

以上のようなチェックを受けて、安全とみなされた遺伝子組み換え食品しか、市場には流通できません。
しかし、遺伝子組み換え食品が原因でないかと疑われる死亡事故が、過去に起きていたのです。

トリプトファン事件の真相

1988年~1989年、アメリカでサプリメントを摂取した人が、動けないほどの筋肉痛に襲われるEMS(好酸球増多・筋肉痛症候群)を発症。
1988年~1989年、アメリカでサプリメントを摂取した人が、動けないほどの筋肉痛に襲われるEMS(好酸球増多・筋肉痛症候群)を発症。
症状を訴える人が続出し、死者38人、被害件数は1500件以上という事件が起こりました。

そして、この被害の原因として考えられたのが、遺伝子組み換えによる有害物質だったのです。
じつは、このサプリメント(アミノ酸の一種:L-トリプトファン)は、遺伝子組み換えの微生物から作られていました。

しかし、微生物はアミノ酸だけでなく他の不純物も産生します。
そのため、不純物を取り除く必要があるのですが、製造段階での精製度が低く不純物が残っていたのです。

その結果、残留していた不純物の毒性によって被害が続出。
遺伝子組換え食品は危険と、印象づける事件となりました。

しかし、この事件は遺伝子組み換え食品が原因ではなく、大量摂取や体質が原因だったという意見もあります。

じつは、事件後に検証された動物実験では、事件を起こしたサプリメント(トリプトファン)の8000倍の量を摂取しなければ、同じ症状(EMS/好酸球増多・筋肉痛症候群)は発症しなかったのです。

事実、トリプトファンの1日の必要量は成人で100~200mg程度ですが、被害を訴えた人は1日500~11,500mgのトリプトファンを摂取していました。
さらに、他社のサプリメントでも大量摂取すると、同じ症状が現れたのです。

また、100mg未満の摂取で発症したケースもありましたが、これは体質的な問題と考えられました。

じつは、頭痛薬や不眠症改善薬、特に抗うつ薬を飲んでいる人は、トリプトファンを摂取すると、副作用でEMS(好酸球増多・筋肉痛症候群)を発症する恐れがあったのです。

結局、FDA(アメリカ食品医薬品局)は、遺伝子組み換えによる不純物が原因なのか、判断できないとしています。
しかし、動物実験や他社メーカーのサプリでも、大量摂取によって同じ症状が起こることを考えると、摂取量や体質が原因のように思えます。

そもそも、私たちは遺伝子組み換え食品だけでなく、遺伝子組み換えされていない食品も食べています。
そのため、遺伝子組み換え食品がどんな影響を与えているか、調べること自体むずかしいのです。

ところが、フランスの研究チームによる実験では、遺伝子組み換え食品だけを食べ続けたときの影響が発表されました。

発がん性の危険

2012年、フランスの研究チームが発表した実験内容は、遺伝子組み換えのトウモロコシを食べるラットと、非遺伝子組み換えのトウモロコシを食べるラットの健康状態を調べるというもの。
実験期間はラットの平均寿命の2年間で、長期的におこなわれました。

その結果は、遺伝子組み換えトウモロコシを食べたメスのラットの5~8割に、がんが発生したのです。

その結果は、遺伝子組み換えトウモロコシを食べたメスのラットの5~8割に、がんが発生したのです。

一方、非遺伝子組み換えのトウモロコシを食べていたラットもがんが発生しましたが、その数は3割だけでした。

また、ラットの健康状態のちがいは、がんの発生率だけではありません。
遺伝子組み換えトウモロコシを食べていたラットは、実験開始からわずか4ヶ月目でがんが発生し、12ヶ月目になると、がんは大量に増加しました。

しかし、非遺伝子組み換えトウモロコシのラットは、実験終了間際の23~24ヶ月目にガンが発生しました。
つまり、ラットの寿命間際での発生だったのです。

さらに、遺伝子組み換えトウモロコシのラットの生存率は低く、ラットの平均寿命の2年を待たずにオスは50%、メスは70%が死亡。
一方、非遺伝子組み換えトウモロコシのラットの死亡率はオス20%、メス30%に留まっています。

実験対象となったラットの数は200匹で、研究対象としては比較的少ないことから、この研究結果に反論する声もあります。
しかし、ひとつの研究結果として、遺伝子組み換え食品を食べ続けると、早期のがん発生と短命の恐れがあったことは事実です。

1996年、遺伝子組み換え技術が食品に本格的に導入されてから、2016年現在で20年になります。
トリプトファン事件は大量摂取や体質が原因という見方が強いことから、今日に至るまで遺伝子組み換え食品による有害性は報告されていません。
しかし、だから今後も安全と言えるのでしょうか。

長期的な摂取による影響は、誰にもわかりません。
遺伝子組み換え食品の安全性は、不確かだということ。
遺伝子組換え食品を食べるのなら、そのことを分かった上で食べなければいけません。

しかし、日本は遺伝子組み換え作物の輸入大国。
では、どんな遺伝子組み換え食品が輸入されているのでしょうか。

日本は、世界2位の遺伝子組み換え輸入国

農林水産省の2015年のデータによると、遺伝子組み換え作物は世界28カ国で栽培されています。

農林水産省の2015年のデータによると、遺伝子組み換え作物は世界28カ国で栽培されています。

世界で最も作付面積が大きいのは、アメリカ。
次いで、ブラジル、アルゼンチン、インド、カナダ、中国です。

また、主な遺伝子組み換え作物として、トウモロコシ、大豆、菜種、綿、パパイヤ、アルファルファ、テンサイ、ジャガイモなどが、世界各国で栽培されています。
日本は実験的に栽培している食品もありますが、商業用として栽培されているのはバラのみ。
そのため、国産の遺伝子組換え食品は販売されていません。

ところが、日本は世界各国から、大量に遺伝子組み換え作物を輸入しています。
その数は年間1000万トン以上と、中国に次いで世界2位の遺伝子組み換え輸入国です。

では、輸入される遺伝子組み換え作物について、詳しく見ていきましょう。

トウモロコシや大豆の8割以上が、遺伝子組み換え作物

現在、日本が輸入している遺伝子組み換え作物は、トウモロコシ・大豆・菜種・綿・パパイヤの5種類です。
現在、日本が輸入している遺伝子組み換え作物は、トウモロコシ・大豆・菜種・綿・パパイヤの5種類です。
しかし、遺伝子組み換え作物と非遺伝子組み換え作物は、区別されずに輸入されるため、遺伝子組み換え作物だけの正確な輸入量は管理されていません。

ただし、各国の遺伝子組み換え作物の生産率をもとに、遺伝子組み換え作物がどの程度含まれているかを推定することはできます。

下記の表は、輸入量の多いトウモロコシ・大豆・菜種・綿の4種類の輸入国と、遺伝子組み換え作物が含まれる割合です。

輸入状況(農林水産省2011年データ)

【トウモロコシ】

輸入国輸入量の割合遺伝子組換え作物の割合
アメリカ74.7%88%
ブラジル12.3%65%
アルゼンチン3.9%85%
その他9.1%

※日本の自給率1.85%、約98%が輸入品

【大豆】大豆油(大豆粕は家畜の飼料)、醤油、みそ、豆腐、納豆

輸入国輸入量の割合遺伝子組換え作物の割合
アメリカ64.6%94%
ブラジル20%83%
カナダ13.8%81%
その他1.6%

※日本の自給率6%、約94%が輸入品

【ナタネ】菜種油

輸入国輸入量の割合遺伝子組換え作物の割合
カナダ97.5%94%
その他2.5%

※日本の自給率0.1%、約99.9%が輸入品

【綿】綿実油

輸入国輸入量の割合遺伝子組換え作物の割合
オーストラリア94.3%100%
アメリカ4.9%94%
その他0.8%

※日本の自給率0%、約100%が輸入品

上記4種類の作物は、日本の自給率が0~6%と低く、ほとんどが輸入に頼っている状況です。
さらに、輸入品の遺伝子組み換え作物の割合は80%以上と大多数を占めています。

このことから、上記4種類(トウモロコシ、大豆、菜種、綿)は、輸入品であれば、ほぼ遺伝子組み換え種子で作られたものと考えられます。

そして、この大量に輸入された遺伝子組み換え作物は、食品として利用されるにあたって、さまざまなルールが設けられているのです。

遺伝子組み換えの表示義務がある食品

遺伝子組換え作物を販売する上でのルール。
それは、遺伝子組み換え作物だと表示することです。

私たち消費者でも、どれが遺伝子組み換え作物なのか分かるように、表示義務が設けられています。
そのため、遺伝子組み換えされたトウモロコシなどが、何の表示もなくスーパーで販売されることはありません。

また、この表示の対象は全食品ではなく、日本で流通が許可されている遺伝子組み換え作物の下記8種だけです。

【遺伝子組み換え表示対象の作物】

大豆(枝豆・大豆もやし含む)、トウモロコシ、菜種、ジャガイモ、綿実、アルファルファ、テンサイ 、パパイヤ

ちなみに、上記の作物を原料とした加工食品も同じく、表示義務があります。
表示義務の対象となる加工食品は、農林水産省より下記の33種類で指定されています。
※【】内は、原料となる作物です。

【大豆】
1)豆腐、油揚げ類
2)凍り豆腐、おから、湯葉
3)納豆
4)豆乳類
5)味噌
6)大豆煮豆
7)大豆缶詰、大豆瓶詰
8)きな粉
9)大豆いり豆
10)1~9を主な原材料とするもの
11)大豆(調理用)を主な原材料とするもの
12)大豆粉を主な原材料とするもの
13)大豆たん白を主な原材料とするもの

【枝豆】
14)枝豆を主な原材料とするもの

【大豆もやし】
15)大豆もやしを主な原材料とするもの

【トウモロコシ】
16)コーンスナック菓子
17)コーンスターチ
18)ポップコーン
19)冷凍トウモロコシ
20)トウモロコシ缶詰、トウモロコシ瓶詰
21)コーンフラワーを主な原材料とするもの
22)コーングリッツを主な原材料とするもの(コーンフレークを除く)
23)トウモロコシ(調理用)を主な原材料とするもの
24)16~20を主な原材料とするもの

【ジャガイモ(ばれいしょ)】
25)ポテトスナック菓子
26)乾燥ばれいしょ
27)冷凍ばれいしょ
28)ばれいしょでん粉
29)25~28を主な原材料とするもの
30)ばれいしょを主な原材料とするもの

【アルファルファ】※マメ科の多年草で、新芽(スプラウト)を食す
31)アルファルファを主な原材料とするもの

【テンサイ】※てん菜糖の原料
32)テンサイ(調理用)を主な原材料とするもの

【パパイヤ】

33)パパイヤを主な原材料とするもの

このように、指定された8つの作物とその作物を原料とする加工食品は、遺伝子組み換えであれば、私たちでも分かるように表示されています。

また加工食品は、遺伝子組み換え作物の管理状態によって、下記のように表示が区別されています。

【遺伝子組み換え食品の表示方法】

遺伝子組み換え作物を
使用している食品
遺伝子組換えである・遺伝子組換えのものを分別
遺伝子組換え不分別
遺伝子組み換え作物を
使用していない食品
遺伝子組換えでない・遺伝子組換えでないものを分別

※分別…遺伝子組み換えと、遺伝子組み換えでないものを分けて管理し使用している
※不分別…遺伝子組み換えと、遺伝子組み換えでないものを分けて管理していない
混ざった状態のものを使用している(ほぼ遺伝子組み換えの可能性が高い)

ちなみに、遺伝子組み換え作物の表示義務は、遺伝子組み換え作物を使用した場合のみ、発生します。
そのため、遺伝子組み換え作物を使用していない場合は、遺伝子組み換えの使用有無を表示する必要はありません。

ですので、表示義務のある食品に、遺伝子組み換えについて何も記されていなければ、その食品は遺伝子組み換え作物を使用していないということ。

しかし、一般的に遺伝子組み換え作物はマイナスなイメージが強く、食品メーカーはアピールポイントとして、表示義務のない遺伝子組み換え不使用の食品にも、その旨を表示しているものが多くあります。

このように、私たちは食品の表示内容をチェックすれば、遺伝子組み換え食品を購入するかどうか自分で決めることができます。

しかし、食品の中には遺伝子組み換え作物を使用しても、表示義務のない食品があるのです。

表示義務のない、遺伝子組み換え食品

じつは、遺伝子組み換え作物を使用しても、ある条件を満たせば表示義務が免除されます。

じつは、遺伝子組み換え作物を使用しても、ある条件を満たせば表示義務が免除されます。引用元:表示義務のない遺伝子組み換え食品

その条件は、下記の3つです。
①遺伝子組換え作物が、原材料の上位から4番目以下で、全重量の5%以下の場合
②遺伝子組み換え作物の意図的でない5%以下の混入
③加工段階でたんぱく質が分解・除去されるもの

まず①番は、原材料に占める遺伝子組み換え作物の割合が、少なければ表示免除ということ。
そのため、遺伝子組み換え作物が原材料の3番目以内で、かつ重量が5%以上の場合しか、遺伝子組み換えを使用している旨は表示されません。

②番は、遺伝子組み換え作物と非遺伝子組み換え作物を分けて管理していても、流通や加工途中で多少の混入があるということ。
それゆえ、100%の分別は不可能として、意図的でない5%までの混入を許しています。

さらに、この②番の条件を満たした場合は、表示義務が免除されるだけでなく、遺伝子組み換えでないと表示も可能です。

そして、③番目のたんぱく質が分解・除去されたものとは、遺伝子組み換えの危険性が関係しています。

遺伝子組み換えの危険性として、新しく組み換えた遺伝子から作られるたんぱく質がアレルギーや毒性を持っていないかという、不安がありました。

しかし、加工段階でたんぱく質が分解・除去されれば、新しく作られるたんぱく質も食品に残っていないため、アレルギーや毒性の心配はないと考えられています。
そのため、たんぱく質が残留しない加工食品は、遺伝子組み換えによる新たな危険性はないとして、表示義務が免除されるのです。

ちなみに下記が、加工段階でたんぱく質が分解・除去される食品です。

【遺伝子組み換え作物を使用しても表示義務のない食品】
(調味料)醤油
(食用油)大豆油、菜種油、トウモロコシ油、綿実油
(糖類)水飴、異性化糖液糖、デキストリン、てんさい糖
(その他)コーンフレーク
※これらの食品を主な原料とする加工食品も、表示義務なし

このように食品には、遺伝子組み換え作物を使用しても、表示義務があるものと無いものがあります。
そのため、食品メーカーは表示義務がある食品には遺伝子組み換え作物を使用せず、表示義務のない食品に使用しています。

では、食品メーカーごとの遺伝子組み換え作物の使用状況をチェックしていきましょう。

知らずに食べている、遺伝子組み換え食品

現在、日本に流通している遺伝子組換え食品は、大豆・トウモロコシ・菜種・綿・パパイヤの5種類。
唯一、パパイヤだけは加工されずにそのまま販売されることもありますが、残りの4種類は加工食品(醤油、食用油、液糖など)として利用されます。

それでは、醤油、食用油、お菓子の大手メーカーの遺伝子組み換え使用状況を見ていきましょう。

【醤油】
(キッコーマン)
醤油の原料の大豆は、遺伝子組み換えでない大豆を使用

(ヤマサ)
遺伝子組み換え大豆が混入していない醤油には、遺伝子組み換えでないと表示

(ヒガシマル醤油)
遺伝子組み換え原料を使用していない

醤油は遺伝子組み換えの表示義務がないにも関わらず、多くの商品が遺伝子組み換え使用の有無を表示しています。
しかし、遺伝子組み換え大豆を使用している場合は、表示していません。

そのため、遺伝子組み換えの表示のない商品(国産大豆を除く)は、遺伝子組み換え大豆の可能性があります。
また、醤油を原料とするポン酢や麺つゆなども、遺伝子組み換え使用の有無が表示されているものと表示がないものがあり、表示のないものは遺伝子組み換えの可能性が高いです。

【食用油】
(日清オイリオ)
大豆油、菜種油、トウモロコシ油、綿実油は、遺伝子組み換え不分別

(J-オイルミルズ)
大豆油、菜種油、トウモロコシ油、綿実油は、遺伝子組み換え不分別

(昭和産業)
大豆油、菜種油、トウモロコシ油は、遺伝子組み換え不分別

食用油の原料となる作物の中で、遺伝子組み換え栽培されているものは、大豆油、菜種油、トウモロコシ油、綿実油の4種類です。

どのメーカーも遺伝子組み換え不分別なので、遺伝子組み換えと非遺伝子組換えの原料を区別せず使用しています。
大豆やトウモロコシは遺伝子組み換え栽培が80%以上、菜種や綿は90%以上と、ほぼ遺伝子組み換えの原料で製造されていると判断できます。

ちなみに、サラダ油は菜種油や大豆油などを混ぜた油の総称なので、サラダ油も遺伝子組み換えの油です。

【お菓子】
(グリコ)
パッケージに直接表示する農産物は、遺伝子組み換えを使用していない
表示義務のない加工原料(醤油など)は、遺伝子組み換え不分別

(カルビー)
表示義務のある原料には、遺伝子組み換えのものは使用していない
※表示義務のないコーンフレークも、遺伝子組み換えでないものを指定して輸入

(日清)及び(ブルボン)
遺伝子組み換え原料を使用しないと、国際環境NGOのグリーンピースに宣言

一見、お菓子メーカーは遺伝子組み換えの使用は少ないように思えますが、国際環境NGOグリーンピースの調査をもとにランキングされた、遺伝子組み換え食品の使用企業ワースト10を見ると、お菓子メーカーが3社も入っています。

【遺伝子組み換え食品の使用企業ワーストランキング】

お菓子は水飴やでんぷんの利用が多く、その原料として遺伝子組み換えトウモロコシが使用されています。
また、トウモロコシが主原料となる異性化糖はブドウ糖果糖液糖とも表示され、多くのジュースや清涼飲料水にも含まれています。

さらに、遺伝子組み換えトウモロコシの利用は、お菓子類だけではありません。

大手ビールメーカーのキリン・アサヒ・サントリー・サッポロの4社は、発泡酒や第3のビールに含まれる糖類に、遺伝子組み換えトウモロコシの使用を認めています。
遺伝子組み換えトウモロコシは、姿を変えて多くの食品に使われているのです。

そのため、自分で意識しないかぎり、遺伝子組み換え作物を避けることはできません。
では、どうすれば遺伝子組み換え作物を避けられるのでしょうか。

遺伝子組換え食品を避けるには、国産を選ぶ

ジャンルを問わず、さまざまな食品に使用されている遺伝子組み換え作物を避ける唯一の方法は、国産の食品を選ぶことです。

日本は、遺伝子組み換え作物の商業用栽培はおこなわれていません。
そのため、国産原料の食品を選べば、遺伝子組換え食品を避けることができます。

遺伝子組み換えの表示義務がある豆腐や納豆はもちろん、表示義務のない醤油、食用油も国産品にすること。

また、加工食品は原料の上位4番目以下になると、遺伝子組み換えの表示義務が無くなるため、国産原料100%か、原材料が少ないシンプルな加工品を選ぶことも大切です。

そして、もうひとつ注意したい食品が、牛・豚・鶏などの肉類。
じつは、遺伝子組み換えトウモロコシや大豆は、家畜の飼料として大量に利用されています。

じつは、遺伝子組み換えトウモロコシや大豆は、家畜の飼料として大量に利用されています。

そのため、国産の肉でも、遺伝子組み換え飼料で育てられた家畜の肉であれば、私たちは間接的に遺伝子組み換え作物を摂取することになります。

ですので、肉類は国産でも要注意。
家畜がどんな飼料を食べて育ったのか、必ずチェックしましょう。

HPで情報公開しているところもありますが、スーパーで販売されている肉でも飼料情報を表示している商品もあります。

とにかく、どんな食品も表示内容を確認すること。
加工食品では国産原料はアピールポイントなので、必ず表示してあります。
表示がないものは輸入品なので、日本で流通している遺伝子組み換え作物(トウモロコシ、大豆、菜種、綿、パパイヤ)が使用されている食品は、避けるようにしましょう。

まとめ

遺伝子組み換え食品は、安全とも危険とも言い切れない食品です。
だからこそ、遺伝子組み換え食品を食べるか食べないか、自分で決めることが重要ではないでしょうか。

EUでは、日本では表示義務のない食用油なども含め、遺伝子組み換え食品を使用した場合は、すべての食品に遺伝子組み換えの表示義務があります。

日本は表示義務があるとはいえ、表示義務のない食品や条件下では、遺伝子組換え食品が多用されているのが現状です。
そのため、自分で注意しないかぎり、遺伝子組み換え食品を食べないという選択はできません。

私は動物実験での危険性や、長期摂取による影響が不明なことを思うと、子どもに遺伝子組み換え食品は食べさせたくありません。

また、遺伝子組み換え食品は加工品に多く利用されているため、国産原料や原料がシンプルな加工食品を選び、食そのものを大切にすることで、自然と遺伝子組み換え食品を避けていきたいと思います。

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