給食に使用される食材の産地は?国産と外国産の割合・安全性に対する取組みは?

給食に使用される食材の産地は?国産と外国産の割合・安全性に対する取組みは?

小学校の99%・中学校の88%が実施している学校給食。
お弁当を作らなくて良いのはありがたいと思う一方で、給食の安全性に不安を感じている人も多いのでは?

使用される食材の産地や残留農薬など、体への影響が気になることがたくさんあります。

また近年は食物アレルギー事故も発生していて、給食の安全性に対する不信感が強まるばかりです。

そこで給食の安全性について調べてみました。
子どもが食べる給食の実態について確認していきましょう。

学校給食の安全性は?

学校給食の安全性は?

文部科学省の調査によると、国公私立学校のなかで給食を実施している学校は全国で30,769校。

小学校の99.1%、中学校の88.1%と、ほとんどの学校で給食は実施されています。

なお学校給食は『学校給食法』という法に基づき、子どもたちの成長や健康維持、食を通しての学びを目的に提供されています。

とはいえ、給食の献立や使用する食材などは地域によってちがうので、細かな情報を知るには各自治体や学校のホームページで学校給食の情報を確認するのがベスト。

ただし公開されている情報量には差があり、細かな情報を確認できない地域もあります。

そこで今回は、東京・大阪・横浜・名古屋・福岡・函館の学校給食の実態をチェックし、学校給食全体の傾向を見ていきましょう。

給食の食材は約8割が国産

給食の食材は約8割が国産

まず給食の安全性において、特に気になるのが食材の産地。

外国産の食材ばかりが使用されていないか心配になりますがが、じつは学校給食に使用される食材の約8割が国産です。

文部科学省による、平成27年度(2015年4月~2016年3月)の学校給食の調査では、全国の学校給食に使用される食材の77.7%が国産だと発表されています。

ただ、残りの約20%は外国産食材を使用しているということ。

では、どのような外国産の食材が使用されているのか、また給食の安全性に対する取組みについて、地域別に見ていきましょう。

地域別に見る!給食の食材産地と安全性への取組み

地域別に見る!給食の食材産地と安全性への取組み

今回チェックするのは、東京(中央区・世田谷区・足立区・千代田区)、大阪、横浜、名古屋、福岡、函館の合計9つの地域。

それぞれの地域の学校給食に使用される外国産食材と、給食の安全性に対する取組みについてチェックしていきましょう。
まずは東京都の4区(中央区・世田谷区・足立区・千代田区)です。

まずは東京都の4区(中央区・世田谷区・足立区・千代田区)です。

中央区(東京都)

【給食に使用された外国産の食材】

食材産地
パン(小麦粉)アメリカ
カナダ
中華麺アメリカ
カナダ
スパゲッティカナダ
焼きちくわインド
タイ
アメリカ
ベトナム
マレーシア
※原料の魚
※国産も使用
ロシア
チリ
クジラアイスランド
ホキ(魚)チリ
エビインドネシア
ししゃもアイスランド
メルルーサ(魚)ニュージーランド
サバノルウェー
メカジキ大西洋
わかめ韓国
ちりめんじゃこインドネシア
さつま揚げアメリカ
タイ
マレーシア
※原料の魚
※国産も使用

※2012年月以降の使用状況を参照
参照元:東京都中央区ホームページ

お米や野菜、果物、肉類などの食材は、国産が使用されています。外国産食材が使用されているのは、国内生産が少ない小麦や魚介類です。

ちなみに中央区は2014年10月10日付けで、学校給食に中国産の食材を使用していないことを発表しています。

一部の調味料には中国産の原料が含まれている場合もあるものの、安全確認をおこなったうえで使用しているとされています。

また東京都教育委員会では、2012~2013年の学校給食に使用される食材の放射性物質検査を実施。

上記の検査期間中に、国の基準値を超える食材は1件も検出されませんでした。そのことから、2014年3月31日をもって東京都教育委員会がおこなう給食用食材の放射性物質検査は終了しています。

世田谷区(東京都)

【給食に使用された外国産の食材】

食材産地
イカペルー
メルルーサ(魚)南アフリカ
メキシコ
アルゼンチン
シルバー(魚)ニュージーランド
ししゃもアイスランド
ノルウェー
えびマレーシア
インドネシア
ブラックタイガーインド
サバアイスランド
アジニュージーランド
イワシモロッコ
ホールコーンアメリカ
ホールトマトイタリア
トマトイタリア
メロンニュージーランド

※2016年1月以降の使用状況を参照
参照元:東京都世田谷区ホームページ

世田谷区もお米や野菜、果物、肉などの食材は国産を使用。

使用されている外国産の食材は、スーパーなどでも取り扱われているエビやししゃもなどの魚介類、国内生産量が少ないトウモロコシなどです。

国内外問わず、必ず産地を確認し使用されています。

また残留農薬の対策として、野菜は流水で3回以上洗浄し、必ず加熱調理して提供することが徹底されています。

また残留農薬の対策として、野菜は流水で3回以上洗浄し、必ず加熱調理して提供することが徹底されています。

足立区(東京都)

【給食に使用された外国産の食材】

食材産地
タコアフリカ
イカペルー
エビインド
ミャンマー
メルルーサ(魚)ニュージーランド
アルゼンチン
ホキ(魚)ニュージーランド
ホッケアメリカ
サワラ韓国
ししゃもノルウェー
ノルウェー
チリ
アジニュージーランド
タイ
サバノルウェー
ワカメ韓国
ひじき韓国
かぼちゃメキシコ
ひよこ豆アメリカ
アーモンドアメリカ
クルミアメリカ
キウイフルーツニュージーランド
パインフィリピン
パイン(缶詰)タイ
インドネシア
モモ(缶詰)ギリシャ

※2016年4月以降の使用状況を参照
参照元:東京都足立区立足立小学校ホームページ

足立区立足立小学校は、写真付きで学校給食の情報を公開しているので、実際に子どもたちが食べる給食を確認することができます。

千代田区(東京都)

【給食に使用された外国産の食材】

食材産地
エビミャンマー
インドネシア
インド
サンマ台湾
ししゃもカナダ
アイスランド
メルルーサ(魚)ニュージーランド
メキシコ
サワラ東シナ海
(アジア圏)
太刀魚アフリカ
モロッコ
マダラ北ベーリング海
(北アメリカ)
赤魚アメリカ
アメリカ
チリ
サバカナダ
ノルウェー
ホキ(魚)ニュージーランド
ワカサギカナダ
ロシア
枝豆タイ
さやいんげんインドネシア
かぼちゃメキシコ
とうもろこしタイ
アメリカ
赤・黄ピーマンオランダ(赤)
アメリカ(黄)
パプリカアメリカ
グリンピースニュージーランド
パイン缶インドネシア
タイ
モモ缶ギリシャ
バナナエクアドル
フィリピン
オレンジアメリカ
オーストラリア
レモンアメリカ
キウイフルーツニュージーランド

※2017年1月以降の使用状況を参照
参照元:東京都千代田区ホームページ

千代田区も使用される食材の産地確認を徹底しています。

また食物アレルギーの対応マニュアルも独自で制作し、学校給食による食物アレルギー事故の防止に力を入れています。

【千代田区教育委員会による学校給食の食物アレルギー対応マニュアル】
参照元:東京都千代田区ホームページ-食物アレルギー対応マニュアルpdf

大阪市

大阪市

【給食に使用された外国産の食材】

食材産地
パン(小麦粉)アメリカ
カナダ
オーストラリア
スパゲッティアメリカ
カナダ
エビインドネシア
パキスタン
イカアルゼンチン
台湾
タコモーリタニア
アメリカ
ロシア
もやしミャンマー
グリンピースアメリカ
ニュージーランド
うすあげアメリカ
カナダ
いりゴマエチオピア
グアテマラ
ニカラグラ
粉末チーズオランダ
ベーコンスペイン
デンマーク
ヨーグルトアメリカ
オーストラリア
ニュージーランド
※国産も使用
トマト缶イタリア
オレンジアメリカ
ブルーベリー
ジャム
アメリカ
カナダ

※2017年7月以降の使用状況を参照
参照元:大阪市学校給食協会ホームページ

大阪市も東京都と同じくお米や野菜などは国産を使用し、国産では調達しにくい小麦や魚介類などを輸入品でまかなっています。

また大阪市学校給食協会のホームページでは、給食に使用される食材の産地を2週間ごとに分けて細かく公開。

その他にも放射性物質の検査結果やアレルゲン検査など、給食の安全性に対する取り組みが確認できます。

【大阪市学校給食協会】
参照元:大阪市学校給食協会ホームページ

横浜市

横浜市

【給食に使用された外国産の食材】

食材産地
パン(小麦粉)アメリカ
※国産も使用
スパゲッティカナダ
アメリカ
そうめんカナダ
アメリカ
オーストラリア
アジタイ
ベトナム
ししゃもノルウェー
アイスランド
さつま揚げアメリカ
※原料の魚
豆腐
油揚げ
アメリカ
カナダ
※国産も使用
炒り豆腐アメリカ
カナダ
いりゴマパラグアイ
ボリビア
グアテマラなど
チーズニュージーランド
オセアニア
オーストラリア
※国産も使用
発酵乳ニュージーランド
オーストラリア
※国産も使用
味噌
(原料の大豆)
アメリカ
カナダ
モモ缶ギリシャ
トマト缶イタリア
パイン缶インドネシア
タイ
グレープゼリーアメリカ
ブラジル
※国産も使用

※2017年7月以降の使用状況を参照
参照元:よこはま学校食育財団ホームページ

横浜市も給食に使用される、国産食材と外国産食材の内容はほとんど変わりません。

ただ横浜市はさらに給食の安全性を保つために、多くの検査を実施しています。

その1つが、農産物に残る農薬量の抜き打ち検査。輸入食品も納入業者に残留農薬の検査結果の提示すること義務付ける徹底ぶりです。

その1つが、農産物に残る農薬量の抜き打ち検査。輸入食品も納入業者に残留農薬の検査結果の提示すること義務付ける徹底ぶりです。

ほかにも、病原菌の有無を調べる微生物検査、加工食品に含まれる添加物の基準値、遺伝子組換え作物の有無、産地、放射性物質など、多くの検査がおこなわれています。

【よこはま学校食育財団の安全・安心への取組】
参照元:よこはま学校食育財団の安全・安心への取組ホームページ

名古屋市

名古屋市

【給食に使用された外国産の食材】

食材産地
パン(小麦粉)アメリカ
カナダ
※国産も使用
麺類アメリカ
カナダ
オーストラリア
※国産も使用
ワカサギカナダ
アジニュージーランド
エビインドネシア
インド
パキスタン
マグロ(加工品)ベトナム
タイ
フィリピン
わかめ・ひじき韓国
牛肉オーストラリア
ハンバーグ(豚)アメリカ
カナダ
※国産も使用
ベーコンデンマーク
チリ
スペインなど
冷凍グリンピースアメリカ
醤油
(原料の大豆)
アメリカ
インド
味噌
(原料の大豆)
アメリカ
カナダ
砂糖オーストラリア
タイなど
※国産も使用

※2017年4月以降の使用状況を参照
参照元:名古屋市ホームページ

名古屋市はお米と牛乳は愛知県産の使用を徹底しています。

他の地域では肉類の外国産の使用は少なかったのですが、牛肉や加工肉(ハンバーグ)などに外国産の食品を使用。

ただ、加工品を使用する際は添加物の使用が少ないものを優先的に選び、遺伝子組み換え食品は使用しないことを提言しています。

また放射性物質の検査結果も随時公開しています。

福岡市

福岡市

【給食に使用された外国産の食材】

食材産地
パン(小麦粉)アメリカ
カナダ
中華麺アメリカ
オーストラリア
スパゲッティカナダ
焼きふアメリカ
カナダ
豆腐類アメリカ
カナダ
ホキ(魚)ニュージーランド
アメリカ
タイ
サバノルウェー
きびなごアメリカ
カナダ
ベトナム
※国産も使用
わかめ韓国
ちくわアメリカ
インド
ベーコンデンマーク
アイルランド
脱脂粉乳ニュージーランド
鶏レバーフランス
※国産も使用
チーズニュージーランド
オーストラリア
うずらの卵タイ
コーン缶タイ
トマト水煮イタリア
白ゴマ北中南米
アフリカ
モモ缶ギリシャ
パイン缶タイ
レモン果汁イスラエル
アルゼンチン
フルーツ寒天ブラジル
※国産も使用

※2017年7月以降の使用状況を参照

福岡市は地産地消を重視し、給食に使用する食材は市内産・県内産・九州産を優先的に使用しています。

その結果、お米・豚肉・鶏肉・牛乳は九州産のみを使用。その他の食品も福岡県産・九州産を中心に国産食材が使用されています。

その結果、お米・豚肉・鶏肉・牛乳は九州産のみを使用。その他の食品も福岡県産・九州産を中心に国産食材が使用されています。

また以前に学校給食などで使用される、プラスチック容器の安全性が問題になったことから、給食に使用される容器の安全性検査も実施されています。

【給食の食器検査の結果】
参照元:福岡市ホームページ-食器検査の結果pdf

函館市

函館市

【給食に使用された外国産の食材】

食材産地
エビミャンマー
インド
ベトナム
カニ韓国
※国産も使用
ししゃもアイスランド
カナダ
ノルウェー
ホキ(魚)ニュージーランド

※2017年7月以降の使用状況を参照
参照元:函館市の学校給食

函館市の学校給食は、お米・小麦・卵・牛乳・肉(牛・豚・鶏)のすべてが北海道産です。

函館市の学校給食は、お米・小麦・卵・牛乳・肉(牛・豚・鶏)のすべてが北海道産です。

日本は小麦の生産量が少なく、小麦の約9割を輸入に頼っていますが、北海道は国内の小麦生産量第1位のため、小麦も国産を使用しているのはさすがです。

さらに魚介類、野菜、果物も原則として、函館産もしくは北海道産などの国産を使用。どうしても国産で調達できないものに限り、外国産の食材を利用しています。

その結果、平成28年度(2016年4月~2017年3月)の国産食材の使用率は84.3%。

そのうち、お米、小麦(パン)、牛乳、卵、野菜、果物は100%が国産で、外国産を利用している魚介類でも使用率は15.7%とごくわずかです。

このように学校給食の安全性は、各地域で細かく取組まれています。また全国的に地産地消が重視されていて、利用する食材は近隣地域からの調達が目立ちます。

外国産食材はスーパーで見かけるものが多く、中国産食材はどこも利用していませんでした。

学校給食による食物アレルギー事故を防ぐには

学校給食による食物アレルギー事故を防ぐには

また学校給食の安全を守るために、細心の注意が必要とされるのが食物アレルギー対策。

学校給食は調理や配膳などに気をつけていても、些細なことがきっかけで食物アレルギー事故が発生する危険性があります。

そのため学校側と保護者、児童自身と十分に情報を共有し、そのうえで常に食物アレルギーに対して注意・警戒しなければいけません。

特に緊急性が高い食物アレルギーが起こった場合は、5分以内の判断が命を左右します。

下記のような症状が児童に見られた場合は、食物アレルギーを疑い速やかな対応が必要です。

緊急性の高いアレルギー症状

緊急性の高いアレルギー症状
【全身】

  • 意識がもうろうとして、ぐったりしている
  • 脈が乱れている
  • 爪や唇が青白い
  • 尿や便をもらしている

【呼吸器系】

  • 息がしにくく、呼吸がゼーゼーしている
  • 声がかすれている
  • 強いせき込みが続いている
  • のどや胸元が苦しそうにみえる

【消化器系】

  • 激しい腹痛、おう吐を繰り返す

これらの症状が1つでもあれば、呼吸困難や意識障害を引き起こすアナフィラキシーを引き起こしている恐れがあります。

すぐ救急車を呼び、アナフィラキシーの症状を一時的に緩和させるエピペンがあれば、ただちに使用します。

このとき、アレルギー症状を起こしている児童を歩かせたり立たせたりせず、その場で安静にさせて救急車を待つこと。

意識がなくぐったりしている場合は足を高くして仰向けに寝かせ、吐き気がある場合は横向きに寝かせて、吐き出したものが喉に詰まらないように注意しましょう。

またこのような事態が発生する前に、誰がどんな行動をとるのか決めておくと慌てずに対応できます。

給食はみんなで食事する楽しい時間なので、食物アレルギーを持つ児童を含め全員で事故を予防していきましょう。

まとめ

学校給食は、使用される多くの食材が国産でとても安心しました。

さらに産地確認の徹底や残留農薬、衛生面、放射性物質などの検査もおこなわれていて、大きな危険性はないように感じます。

給食は成長途中の子ども達にとって大切なものなので、今後も取組み方や対応について常に気を配っていきたいものです。

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