妊娠中の食事の注意点は3つ!ひと目で分かる「妊娠中のNG・OK食品」

妊娠中の食事の注意点は3つ!ひと目で分かる「妊娠中のNG・OK食品」

妊娠が分かると、急に心配になるのが食事。
普段は何も気にせず食事していた人も、赤ちゃんへの影響を考えると何を食べていいか不安になる人も多いはず。

とくに妊娠中は普段よりも体が敏感になっているので、今まで普通に食べていた食品が体に悪影響を及ぼす場合もあります。

そこで、「妊娠中に食べてはいけない食品」について調べてみました。
妊娠中の食事の注意点3つと、妊娠時の「NG食品・OK食品」を確認していきましょう。

妊娠中の食事で注意したい3つのポイントとは

妊娠中の食事で注意したい3つのポイントとは

妊娠中の食事はおなかの赤ちゃんにも影響するため、普段よりも注意が必要。とはいえ、注意が必要な食品を1つずつ覚えるのは大変です…。

そこで、まずは妊娠中の食事の注意点を押さえましょう。注意するポイントが分かると、注意が必要な食品を簡単に見分けることができます。

妊娠時の食事の注意点は、大きくわけて下記の3つ。

【妊娠中の食事の注意点】

  • 食中毒(肉や貝、チーズなどの生食)
  • 有害物質や食品中の成分(水銀やカフェインなど)
  • 栄養素の過剰摂取(ビタミンAやヨウ素など)

1つずつ詳しく見ていきましょう。

妊娠中は、肉類や魚介類を生で食べない

妊娠中は、肉類や魚介類を生で食べない

食中毒は妊娠中でなくても注意が必要ですが、妊娠中は普段よりも免疫力が低下しやすいため、より警戒する必要があります。

特に妊娠中に感染しやすいのが、リステリア菌による食中毒。胎盤を通じて赤ちゃんに感染し、早産や流産、死産を引き起こす危険性があります。

リステリア菌食中毒の原因食品に多いのが、生ハム、パテやテリーヌ(半生の加工肉)、ナチュラルチーズ、スモークサーモンなどの加熱が不十分の食品。

普段は生ハムやナチュラルチーズを摂取しても食中毒を起こすことはありませんが、妊娠中は免疫力の低下により、少しの菌でも食中毒を発症する恐れがあります。

ちなみに、リステリア菌は4℃以下でも繁殖が可能。そのため生ハムやナチュラルチーズを冷蔵庫保存しても、食中毒を防ぐことはできません。

ですから、妊娠中は生ハムやナチュラルチーズ、スモークサーモンなどは、しっかり火を通す必要があります。

ですから、妊娠中は生ハムやナチュラルチーズ、スモークサーモンなどは、しっかり火を通す必要があります。

その他、O-157(腸管出血性大腸菌)やノロウイルスなどの食中毒を防ぐためにも、妊娠中は肉類や魚介類、卵の生食は避け、十分加熱してから摂取すること。

生で摂取する野菜や果物はよく洗い、調理器具はいつも清潔に保つように注意しましょう。

水銀やヒ素などの有害物質は、摂取量に注意

また食品に含まれる有害物質や食品中の成分が、おなかの赤ちゃんに悪影響を及ぼす場合があります。

ただ、その影響は過剰摂取した場合に起こると考えられているため、摂取量に注意すれば予防できます。

注意が必要な有害物質や成分と、それぞれの成分が胎児に与える影響は下記のとおりです。

成分赤ちゃんへの影響主な食品
水銀
(有害物質)
胎児の神経系に
悪影響を及ぼす
ヒ素
(有害物質)
胎児の奇形や
脳障害のリスク上昇
ひじき
アルコール胎児の成長・発達に
悪影響を及ぼす
アルコール
飲料
カフェイン胎児の発育を
阻害する
コーヒー
お茶類

水銀

水銀は海などの自然界に存在している化合物。そのため海の中では食物連鎖の頂点にいるクジラをはじめ、大型の魚に多く蓄積されています。

水銀は海などの自然界に存在している化合物。そのため海の中では食物連鎖の頂点にいるクジラをはじめ、大型の魚に多く蓄積されています。

水銀の過剰摂取による影響は、音を聞いたときの反応が1/1000秒以下のレベルで遅れる可能性があるとされています。

そのため厚生労働省は、水銀量が多い魚は週80g以内の摂取を推奨。一方、イワシやサバなどの小型の魚は水銀量が少ないので、摂取量に注意する必要はありません。

ヒ素

ヒ素は食品の中ではひじきに多く含まれている有毒物質。過剰摂取すると胎児奇形や脳障害を起こす危険性があります。

ヒ素は食品の中ではひじきに多く含まれている有毒物質。過剰摂取すると胎児奇形や脳障害を起こす危険性があります。

とはいえ、摂取量に注意すれば危険が及ぶ心配はありません。

ひじきはカルシウムやβカロテン、鉄などの栄養も豊富なので、1回の摂取は小鉢1杯(乾燥ひじき5g)を目安に、週2回までに留めましょう。

アルコール

ビールや日本酒、ワインなどのアルコール飲料は、胎児の成長や発達に悪影響を及ぼします。妊娠中や授乳中は摂取してはいけません。

ビールや日本酒、ワインなどのアルコール飲料は、胎児の成長や発達に悪影響を及ぼします。妊娠中や授乳中は摂取してはいけません。

カフェイン

カフェインはコーヒーや紅茶、緑茶などに含まれる成分。少量の摂取であれば問題ありませんが、過剰摂取すると胎児の発育を阻害するので、過剰摂取しないように注意が必要です。

カフェインはコーヒーや紅茶、緑茶などに含まれる成分。少量の摂取であれば問題ありませんが、過剰摂取すると胎児の発育を阻害するので、過剰摂取しないように注意が必要です。

ビタミンAの過剰摂取は、胎児奇形のリスクを高める

ビタミンAの過剰摂取は、胎児奇形のリスクを高める

さらに有害成分だけでなく、栄養素の過剰摂取も赤ちゃんに悪影響を及ぼす場合があります。

その1つが、レバーやウナギに豊富に含まれるビタミンA。ビタミンAは体内に蓄積されやすく、妊娠初期に過剰摂取すると胎児の奇形を引き起こす危険性があります。

ビタミンAの 1日の摂取上限量は、2,700μg(2.7mg)。妊娠中はこの量を超えないように注意が必要です。

ちなみに、ニンジンやホウレン草などに含まれるβカロテンは、体内でビタミンAに変換される栄養素ですが、βカロテンを過剰摂取しても奇形のリスクは高まりません。

その理由は、βカロテンは体内のビタミンAの量に合わせて変換されるから。そのためβカロテンを摂りすぎても必要以上にビタミンAに変換されないので、奇形のリスクに影響しないのです。

また、昆布などの海藻類に含まれるヨウ素にも注意が必要。ヨウ素は過剰摂取すると胎児の甲状腺機能を低下させます。

ヨウ素の摂取上限量は1日2,000μg(2.0mg)。昆布はダシなどから摂取しやすいので、海藻類ばかりを摂取するのは避けましょう。

ヨウ素の摂取上限量は1日2,000μg(2.0mg)。昆布はダシなどから摂取しやすいので、海藻類ばかりを摂取するのは避けましょう。

以上の食中毒・有害物質・栄養素の過剰摂取の3点が、妊娠中の食事で注意が必要なポイントです。

次からは、この3つの注意点をもとに、肉類や魚介類、飲料などの食品を【○問題なし・ △注意事項アリ・?摂取不可】で評価しています。さっそく確認していきましょう。

妊娠中に食べて、「NGな食品」と「OKな食品」

妊娠中に食べて、「NGな食品」と「OKな食品」

肉類、乳製品、卵

食品安全性注意点
生肉・生ハム×食中毒の危険性あり
必ず加熱する
レバービタミンAが豊富なので
摂取量に注意
加工肉
(ベーコン等)
加熱処理された加工肉は問題なし
塩分に注意
ナチュラル
チーズ
×食中毒の危険性あり
必ず加熱する
プロセス
チーズ
加熱処理されているので問題なし
塩分に注意
生卵×食中毒の危険性あり
必ず加熱する
牛乳胎児のアレルギーへの影響はない
ヨーグルト胎児のアレルギーへの影響はない
便秘予防に効果的

【評価基準】○‥問題なし △‥注意事項アリ ×‥摂取不可

・生や加熱不十分な食品に注意
生肉や生ハム、ナチュラルチーズなどの加熱不十分な食品は、リステリア菌による食中毒の危険性があるので、そのまま摂取してはいけません。必ず加熱してから食べましょう。

生肉や生ハム、ナチュラルチーズなどの加熱不十分な食品は、リステリア菌による食中毒の危険性があるので、そのまま摂取してはいけません。必ず加熱してから食べましょう。

・レバーの食べ過ぎに注意
ビタミンAが多く含まれるレバーは、1日串焼き1本程度(4g)まで。

・卵や牛乳アレルギーの影響
妊婦の卵や牛乳の摂取による、胎児のアレルギーの影響は無関係だと考えられています。

魚介類

食品安全性注意点
生魚×食中毒の危険性あり
生食は避ける
本マグロ
キンメダイ
水銀量が多い
摂取量は1週間80gまで
サバ・アジ等水銀量が少ない
注意する必要なし
ツナ缶水銀量が少ない
注意する必要なし
ウナギビタミンAが豊富なので
摂取は週1回まで
貝・甲殻類生食は食中毒の危険性あり
必ず加熱する
タコ・イカ生食は食中毒の危険性あり
必ず加熱する
タラコ・イクラ食中毒の危険があるので生食NG
塩分に注意
昆布過剰摂取すると
胎児の甲状腺機能を低下させる
ひじきヒ素が含まれているので
摂取量は週10gまで

【評価基準】○‥問題なし △‥注意事項アリ ×‥摂取不可

・生や加熱不十分な食品に注意
肉と同じく、魚介類も食中毒予防のため生食は避け、しっかり加熱しましょう。

肉と同じく、魚介類も食中毒予防のため生食は避け、しっかり加熱しましょう。

・魚に含まれる水銀
水銀はマグロやキンメダイ、カジキなどに多く含まれているので、これらの魚は週80gまでの摂取に留めましょう。

イワシやサバ、アジ、サンマ、ツナ缶などは水銀量を気にせず、摂取して問題ありません。魚に含まれるDHAやEPAは、胎児の脳や神経系の発育に欠かせないため、魚もしっかり摂取する必要があります。

飲み物

食品安全性注意点
アルコール
飲料
×赤ちゃんの成長・発達に
悪影響を及ぼす
緑茶
ウーロン茶
【カフェイン含む】
1日の摂取量はカップ3杯まで
麦茶【カフェイン含まない】
 安心して摂取できる
コーヒー【カフェイン含む】
1日の摂取量はカップ2杯まで
紅茶【カフェイン含む】
1日の摂取量はカップ3杯まで
ハーブティーハーブの種類によって
摂取OKとNGがある
ココア【カフェイン含む】※少量
飲み過ぎなければ問題なし
炭酸飲料飲み過ぎなければ問題なし
甘酒米こうじが原料ならOK
※ノンアルコールタイプ
栄養ドリンク×カフェインが高濃度で
含まれている製品が多い

【評価基準】○‥問題なし △‥注意事項アリ ×‥摂取不可

・妊娠・授乳中はお酒を控えて

妊娠・授乳中のアルコール摂取は、胎児に悪影響を及ぼす危険があるので摂取しないこと。料理で使用する際は、しっかり加熱してアルコールを飛ばしましょう。

妊娠・授乳中のアルコール摂取は、胎児に悪影響を及ぼす危険があるので摂取しないこと。料理で使用する際は、しっかり加熱してアルコールを飛ばしましょう。

またノンアルコールタイプのビールでも、アルコールがごく少量含まれている製品もあります。摂取する場合は産婦人科の先生に確認を取ってからにしましょう。

・カフェインの摂り過ぎに注意
お茶類やコーヒーの注意点は、カフェインの量がポイントになります。
カフェインは胎児の発育を阻害する恐れがあるので、過剰摂取しないように注意が必要。

コーヒーやお茶は濃くなるとカフェインの量が増えます。濃いタイプを摂取する場合は目安量の半分に減らしましょう。

・ハーブティーは種類に注意

ハーブティーはカフェインが含まれていないものがほとんどですが、ハーブの種類によっては子宮の収縮作用によって、早産や流産の危険性を高める場合があります。

ハーブティーはカフェインが含まれていないものがほとんどですが、ハーブの種類によっては子宮の収縮作用によって、早産や流産の危険性を高める場合があります。

ハーブティーを摂取する際は、「妊婦さんOK」の表示がある製品やお店の人に確認しましょう。

妊娠中NG:カモミールティー、ハトムギ茶、アロエ茶、ベニバナ茶、セントジョーンズワートティーなど
妊娠中OK:ルイボスティー、ローズヒップティー

その他(お菓子・インスタント食品・香辛料)

食品安全性注意点
チョコレート糖分や脂肪分が多い
カフェインも含むので量に注意
スナック菓子高カロリーで塩分が多い
食べ過ぎに注意
はちみつ胎児に影響しない
食べすぎなければOK
インスタント食品栄養の偏り・
塩分の摂り過ぎに注意
香辛料辛い食品は胃に負担がかかる
食べ過ぎに注意
カロリーオフ食品下痢を起こす場合がある
食べ過ぎに注意

【評価基準】○‥問題なし △‥注意事項アリ ×‥摂取不可

・嗜好品や刺激物はほどほどに

お菓子やインスタント食品、辛い食べ物などを食べたいのに我慢するとストレスになるので、ときどき摂取する程度なら問題ありません。

お菓子やインスタント食品、辛い食べ物などを食べたいのに我慢するとストレスになるので、ときどき摂取する程度なら問題ありません。

ただお菓子やインスタント食品は塩分や油分が多かったり、刺激物は胃に負担をかけるので食べ過ぎには注意しましょう。

妊娠中の食事は以上のことに注意しながら、栄養バランスの良い食事を心掛けていきましょう。

ママの肥満や痩せすぎは、赤ちゃんに悪影響を及ぼす

ママの肥満や痩せすぎは、赤ちゃんに悪影響を及ぼす

また妊娠中の肥満や痩せすぎは、赤ちゃんに悪影響を及ぼす危険性があります。

そのため厚生労働省では、妊娠前の体格別に体重増加の目安を示しています。

体格推奨体重増加量
低体重(やせ)
BMI18.5未満
9~12kg
ふつう
BMI18.5~24.9
7~12kg
肥満
BMI25以上
個別対応
※5kgが目安

もともと痩せ型の人や妊娠期に体重の増加が少ないと、低出生体重児や早産、流産の危険性が高くなります。

一方、もともと肥満体型の人は意識障害や全身のけいれんを引き起こす妊娠中毒症や妊娠糖尿病のリスクが高くなります。

また妊娠期に体重が増えすぎると、前期破水や胎児の心拍数以上などを引き起こす場合があるので注意が必要です。

母子ともの健康を保つためには、栄養バランスの良い食事を心掛けるのと同時に、しっかり体重管理もおこなっていきましょう。

まとめ

妊娠中の食事は、赤ちゃんの成長やママの健康維持に重要な役割があります。

食中毒・有害物質・栄養過剰の3つのポイントに気をつけながら、栄養が偏らないように色んな食品を摂取するのが理想です。

ただ、つわりがひどい時や特定の食品しか受けつけないときは、食べることを優先しましょう。

また神経質になりすぎるとストレスを溜め込むことにもなります。ほとんどの食品は過剰摂取しなければ問題ないので、食べたいものを食べながら心身ともに健康的な食生活を心掛けていきましょう。

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