フッ素加工のフライパンから有毒ガスが発生!調理器具の安全・危険な使い方

フッ素加工のフライパンから有毒ガスが発生!調理器具の安全・危険な使い方

テフロン加工のフライパンは食材が焦げつきにくく、家庭でも人気の調理器具。ただ、このテフロン加工のフライパンを煙が出るまで熱してはいけないって知っていますか?

じつはテフロン加工のフライパンを高温で熱すると、有毒ガスが発生する危険性があります。

その他にも調理器具は使い方をまちがえると、事故や体に悪影響を及ぼす危険性があるのです。

そこで調理器具の危険性について調べてみました。
調理器具の危険性と、安全な使用方法について見ていきましょう。

テフロン加工のフライパンは空焚きしてはいけない!

テフロン加工のフライパンは空焚きしてはいけない!

まず注意が必要なのは、多くの家庭で使用されているフッ素樹脂加工のフライパンです。

フッ素樹脂加工とは、フライパンの表面をプラスチックの1種であるフッ素樹脂でコーティングしたもの。フッ素樹脂は摩擦性や粘着性が低いため、フライパンの表面に使用すると食材が焦げにくくなるのです。

ちなみに、フッ素樹脂加工にはいくつか種類があります。

代表的なのが、アメリカのデュポン社の商標である「テフロン加工」。他には、人工ダイヤモンドを混ぜた「ダイヤモンドコート」、大理石を混ぜた「マーブル加工」などがあります。

ただ、フッ素樹脂加工のフライパンは使い勝手は良いものの、熱に弱い性質があるため、調理温度には注意が必要。

加熱温度が高すぎると、フッ素樹脂加工が剥がれるだけでなく、有毒ガスを発生させる危険性があるのです。

加熱温度が高すぎると、フッ素樹脂加工が剥がれるだけでなく、有毒ガスを発生させる危険性があるのです。

フライパンに使用されるフッ素樹脂の約6割は、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)というプラスチックの1種。

じつは、このPTFEは300~400℃の高温で熱すると、有毒なガスを発生させる性質があります。

PTFEによる有毒ガスが体に与える影響は、めまいや吐き気、呼吸困難など。

そのほか、食品安全委員会では315~375℃で加熱した際に発生する有毒ガスを吸い込むと、インフルエンザに似た症状があらわれるとしています。

そのほか、食品安全委員会では315~375℃で加熱した際に発生する有毒ガスを吸い込むと、インフルエンザに似た症状があらわれるとしています。

また神奈川県が調査した「フッ素樹脂加工したフライパンのテスト」では、400℃を超える加熱実験の結果、さまざまな有毒ガスの発生が確認されたのです。

発生したガスの種類ガスの性質
人への影響
テトラフルオロエチレン無色・無臭呼吸困難
ヘキサフルオロプロペン無色・無臭めまい、窒息
プロペン無色・微石油臭眠気、めまい
クロロメタン 無色・微芳香臭吐き気、頭痛
ブテン無色・無臭眠気、めまい

参照元:神奈川県-「フッ素樹脂加工したフライパンのテスト」

これらの有毒ガスは、フライパンの表面温度が300℃を超えた場合に発生する危険性があります。

ちなみに、揚げ物の調理温度は150~200℃。揚げ油の温度に比べると、300℃という温度はあまりに高温のため、一般の家庭では300℃を超える危険性はないように思えます。

ところが、一般の家庭も人ごとではありません。

神奈川県の調査では、カセットコンロでフライパンを空焚きすると、わずか5分で370℃に達することが確認されています。

また空焚きでなくても、少量の食材を高温で熱すると、食材が乗っていない部分が空焚き状態になる危険性もあります。

また空焚きでなくても、少量の食材を高温で熱すると、食材が乗っていない部分が空焚き状態になる危険性もあります。

そのため、フッ素樹脂加工のフライパンを空焚きしないのはもちろん、かたまり肉や魚の切り身1切れ、ソーセージ数本などを強火で調理する際は注意が必要です。

有毒ガスの発生を防ぐには、フッ素樹脂加工のフライパンは弱火~中火の火力で使用するのが安全。強火で調理する場合は、必ず換気をして5分以上の加熱は避けるようにしましょう。

ちなみに、調理中に剥がれ落ちたフッ素樹脂加工を誤って摂取しても、体に吸収されずに排泄されるので、体への影響は心配ありません。

ただ、フッ素樹脂のコーティングが剥がれると食材が焦げやすくなるので、フライパンを傷めないようにコーティングを長持ちさせることは大切。

金属製のヘラはフッ素樹脂加工をはがす恐れがあり、調理済の食品をフライパンの中に長時間入れたままにするのもコーティングを劣化させる原因です。

金属製のヘラはフッ素樹脂加工をはがす恐れがあり、調理済の食品をフライパンの中に長時間入れたままにするのもコーティングを劣化させる原因です。

フッ素樹脂加工のフライパンを安全に使用し、コーティングを長持ちさせるためには、下記の点に注意しましょう。

【フッ素樹脂加工のフライパンの注意点】

  • 空焚きしない
  • 強火で5分以上の加熱調理は控える
  • 金属製のヘラを使用しない
  • 調理済みの食品を入れたまま放置しない

ガラス製のフタの破損に注意

ガラス製のフタの破損に注意

また、フライパンでの調理にガラス製のフタを使用することもあると思いますが、強化ガラス製のフタの破損事故が多発しています。

落としたわけでもなく、突然、調理中に強化ガラスのフタが粉々に割れて、割れたガラスで傷を負ったり、鍋の中身が飛び散ってやけどを負う事故が起きているのです。

じつはこれらの破損事故は、強化ガラスに入った細かな傷が原因。

強化ガラスは通常のガラスよりも強度が高いものの、表面に細かな傷が入ると、ちょっとした衝撃や温度変化によって粉々に割れる危険性があるのです。

細かな傷のレベルは、目で確認できないほどの微細なもの。そのため突然理由もなく割れたように錯覚する場合もあります。

ガラス製のフタの破損事故を防ぐには、細かな傷を作らないように注意するしかありません。

金属製のたわしや研磨剤入りのスポンジ、クレンザーなどの使用は避けること。

また急激な温度変化でも割れる危険性があるので、使用後すぐに冷水に掛けないように注意しましょう。

続いて、近年事故の多い電子レンジについて見ていきましょう。

電子レンジの発火事故に注意

電子レンジの発火事故に注意

「さつまいもをレンジで加熱したらコゲて発火した」、「冷凍おにぎりを解凍しようとしたら庫内上部から発火した」など、電子レンジの発火事故が多発しています。

そもそも電子レンジは、電磁波(マイクロ波)で食品中の水の分子を振動させて食品を温める仕組み。

どんな食品も数分で温めてくれる便利さが魅力ですが、水分の少ない食品を温める際は注意が必要です。

食品中の水分がなくなった後も加熱され続けると、食品から発煙や発火する危険性があるのです。

特に注意が必要なのは、サツマイモやニンジン、カボチャなどの水分が少なく火が通りにくい野菜。

これらの野菜を電子レンジの自動(オート)ボタンで温めると、なかなか温まらないので長時間の加熱になり、発煙・発火事故をおこす危険性があります。

ですから、水分の少ない食品をレンジで温める際は、自動ボタンの使用は避ける方が安全。2分や3分などの短い時間を指定して、食品の状態を確認しながら加熱しましょう。

ですから、水分の少ない食品をレンジで温める際は、自動ボタンの使用は避ける方が安全。2分や3分などの短い時間を指定して、食品の状態を確認しながら加熱しましょう。

また、レンジ庫内の汚れも発火事故を起こす原因です。

特に庫内にある電磁発射装置の金属カバー付近や隙間に、食品の残りカス・汚れが溜まると、そこに電波が集中して発火する恐れがあります。

レンジの使用後は、庫内に汚れや食品カスが残っていないか確認し、きれいな状態で使用するように気をつけましょう。

また、ガスコンロも煮こぼれや油汚れがたまると、火が付きにくくなったり温度センサーが正常に作動しないなどの機能低下につながります。

キッチン周りの汚れは事故のリスクを高めるので、常に清潔な状態を保つように心掛けましょう。

電子レンジの電磁波は体に影響する?

電子レンジの電磁波は体に影響する?

ちなみに、電子レンジの電磁波(マイクロ波)の影響を心配する声もありますが、電子レンジから放出されるマイクロ波が外部に漏れることはありません。

その理由は、電子レンジの扉が網状だから。じつは電子レンジから放出されるマイクロ波を庫内に確実に閉じ込めるため、電子レンジの扉は網状になっているのです。

そのため電磁界情報センターは、家庭で使用する電子レンジの電磁波が健康に影響を及ぼすことはないとしています。

またWHO(世界保健機関)も、電子レンジで調理された食品は従来のオーブンで調理された食品と同じように安全であること。栄養価値も同じであり、レンジ庫内や食品に電磁波が残ることはないとしています。

次は、アルミ鍋について見ていきましょう。

アルミ鍋を加熱すると、アルミが溶け出る?

アルミ鍋を加熱すると、アルミが溶け出る?

電子レンジの電磁波と同じく、アルミ鍋は体に悪影響を及ぼすと思っている人もいるのでは?

その原因は、アルツハイマー病患者の脳にアルミニウムが蓄積されていたという発表がきっかけ。この発表から、「アルミ鍋はアルミニウムが溶け出るから危険」というイメージが一部に広がりました。

しかし、アルツハイマー病の原因はさまざまな要因が関係していて、アルミニウムがどのくらい影響しているかは明確ではありません。

ただ、アルミニウムを大量摂取させた動物実験では、腎臓や膀胱への影響や握力の低下が認められたという事実もあります。

そのため厚生労働省では健康への影響を考え、アルミニウムの1週間の耐容摂取量を体重1kgあたり2mgまでに基準値を設定。

この量は体重60kgの人の場合で換算すると、1週間の摂取量の上限は120mgです。

この量は体重60kgの人の場合で換算すると、1週間の摂取量の上限は120mgです。

ちなみに国立医薬品食品衛生研究所の調査では、すべての調理をアルミ鍋でおこなった場合に、1日3回の食事で摂取するアルミの量は5.04mgだとしています。

この量を1週間摂取し続けると、アルミニウムの摂取量は合計35.28mg。

アルミ鍋ですべての調理をおこなっても、1週間の上限である120mgを大きく下回る量しか摂取しないのです。

さらに、実際はフライパンなど他の調理器具も使用するため、アルミ鍋から摂取するアルミニウムの量はもっと少なくなります。

ですから、アルミ鍋から溶出するアルミニウムを過剰に気にする必要はありません。

またアルミ鍋だけでなく、アルミニウムは貝類や海藻などをはじめ、さまざまな食品にも含まれています。そのためアルミ鍋を使用しなくても、私たちはアルミニウムを日々摂取しているのです。

食品に含まれるアルミニウムの量

食品に含まれるアルミニウムの量

ただ、アルミニウムは体内に取り込まれても、摂取した99%は尿と一緒に体外に排出されます。

そのため海藻や貝類などを大量に毎日摂取しない限り、ほとんどの人はアルミニウムの影響を心配する必要はありません。

注意が必要なのは、アルミニウムが脳内に移行しやすい新生児と未熟児。

注意が必要なのは、アルミニウムが脳内に移行しやすい新生児と未熟児。

またアルミニウムは尿と一緒に排泄されるので、尿をつくる腎臓に障害のある人や、排泄機能が発達中の乳児は体内に蓄積しやすい傾向があります。

腎障害を抱える人や授乳中の人、乳児は海藻や貝類の大量摂取は控えましょう。

食品以外で注意が必要なのは、アルミホイルやアルミ製容器の使用。アルミニウムは酸性に溶けやすいので、すりおろしたリンゴやトマトピューレなど、酸や塩分濃度の高い食品はアルミホイルやアルミ製の容器を使用しないように注意しましょう。

続いて、プラスチック容器についてです。

プラスチック容器に含まれる発がん性物質の影響は?

プラスチック容器に含まれる発がん性物質の影響は?

プラスチック製の食器は軽くて割れる心配がなく、幼児用の食器に多く利用されているのですが、体への影響を心配する声があります。

その理由は赤ちゃん用の食器に多いメラミン食器の原料に、発がん性のあるホルモアルデヒドが使用されているから。

赤ちゃんが使用する食器に発がん性物質が含まれていると聞くと、一気に不安になりますが、結論からいうと体への影響は心配ありません。

厚生労働省が定める食品衛生法に基づき、食品用の食器は安全性が保たれています。

メラミン食器は60℃の熱湯に30分付けた条件下において、ホルモアルデヒドの溶出量が4μg/ml設定されています。

ですからメラミン食器を熱い食品に使用しても、食品にホルモアルデヒドが溶け出る危険性はありません。

ただし、メラミン食器は電子レンジやオーブンに使用できない製品が多いので、安全に使用するために使用上の注意を必ず確認しましょう。

またメラミン食器だけでなく、ホルムアルデヒドは食品にも微量に含まれています。

メラミン食器に含まれるホルモアルデヒドの基準値が4μg/mlに対して、ホウレン草は10~25μg/ml、干しシイタケは100~240μg/ml 。

メラミン食器に含まれるホルモアルデヒドの量より、食品の方が最大で60倍も多く含まれているのです。

とはいえ、食品に含まれるホルモアルデヒドの影響も心配する必要はありません。

なぜならホルモアルデヒドの発がん性の影響は、口から摂取する場合より、気化したホルモアルデヒドを吸い込む場合のほうが、危険性は高いと考えられているから。

そのためメラミン食器と同じく、干しシイタケやホウレン草などの摂取も控える必要はありません。

最後に、実際にあった調理器具の事故について見ていきましょう。

実際にあった調理器具の事故

実際にあった調理器具の事故

調理器具は便利である反面、器具の不具合や少しの誤作動が事故につながる危険性があります。

下記は、実際にあった調理器具の事故です。

【ハンドミキサー】
【ハンドミキサー】
ハンドミキサーの刃に挟まった食品を取ろうとして、指を負傷する事故が発生。

電源プラグを拔かずに、調理器具の内部に手や箸などを入れるのは危険です。誤って電源が入る場合があるので、食品を取る際は必ず電源プラグを抜きましょう。

【エスプーマ(クリーム状泡立て器)】

2017年6月、フランスでエスプーマと呼ばれるクリーム泡立て器が爆発。使用していた女性の胸に激突し命を落とす事故が起きました。

エスプーマは食品をムース状の泡にする調理器具。金属製の缶にガスを注入して使用するため、器具は高圧になります。

事故を起こした缶は接続部品に不具合があったために、使用中に外れて高速で飛び出したと考えられています。

フランスでは過去にもエスプーマが原因で、歯が折れたり失明する事故も起きていました。

【圧力鍋】

圧力鍋の蓋が開かないため上から水をかけたところ、鍋のフタが飛んで中身が飛び散りやけどを負う事故が発生。

圧力鍋の蓋が開かないため上から水をかけたところ、鍋のフタが飛んで中身が飛び散りやけどを負う事故が発生。

この事故の原因はフタのロックピンやレバーの構造に不備があり、さらに内圧もわかりにくいなどの問題点がありました。

現在は、フタが完全に閉まっていないと圧力が一定以上に上昇しなかったり、内圧を下げないと開かない構造などの改善がされています。

圧力鍋は高圧を利用する調理器具なので、ほかの鍋よりも注意が必要です。圧力調整装置のつまりなどがないように、取扱説明書を確認して正しく使用するようにしましょう。

まとめ

調理器具は正しく使えば便利で安全ですが、使用方法をまちがえると事故を起こしたり、体に悪影響を及ぼす危険性があります。

加熱温度やこまめな掃除、取扱説明書の確認など、注意することは些細なことばかりです。
毎日使用するものなので、より安全に正しく使用するように気をつけていきましょう。

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