お菓子の危険性は添加物より油!植物油脂やショートニングが動脈硬化の原因?

お菓子の危険性は添加物より油!植物油脂やショートニングが動脈硬化の原因?

子どもから大人まで、みんなが大好きなお菓子。
チョコレートやクッキーなどの甘いお菓子を食べると幸せな気分になりますが、その一方で心配な点もあります。

それは着色料をはじめとする添加物や、お菓子に含まれる砂糖の量。
特にピンクやブルーなどのカラフルなお菓子は、食品と思えないほど鮮やかで、体への影響が気になります。

またお菓子に多く含まれる砂糖は、イライラの原因や骨の減少など体に有害だと警戒する声も…。

そこで、お菓子の危険性について調べてみました。
お菓子を選ぶときに、どのような点に注意すれば良いのか確認していきましょう。

お菓子に含まれる添加物の危険性は?

お菓子は色んな種類がありますが、危険なお菓子を見分けるポイントは共通しています。
そのポイントとなるのが、添加物・砂糖・油の3点です。

1つずつ順番に見ていきましょう。

まずお菓子の原料で最も気になるのが、着色料や増粘剤などの添加物。

お菓子に含まれる添加物の危険性は?

世間では、添加物の発がん性やアレルギーの誘発性を危険視する声もあり、体への影響が心配です。

添加物は植物や食品を利用した自然由来のものと、人工的に合成して作られる化学由来のものがあり、よく問題視されるのは化学由来の合成添加物です。

合成添加物は石油など、食品に使用するには抵抗のあるものが原料に使用されているため、体に悪影響を与えるのではないかと危険視されています。

例えば、着色料の食用赤色102号や食用黄色4号などは、食用タール系色素と呼ばれる石油由来の添加物。
食品に鮮やかな色を加えることができますが、その色の濃さに抵抗を感じる人も多いはずです。

しかし結論からいうと、添加物が体に与える影響は心配ありません。

その理由は、添加物は一生涯、毎日摂取しても健康に害を与えない量(ADI:1日摂取許容量)の範囲内で使用されているからです。

そもそも食品は良い面と悪い面のどちらも併せ持っています。

例えば、野菜に含まれるビタミンは適量であれば体に良い作用として働きますが、必要以上に過剰摂取すれば、副作用が起こります。

そのため食品を安全に摂取するポイントは、摂取量が重要となるのです。

ただ、石油などの合成添加物はもともと食品ではなく、量以前の問題だと思うかもしれません。

だからこそ体に悪い影響を与えないように、発がん性やアレルギーへの影響、遺伝性など、さまざまな試験で毒性を確認し、安全に使用できる量(ADI)が設定されているのです。

だからこそ体に悪い影響を与えないように、発がん性やアレルギーへの影響、遺伝性など、さまざまな試験で毒性を確認し、安全に使用できる量(ADI)が設定されているのです。

なおADI(1日摂取許容量)を設定するのは、JECFA(FAO/WHO合同食品添加物専門家会議)という国際機関。

添加物はさまざまな試験で毒性の有無を確認し、その結果をもとに国際基準によって使用量が決められているのです。
そのためお菓子をはじめ、食品に使用される添加物の影響は心配ないと考えらます。

続いて、砂糖の影響を見ていきましょう。

お菓子は砂糖の量が多い

お菓子は砂糖の量が多い

砂糖はチョコレートやクッキーなどの甘いお菓子だけでなく、塩味の強いスナック菓子にも含まれています。

精糖工業会による2015年度の砂糖の消費動向を見ると、砂糖が最も使用されている食品はパン・菓子類の37%。
この割合は飲料の21%、乳製品の11%を抑えて、断トツの多さです。

精糖工業会による2015年度の砂糖の消費動向を見ると、砂糖が最も使用されている食品はパン・菓子類の37%。 この割合は飲料の21%、乳製品の11%を抑えて、断トツの多さです。

さらにパン・菓子類の内訳は、パン類8.1%と菓子類29.0%。
食品の中でも、お菓子は最も多く砂糖を消費しているのです。

そのためお菓子を食べると、砂糖の影響を受けやすくなると考えられます。

なお、砂糖の甘みは幸せな気分をもたらしてくれる一方で、砂糖を食べるとキレやすくなったり骨が減少するなどの有害性を疑う声もあります。

砂糖や砂糖を多く含むお菓子を摂取すると、本当にキレやすくなったり骨が溶けてしまうのでしょうか?

「砂糖を食べるとキレやすくなる」はウソ

「砂糖を食べるとキレやすくなる」はウソ

結論からいうと、砂糖を摂取してもキレやすくなったり骨が溶けることはありません。
その理由を1つずつ見ていきましょう。

まず砂糖有害説では、子ども達が些細なことでキレやすくなったのは砂糖が原因だと考えられています。
砂糖を摂取すると低血糖が引き起こされ、その結果、キレやすくなるというのです。

そのメカニズムを簡単に説明します。

砂糖を摂取

血糖値が上がる

血糖値を下げようと、インスリンが分泌される

大量のインスリンによって、血糖値が必要以上に下がり低血糖になる

血糖値を正常に戻すため、アドレナリンが分泌される

アドレナリンによって心拍数が上昇
興奮してイライラしやすく、些細なことでキレる

しかし、この考えには矛盾があります。

確かにアドレナリンは血糖値を上昇させるホルモンですが、血糖値を上げるホルモンはアドレナリンだけではありません。

攻撃性のあるアドレナリン以外に、攻撃性を持たない3つのホルモン(グルカゴン、成長ホルモン、コルチゾール)も血糖値を上昇させる作用があります。

低血糖時に分泌されるホルモンは、攻撃性のあるアドレナリンだけではないのです。

また、砂糖を摂取しても低血糖に陥ることはほとんどありません。

血糖値が上昇すると膵臓からインスリンが分泌されるのですが、血糖値が正常値まで下がればインスリンは分泌されなくなります。

血糖値はある一定の範囲内でなければ体に悪影響を及ぼすため、必要以上に血糖値下がらないように膵臓がインスリンの分泌量を調節するのです。

以上のことから、砂糖がイライラや暴力性の原因とは言えず、お菓子を食べたからといってキレやすくなることはありません。

続いて、骨への影響を見ていきましょう。

砂糖を食べても骨は溶けない

砂糖を食べても骨は溶けない

砂糖有害説では、砂糖を摂取すると骨に含まれるカルシウムが減少するとも考えられています。
その理由も砂糖に含まれるブドウ糖が関係しています。

ブドウ糖は私たちのエネルギー源として代謝されるのですが、ブドウ糖をエネルギーに変えるにはビタミンB1が必要不可欠です。

ところが砂糖にビタミンB1は含まれていないため、ブドウ糖がスムーズに代謝されず、乳酸やピルビン酸となって体内に蓄積します。

なお、私たちの体内のpH値(酸性~アルカリ性の度合い)は、約7.4の弱アルカリ性。
そこに酸性の乳酸やピルビン酸が蓄積することで、体内のpH値が酸性に傾くのです。

そのためミネラルの作用によって、pH値をもとに戻そうと働きかけるのですが、そのときに使用されるミネラルが骨に含まれるカルシウムだというのです。

しかし、この考えにも矛盾があります。

まず、私たちは砂糖以外にもさまざまな食品を摂取しています。
そのため砂糖にビタミンB1が含まれていなくても、他の食品で摂取したビタミンB1によって砂糖に含まれるブドウ糖もエネルギーとして消費が可能です。

また、ビタミンB1を十分摂取していなくても、乳酸やピルビン酸の影響によって体内のカルシウムが減少することもありません。

もし体内のカルシウムが減少するのであれば、それは高乳酸血症や高ピルビン酸血症という病気によるもの。
砂糖や栄養の偏りによって、引き起こされるものではありません。

そのため、砂糖の摂取による骨への影響も心配ないでしょう。

ただ、砂糖の摂取にも注意点があります。

やっぱり砂糖は肥満のもと

やっぱり砂糖は肥満のもと

砂糖を摂取する上での注意点は、過剰摂取しないこと。
砂糖は肥満と虫歯のリスクを高めるため、過剰摂取には注意が必要です。

まず肥満への影響は、砂糖の主成分のショ糖(ブドウ糖と果糖が結合したもの)が関係しています。

ショ糖は体内に入るとブドウ糖と果糖に分解されて吸収されるのですが、ブドウ糖と果糖はどちらも過剰摂取すると肥満につながる危険性があるのです。

1つ目のブドウ糖は、前の章でもお伝えしたように血糖値を上昇させる作用があります。

血糖値はある一定の範囲内でしか正常に働かないので、上昇した血糖値を元に戻すためにインスリンが分泌されることをお話しました。

インスリンは血糖値を下げるだけでなく、脂肪の合成を促したり、体内にある脂肪の分解を阻害する作用があります。

そのため砂糖の過剰摂取によって血糖値が上昇するほど、インスリンが大量に分泌されて、体に脂肪が溜まりやすくなるのです。

2つ目の果糖は血糖値を上げにくい性質のため、インスリンによる肥満の心配はありません。

ただしブドウ糖よりも中性脂肪として体内に溜まりやすいので、消費カロリー以上の摂取分は体脂肪として蓄積されます。

このように、砂糖はブドウ糖と果糖のどちらの影響も受けるため、過剰摂取には注意が必要なのです。

また、お菓子はエネルギー補給が目的というよりも、「チョコレートやスナック菓子が食べたい」という欲求から食べることがほとんど。
そのため余分な摂取カロリーとなって、体内に蓄積されやすいのです。

続いて、虫歯への影響を見ていきましょう。

お菓子を食べると、口の中は虫歯が発生しやすくなる

お菓子を食べると、口の中は虫歯が発生しやすくなる

砂糖は虫歯菌のエサとも言われますが、これは事実。
虫歯菌は砂糖などに含まれる糖質を利用して酸をつくり、その酸で歯のエナメル質を溶かして虫歯を作りだします。

ですから糖質を含む食品(ご飯やパン、麺類、イモ類など)は、すべて虫歯のリスクを高めます。

糖質の多い食品の中でも、特に注意が必要なのがお菓子。
お菓子は小麦粉やジャガイモを主原料とするものが多く、虫歯のリスクを高める糖質の含有率が高い傾向にあります。

また、チョコレートやキャラメルなどは歯の表面に残りやすく、歯に汚れが付着した状態が長時間続くことが多いです。

そのためお菓子は他の食品よりも、虫歯が発生しやすい口内環境をつくり出してしまうのです。

そもそも現代人は砂糖を過剰摂取していて、世界的にも問題視されています。

そもそも現代人は砂糖を過剰摂取していて、世界的にも問題視されています。

WHO(世界保健機関)でも肥満や虫歯予防のために、砂糖などの糖類は1日のエネルギー摂取量の5%未満(ティースプーン6杯程度:約25g)を推奨しています。

ちなみに、私たち日本人が1日に摂取している砂糖の量は、平均で約50g。
ほとんどの人が、WHOが示す摂取量の2倍以上の砂糖を食べているのです。

またお菓子は片手で食べられるので、仕事中やテレビ、ケータイを見ながら食べる場合も多いと思います。

何かをしながらの「ながら食い」は、自分がどのくらいの量を食べたか把握しにくく、食べ過ぎの原因に。
砂糖の過剰摂取を防ぐためにも、お菓子は摂取量を決めてから食べるように心掛けましょう。

次は、お菓子に含まれる油の危険性です。

お菓子に含まれる危険な油とは

お菓子に含まれる危険な油とは

じつは添加物や砂糖よりも、注意が必要なのはお菓子に含まれる油脂類。
お菓子に含まれる油脂類で危険性の高いものは、2つあります。

それはマーガリンやショートニングに含まれるトランス脂肪酸と、植物油脂として表示されるパーム油です。
それぞれの危険性を確認していきましょう。

マーガリンやショートニングは、動脈硬化のリスクを高める

マーガリンやショートニングは、動脈硬化のリスクを高める

クッキーやビスケット、パイなどの小麦製品のお菓子には、原料にショートニングやマーガリンが使用されています。

ショートニングとは、植物油に水素添加して固形化した油(硬化油・食用精製加工油脂)を半固形状にしたもの。
じつは問題なのが、ショートニングの原料である硬化油です。

本来、植物油は液体なのでクッキーやパイなどに使用すると、冷めたときにベタつきやすく、サックリとした食感が失われます。

ところが水素添加された植物油は常温でも固形のままなので、冷めてもサクサク感を保ちます。
そのためクッキーやパイ菓子など、サクサクした食感がポイントのお菓子には欠かせません。

しかし、水素添加された植物油には危険な点があります。
水素添加の際に、有害なトランス脂肪酸が発生してしまうのです。

トランス脂肪酸は油に含まれる成分の1つですが、私たちの体はトランス脂肪酸を一切必要としていません。

トランス脂肪酸は栄養素として機能しないばかりか、HDL(善玉)コレステロールを減らし、LDL(悪玉)コレステロールを増やす作用があり、動脈硬化のリスクを高める危険性があります。

特に心臓に血液を送る冠動脈はトランス脂肪酸の影響を受けやすく、冠動脈性心疾患を引き起こしやすくなるのです。

そのためアメリカやヨーロッパなどでは、食品に含まれるトランス脂肪酸の量に規制を設けて、摂取量を抑える対策が取られています。

ところが日本は海外に比べてトランス脂肪酸の摂取量が少ないという理由から、何も規制されていないのです。

食品の中でもトランス脂肪酸の量が多いショートニングやマーガリンは、小麦製品のお菓子やパンなど、子どもがよく食べる食品に多く使用されています。

食品の中でもトランス脂肪酸の量が多いショートニングやマーガリンは、小麦製品のお菓子やパンなど、子どもがよく食べる食品に多く使用されています。

海外よりも摂取量は少ないかもしれませんが、子どもは大人よりも体が小さいので、トランス脂肪酸を摂取し続けることに不安が残ります。

国の規制がない分、自分で気をつけるしかありません。
なるべくショートニングやマーガリンを含まないものを選びましょう。
(※記事後半の「クッキーやパイ菓子は、ビスケットより危険」の章に補足説明あり)

続いて、パーム油の危険性です。

植物油脂に含まれるパーム油の危険性

植物油脂に含まれるパーム油の危険性

有害なトランス脂肪酸は国による規制はないものの、食品メーカーでは低減化が進められています。

その対策として使用されているのが、パーム油です。

パーム油とはアブラヤシの実(果肉)が原料の油。
(ココナッツオイルはココヤシの実が原料なので別物です)

パーム油とはアブラヤシの実(果肉)が原料の油。 (ココナッツオイルはココヤシの実が原料なので別物です)

引用元:パーム油とは

パーム油のポイントは、植物性油脂にも関わらず常温で固体ということ。

菜種油など植物性の油はほとんどが液体ですが、パーム油はバターなど動物性脂肪に豊富に含まれる飽和脂肪酸(油の成分)が多く、常温でも溶けずに固体のままです。

そのため、わざわざ植物油に水素添加して液体の油を固体化する必要もなく、加工時に発生するトランス脂肪酸の問題もありません。

おまけにパーム油は南国で年中収穫できるため安価で、含有量の多い飽和脂肪酸は熱に強く酸化しにくい点など、食品に使用するには好条件ばかり。

そのためお菓子以外の加工食品や外食産業などにも幅広く使用されていて、日本人の年間摂取量は1人あたり約4kgにも及ぶと考えられています。

そのためお菓子以外の加工食品や外食産業などにも幅広く使用されていて、日本人の年間摂取量は1人あたり約4kgにも及ぶと考えられています。

しかし、パーム油には注意点が2つあります。
それは酸化防止剤(BHA)と、飽和脂肪酸の含有量です。

1つずつ確認しましょう。

発がん性が疑われる酸化防止剤(BHA)

発がん性が疑われる酸化防止剤(BHA)

パーム油には、BHAという酸化防止剤が使用されています。
パーム油はもともと酸化しにくい油ですが、長期保存の目的としてBHAが添加されているのです。

しかし、このBHAは動物実験で発がん性が確認されたことがあります。

ただ、添加物は安全な量(ADI:1日摂取許容量)の範囲でしか使用されないため、体への影響は心配ないかもしれません。

とはいえ、パーム油は日本人が消費する油脂の中で、菜種油に次いで2番目に多く消費されています。
パーム油の摂取量が多いということは、その分BHAも摂取しているのです。

またパーム油は飲食店でも使用されていて、外食時の摂取は避けらないこともあります。
そのためBHAの摂取量を抑えるには、お菓子など自分で制限できる食品から避けるしかありません。

引き続き、パーム油の危険性を見ていきましょう。

植物油脂の摂り過ぎは、動脈硬化を引き起こす

植物油脂の摂り過ぎは、動脈硬化を引き起こす

パーム油は植物性の油でありながら、常温で溶けることなく固形のまま。
その理由は飽和脂肪酸という油の成分が多く含まれているからです。

飽和脂肪酸は常温では溶けにくい成分で、牛や豚などの動物性脂肪に多く含まれています。
バターやラードが常温で溶けないのも、飽和脂肪酸が豊富に含まれているからです。

この飽和脂肪酸には、過剰摂取すると動脈硬化のリスクを高める危険性があります。

アメリカでの30年に及ぶ研究結果から、飽和脂肪酸の摂取量が5%増加するごとに、死亡リスクが8%も高まることが確認されています。
健康な体を保つには、飽和脂肪酸を摂りすぎてはいけないのです。

しかし、現代人はすでに飽和脂肪酸を過剰摂取していると考えられています。

その主な原因は、肉の食べ過ぎ。

飽和脂肪酸は牛肉や豚肉などの脂に多く含まれているのですが、日本人の肉の摂取量は年々増加しています。

飽和脂肪酸は牛肉や豚肉などの脂に多く含まれているのですが、日本人の肉の摂取量は年々増加しています。

ですから、飽和脂肪酸の過剰摂取を避けるには、まず肉の食べ過ぎに注意することが重要です。

そして、肉の摂取量と同時に気をつけたいのがお菓子。
お菓子は毎日食べる習慣がある人も多いので、お菓子に含まれる飽和脂肪酸にも注意しましょう。

なお、お菓子の原料表示にはパーム油とは表示されていません。
お菓子はパーム油や菜種油、大豆油など数種類の油を混ぜて使用されることが多いため、『植物油脂』と一括で表示されています。

パーム油が含まれているか見分けるには、植物油脂が使われているかで判断しましょう。

以上のことから、危険なイメージが強い添加物よりも、お菓子で注意が必要なのは油や砂糖なのです。

では、お菓子の種類(スナック菓子・チョコレート・クッキー・アイスクリーム)ごとに危険性を照らし合わせてみましょう。

ポテトチップスなどのスナック菓子の注意点

ポテトチップスなどのスナック菓子の注意点

お菓子の中でもよく食べられているのが、ポテトチップスなどのスナック菓子。
スナック菓子の注意点は、やはり揚げ物などに使用される油です。

スナック菓子の製造に使用されている主な油は、パーム油・米油・菜種油などです。

パーム油は、発がん性の疑いがある酸化防止剤BHAが使用されていること。
そして過剰摂取すると、動脈硬化のリスクを高める飽和脂肪酸が多く含まれていることから、摂り過ぎには注意が必要です。

また、米油や菜種油などに含まれるリノール酸(油の成分)は、過剰摂取すると体内に炎症を引き起こす作用があります。
現代人はリノール酸も必要以上に摂取しているので、こちらも注意が必要です。

なお、おすすめは揚げ油にオリーブオイルを使用したスナック菓子。
オリーブオイルは植物油の中でも熱に強いため酸化しにくく、炎症作用のあるリノール酸も少ないので安心して食べられます。

ちなみに、ジャガイモや小麦製品を揚げたり焼いたりすると、発がん性の疑いがあるアクリルアミドが発生します。

ただ、アクリルアミドは小麦製品やジャガイモだけでなく、多くの食材でも熱を加えると発生するため避けられない物質です。

また食品メーカーでは、アクリルアミドの発生量を抑える製法が進められています。

パーム油の危険性と同じく、過剰摂取を控えることで危険性を避けましょう。

次は、チョコレートです。

チョコレートは製品によって原料の差が大きい

チョコレートは製品によって原料の差が大きい

お菓子の中でもチョコレートは、製品によって原料に大きな差があります。
本来、チョコレートの原料はカカオ豆から作られるカカオマスですが、カカオマスよりも砂糖や油が主原料のチョコもあるのです。

そもそもチョコレート製品は、原料によって大きく4つ(チョコレート・チョコレート菓子・準チョコレート・準チョコレート菓子)に分類されます。

そもそもチョコレート製品は、原料によって大きく4つ(チョコレート・チョコレート菓子・準チョコレート・準チョコレート菓子)に分類されます。

分類の基準となるチョコレート生地とは、カカオマスやココアバターに乳製品や油、香料を加えたもの。

チョコレート生地は、カカオ分が35%以上含まれることが基本です。
一方、準チョコレート生地の基準はカカオ分7%以上と、チョコレートの原料であるカカオの割合が低くなっています。

そのため原料表示の名称欄に「チョコレート」と表示されていれば、カカオ分の多いチョコレートが使用されていて、「準チョコレート」と記されていれば、カカオが少なく代わりに油を混ぜたチョコレートが使われています。

(例)いちごジャムの原料表示 ※一番上の名称をチェックする

名称いちごジャム
原材料名砂糖、いちご、酸味料(クエン酸)、ゲル化剤(ペクチン)
内容量400g
賞味期限2012.1.15
保存方法開栓前は直射日光を避け、常温で保存してください。
製造者農林水産省株式会社
東京都千代田区霞が関0-1

またチョコレート製品のランクを確認するのと同時に、原料表示も確認しましょう。

名称がチョコレートでも、砂糖や植物油脂が主原料の製品もあります。
植物油脂は危険性のあるパーム油が含まれていて、摂取に注意が必要です。

なお、原料表示の順番は含有量の多い順です。
そのためチョコレート製品を選ぶ際は、名称がチョコレートであること、そして砂糖や植物油脂が1番はじめに表示されていないものにしましょう。

傾向としては、イチゴ味のチョコや、フルーツ・ウエハースを挟んだタイプのチョコレート製品は、砂糖や植物油脂が主原料のものが多いです。

また、健康効果が認められている高カカオチョコレートにも注意点があるので、見ていきましょう。

高カカオチョコレートの過剰摂取は危険

高カカオチョコレートの過剰摂取は危険

通常のチョコレートに含まれるカカオの割合は30~40%ですが、カカオの割合を70%以上まで引き上げた高カカオチョコレートが人気を集めています。

その理由は、チョコレートに含まれるカカオポリフェノール。

カカオポリフェノールは抗酸化成分の1つで、老化や病気を引き起こす活性酸素を減らす作用があります。
さらに日本の研究で、コレステロール値の改善や血圧低下などの健康効果も確認されています。

そのためお菓子というより、健康目的で高カカオチョコレートを摂取する人も。

しかし体に良いからとはいえ、高カカオチョコレートは食べ過ぎてはいけません。

その理由は、高カカオチョコレートにはカカオポリフェノール以外の成分も、通常のチョコレートより多く含まれているからです。

例えば、カフェインやテオブロミンの含有量は通常のチョコレートの4倍。
どちらも利尿や興奮、気管支拡張(慢性的な咳や痰を引き起こす)などの作用があり、特に幼児や高齢者は影響を受けやすいので注意が必要です。

その他にも重金属のカドニウムやニッケル、カビ毒のアフラトキシンも通常より多く含まれる傾向があります。

また、高カカオチョコレートは脂質量も多いです。
通常のチョコレートの脂質(100gあたり)は平均35.1gですが、高カカオチョコレートの平均は47.1gと、10g以上も多く含まれています。

ちなみに30~40代の女性の1日に必要な脂質量は44~56g。
高カカオチョコレートを100g摂取するだけで、1日に必要な脂質量を摂取することになるのです。

 脂質(100g当たり)カカオ分の割合/表示より
高カカオチョコレート40.7~53.5g
(平均 47.1g)
70~99%
普通のチョコレート34.2g~36.1g
(平均 35.1g)
表示なし
(33~41%)
脂質の摂取目標量(g)59以上74未満
30~49歳男性
44以上56未満30~49歳女性

ちなみに板チョコ1枚でおよそ50gなので、板チョコ2枚分で1日に必要な摂取量を超えるということ。

さすがに板チョコ2枚分も1日に摂取することはないかもしれませんが、少量でも脂質が多く含まれているので気をつけましょう。

続いて、クッキーなどの小麦製品です。

クッキーやパイ菓子は、ビスケットより危険

クッキーやパイ菓子は、ビスケットより危険

油の危険性の章で、マーガリンやショートニングに含まれるトランス脂肪酸の危険性をお話しました。
トランス脂肪酸は私たちの体に一切必要ないばかりか、動脈硬化のリスクを高める有害物質です。

ただし、マーガリンやショートニングはサクサクした食感がポイントのクッキーやパイ菓子など、小麦製品には欠かせない材料。
そのため小麦製品のお菓子には、トランス脂肪酸がどうしても含まれてしまうのです。

では、できる限り摂取量を抑えるにはどうすればいいかというと、バターが使用されている製品を選びます。

そもそもマーガリンやショートニングは、コストの高いバターの代用品。
バターを使用した製品は価格が高くなるものの、トランス脂肪酸の摂取量を抑えることができます。

またお菓子の種類では、クッキーやパイ菓子などサックリ感が強いものよりも、ビスケットの方がトランス脂肪酸の含有量は低いのでおすすめです。

最後は、アイスクリームの注意点です。

ラクトアイスは油のかたまり?

ラクトアイスは油のかたまり?

アイスクリームもチョコレートのように、原料の成分によって4つの名称で分類されています。

 乳固形分乳脂肪分
アイスクリーム15.0%以上8.0%以上
アイスミルク10.0%以上3.0%以上
ラクトアイス3.0%以上-
氷菓--

乳固形(牛乳から水分を除いたもの)・乳脂肪(牛乳に含まれる脂肪)の割合が最も高いものから、アイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイス、氷菓子となっています。

この中で注意が必要なのは、ラクトアイスです。
ラクトアイスは乳固形・乳脂肪が少ない分、パーム油や菜種油で油分を調整しています。

パーム油の摂り過ぎは動脈硬化を、菜種油の過剰摂取は体内に炎症を引き起こしやすくするので、ラクトアイス以外のアイス類を選ぶようにしましょう。

まとめ

お菓子を食べると、太ったり虫歯になることは想像できましたが、動脈硬化や体内炎症など、健康に大きな影響を及ぼす危険性もあります。

ただお菓子を食べると幸せな気持ちにもなるので、嗜好品の1つとして少量を楽しむようにしましょう。

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