お肉は危険?遺伝子組み換えや成長ホルモン、生食のリスクは?

お肉は危険?遺伝子組み換えや成長ホルモン、生食のリスクは?

みんなが大好きなお肉。
しかし、家畜のエサは遺伝子組み換え作物がほとんどで、その飼料には病気を防ぐための薬が混ぜられているって知っていますか?

また、その飼料で育った家畜の肉を食べると、私たちの免疫機能などにも悪影響を及ぼすといいます。
私たちが食べているお肉は、危険な食べものなのでしょうか。

そこで、家畜の飼料や飼育方法を中心に、お肉に関することを調べてみました。
飼料や飼育環境の危険性、家畜の病気、生食のリスク、国産表示の基準など、命を食べる側として最低限知っておきたいことを、一緒に確認していきましょう。

お肉の自給率、産地の基準は?

お肉は野菜など他の食品と比べて、外国産も多く販売されています。
では、外国産のお肉がどのくらい輸入されているのか、牛肉・豚肉・鶏肉の国内自給率と主な輸入国の割合を見ていきましょう。

【国産と主な輸入国の割合】

お肉の自給率、産地の基準は? お肉の自給率、産地の基準は? お肉の自給率、産地の基準は?

※牛・豚は2014年データ、鶏は2013年データ

国内自給率が50%前後の牛肉と豚肉は、オーストラリア産やアメリカ産のものがスーパーでも多く取り扱われています。
一方、比較する3種類の中で自給率が最も高い鶏肉は、ほぼ国産しか見かけません。

ところが、国産表示の肉でも、海外で生まれた家畜の場合があるのです。
いったい、お肉の産地はどうやって決められているのでしょうか?

お肉の産地は、飼育期間が最も長い国のこと

結論からいうと、お肉は飼育期間の最も長い国が産地として表示されます。

結論からいうと、お肉は飼育期間の最も長い国が産地として表示されます。

そのため、どこで生まれた家畜でも飼育期間の最も長い国が日本であれば、その家畜の肉は国産となるのです。(※例1)

反対に、最終飼育地が日本であっても、他国での飼育期間の方が長ければ、その家畜は飼育期間の最も長い他国が産地となります。(※例2)

【家畜の飼育期間と産地の関係】
(例1) 産地:日本(国産)

アメリカ:10ヶ月日本:12ヶ月

(例2)産地:アメリカ

カナダ:5ヶ月アメリカ:9ヶ月日本:8ヶ月

ですから、国産肉といっても100%日本生まれ、日本育ちではありません。
海外で生まれ育った家畜の肉も、国産肉として多く扱われているのです。

ただし、日本生まれ日本育ちの国産肉の中には、ブランド種として区別し、海外生まれの国産肉と差別化しているものもあります。

では、国産肉の種類について、牛・豚・鶏の順番にもっと詳しく見ていきましょう。

国産牛とブランド牛のちがい

まず国産の牛肉は、和牛と国産牛の大きく2つに分けることができます。

国産牛とブランド牛のちがい

和牛は、日本の在来牛に外来種を交配させた牛のこと。
種類は黒毛和種、褐色和種(あか毛和種)、無角和種、日本短角種の4つあります。

この中で流通量が多いのは黒毛和種、流通する和牛の90%を占めます。
ただ、和牛の中で最も流通量の多い黒毛和種でも、牛肉全体の割合では15%と貴重な高級肉です。

なお、日本での和牛の表示には3つの条件が設けられています。

【和牛の表示条件】

和牛の表示条件

1:黒毛和種・褐色和種・無角和種・日本短角種のいずれか、又はこの4種の交雑種や、その交雑種と4種(黒毛和種・褐色和種・無角和種・日本短角種)の交雑種であること
2:日本で生まれ、飼育された牛であること
3:以上の2点を、牛肉トレーサビリティ(牛の個体情報の確認システム)が可能なこと

ただ、和牛とは4つの品種(黒毛和種、褐色和種、無角和種、日本短角種)の肉のことなので、これらの品種が海外で飼育されれば、海外産の和牛もできるということ。
実際に、海外ではオーストラリア産の和牛が取り扱われています。

しかし、日本は和牛の条件に日本生まれであることを定めているため、日本に流通する和牛はすべて国産です。

ちなみに、ブランド牛で有名な松阪牛や神戸ビーフなども黒毛和種の一種。
他のブランド牛も黒毛和種が多く、地方によって独自の飼育方法で育てられています。

一方、国産とだけ表示される牛肉は、和牛以外の牛。
乳用牛(ホルスタイン)のオスや繁殖牛・乳用牛の廃牛、交雑種(オスの和牛とメスの乳用牛の掛けあわせ)です。
乳用牛(ホルスタイン)のオスや繁殖牛・乳用牛の廃牛、交雑種(オスの和牛とメスの乳用牛の掛けあわせ)です。
肉専用として育てられる和牛とちがい、乳用牛など肉用種以外の肉も含まれます。
そのため風味は和牛より劣り、肉質も固いです。

また交雑種は肉専用ですが、和牛より病気への抵抗力が強く、成長も早いため、飼育方法は効率面を優先した内容です。

では、次に豚肉の種類について見ていきましょう。

ブランド豚は、純粋種が少ない

ブランド豚は、純粋種が少ない

日本に流通する豚肉の85%は、LWD(三元交配種)という豚。
ランドレース(L)、大ヨークシャー(W)、デュロック(D)の3つの品種を掛けあわせたものです。

豚は牛のように、品種でブランドが付いているわけではありません。
独自の飼料や飼育方法、また品種の掛けあわせによって、独自にブランド力を付けているので、ブランド豚の多くは交雑種です。

ただし、黒豚と呼ばれるバークシャーは純粋種のブランド豚。
誤解を招かないように、バークシャー純粋種以外の豚は黒豚の表示が禁止されています。

地鶏と銘柄鶏、ブランド力があるのは?

鶏肉は、地鶏・銘柄鶏・ブロイラーの大きく3つに分類できます。

鶏肉は、地鶏・銘柄鶏・ブロイラーの大きく3つに分類できます。

まず、スーパーでよく見かける国産表示だけの鶏肉は、ブロイラーのこと。
短期間で成長するように改良された肉用の鶏です。

地鶏は、JAS規格によって生産方法に4つの基準が設けられています。

【地鶏の生産方法】
1.在来種の血統を50%以上受け継ぎ、出生の証明ができること
2.飼育期間は、ふ化から80日間以上であること
3.飼育方法は、平飼い(鶏舎の中や外で、自由に動ける)
4.飼育密度は10羽/㎡以下(28日齢以降)
※在来種とは、烏骨鶏、シャモ、コーチン、比内鶏など

一方、銘柄鶏の基準は、とても曖昧です。
飼料や飼育方法に独自の工夫があり、地鶏に比べて大きい肉用種であれば、銘柄鶏と名乗ることができます。

ちなみに、流通する鶏肉の割合はブロイラーが全体の90%を占め、地鶏や銘柄鶏は合計でもわずか1%程度。
地鶏も銘柄鶏も希少ではありますが、基準の厳しさは大きくちがいます。

そして、残りの9%は採卵用として役目を終えた廃鶏です。
廃鶏は肉質が固くなっているため、ミンチや加工用として利用されます。

このように、同じ国産として扱われるお肉でも、基準や飼育方法はさまざまです。
では、私たちが食べている家畜は何を食べ、どんな風に育てられているのでしょうか?

牛や豚、鶏の飼料は、遺伝子組み換え作物

では、家畜の飼料・飼育環境・病気予防の薬について、順番に見ていきましょう。

まず、家畜の飼料は2種類あります。

牛や豚、鶏の飼料は、遺伝子組み換え作物

牧草を乾燥・発酵させた繊維質が豊富な粗飼料と、トウモロコシや大豆、米ぬかなどタンパク質が豊富な濃厚飼料です。

牛は草食動物なので粗飼料の牧草で十分ですが、太らせるために濃厚飼料も与えられます。
一方、豚と鶏は雑食なのでどちらも食べますが、太らせるために濃厚飼料だけで育てられます。

問題なのは、その濃厚飼料です。
濃厚飼料の中でも最も割合の高いトウモロコシ(全体の45%)と大豆(14%)は、ほぼ遺伝子組み換えで栽培されたもの。

日本の自給率はトウモロコシ1.85%、大豆6%で、ほとんどが輸入に頼っています。
主な輸入国は、遺伝子組み換え作物の栽培に力を入れている、アメリカやブラジルです。

遺伝子組み換え作物は、長期的な摂取の安全性が証明されていません。
そんな不安な食品で育った家畜の肉を、私たちは食べているのです。

また、海外からの輸送中に作物が劣化しないように、防カビ目的の農薬(ポストハーベスト農薬)が使用されています。

もちろん、残留農薬の基準は設定されていますが、ポストハーベスト農薬に使用できる農薬には、日本で禁止されている農薬も使用されているのです。

農薬はアレルギーや神経系の働きに、悪影響を及ぼす危険性があります。

このように、遺伝子組み換え作物やポストハーベスト農薬など、家畜の飼料はとても安全とは言えません。

続いて、飼育環境を見てみましょう。

狭い環境で、一生を過ごす動物たち

日本は、畜産農業が盛んなアメリカやオーストラリアと比べて国土が狭く、飼育面積が十分確保されていない畜産農家が多くあります。
また、人手不足やコスト削減などの理由から、飼育方法は効率優先です。

牛の飼育環境

牛の飼育環境

牛の飼育方法は、繋ぎ飼い、放し飼い、放牧の3通りあります。

まず、飼育する牛の数が少ない農家の多くは、繋ぎ飼いです。
牛1頭ずつの健康状態を管理しやすく、最低限のスペースがあれば飼育が可能な方法。

その反面、一定箇所に繋がれたままなので運動不足になりやすく、関節炎や睡眠不足を発症する牛もいます。

一方、飼育する牛の数が多い農家は、ある程度の広さの中で牛を飼育する、放し飼いです。
繋ぎ飼いの牛とはちがい、自由に動くことができますが、飼育密度が高い場合はストレスを感じやすくなります。

また、排泄物の処理が甘いと、床が滑りやすくなるため牛が転倒する危険も。
複数の牛が同じ囲いの中にいるので、エサの摂取量に差が出やすく、健康状態を細かく管理するのは困難です。

そして、牛を草原に放し飼いにする放牧は、牛が自由に草を食べたり運動できる、最も自然な方法。
ただし、放牧地の確保や牛の個体管理など、費用や作業負担などの問題から、放牧で飼育している農家はわずかです。

このように、牛は草原でのびのび育てられているイメージとは反対に、限られたスペースで飼育されています。

また、高級品の霜降り肉となる牛は運動不足だけでなく、与える飼料を操作して人工的に作られます。

筋肉を作るビタミンAが豊富な牧草の量を制限し、穀物を多く与えることで太らせて、筋肉の中に細かな脂肪を増やすのです。
しかし、ビタミンAは視力に欠かせない栄養素のため、ビタミンA不足となった牛の中には、視力を失うものも。

これは畜産農家の問題ではなく、美味しさを求めた消費者が引き起こした結果です。
家畜の飼育方法を知れば、ここまでする必要があるのかと考えさせられます。

豚の飼育環境

豚の飼育環境

豚はストレスを感じた際、他の豚のしっぽを噛む恐れあるので、生後7日以内に歯としっぽが切り落とされます。

また、子豚が母豚と一緒に居れるのはたった3週間。
その後、母乳に含まれる免疫成分がなくなるので、病気予防のワクチンが打たれます。

一方、子豚と離れた母豚は、1週間後には次のお産のために交配させられます。
豚は平均年2回出産し、一生の間に8~10回の出産を繰り返すのです。

豚は家畜の中でも成長が早く、約6ヶ月で出荷。
飼育面積は1頭あたり1~1.5㎡が理想とされていますが、もっと密度が高い環境の場合もあります。

鶏の飼育環境

鶏の飼育環境

通常、鶏は成鶏になるまでに4~5ヶ月かかりますが、ブロイラーは早く成長するように改良されているため、約50日(2ヶ月足らず)で成鶏になります。

飼育面積は、縦1m×横1mの1㎡のスペース。
そこに16~19羽の鶏が、ギュウギュウで飼育されています。

十分な運動ができず、急速に太らされた鶏の中には、体を支えきれず関節炎で歩けなくなるものや、心臓に負担がかかり心臓病を患うものも。

また排泄物の処理がまめにおこなわれていない場合があり、衛生面も問題です。
床に散らばった排泄物は感染症を引き起こしやすく、飼育密度が高いため感染拡大の恐れもあります。

家畜の薬は、私たちの体にも影響を与える

密度の高い飼育環境は、感染症にかかりやすく感染拡大の恐れもあるため、家畜の飼料には病気予防の抗菌性物質(抗菌剤・抗生物質)が混ぜられています。

しかし、抗菌性物質は耐性菌を増やす作用が危険視されている薬剤です。

密度の高い飼育環境は、感染症にかかりやすく感染拡大の恐れもあるため、家畜の飼料には病気予防の抗菌性物質(抗菌剤・抗生物質)が混ぜられています。

耐性菌とは、薬に対して抵抗力を持つ菌のこと。
耐性菌が体内で生き残り繁殖すると、薬を飲んでも効果が薄かったり、効かない危険性があります。

そして、耐性菌は抗菌性物質を与えられた家畜だけでなく、その肉を食べた私たちの体内にも繁殖する恐れがあるのです。
そのため、抗菌性物質を与えられた肉を食べると、免疫機能が正常に働かなくなるリスクがあるということ。

また、アメリカやオーストラリアでは家畜の成長を促すために、成長ホルモン剤の使用が認められています。

成長ホルモン剤も抗菌性物質と同じく家畜の肉に残留し、私たちがその肉を食べると、乳がんや子宮がん、前立腺がんなどに影響すると危険視されています。

日本では成長ホルモン剤を増体目的で使用することは禁止されているので、国産の肉なら問題はありませんが、外国産の肉は注意が必要です。

そもそも、日本は抗菌性物質の食品への残留は認めていませんでした。
しかし2003年7月、海外の圧力によりホルモン剤など26品目の動物用医薬品の残留を認めることになったのです。

ホルモン剤の使用を禁止しているEUは、アメリカ産の牛肉の輸入を禁止。
オーストラリア産に関しては、成長ホルモン剤不使用の肉だけを輸入しています。

また、ロシアもオーストラリア産の冷凍牛肉から成長ホルモン剤が検出されたことを受け、輸入停止するなど、成長ホルモン剤を拒絶する強気な対応です。

このように、オーストラリアは輸出先の国の対応によって、成長ホルモン不使用の肉も提供しています。
日本も国内は禁止しながら、輸入品は許容といった曖昧な規制ではなく、強気な対応で危険な食品は拒絶してほしいものです。

今のところ、自分で購入する分は国産を選ぶことで回避できますが、外食店は輸入肉を使用している可能性が高いです。
外食で肉料理を食べるときは、国産や成長ホルモン剤不使用などの表示があるものを選びましょう。

生食の危険性や、狂牛病(BSE)などの病気は?

人と同じように、家畜も病気にかかります。
病気の原因は、飼料などの飼育方法が影響する場合や、予防が困難とされるウイルス感染などがあります。

では、代表的な家畜の病気を3つチェックしていきましょう。

BSE(牛海綿状脳症)

BSE(牛海綿状脳症)

狂牛病といわれたBSE(牛海綿状脳症)は、2001年にアジアで初めて確認された牛の病気。

異常プリオンというタンパク質が牛の脳内に蓄積し、脳がスポンジ状になるといったもの。
発症した牛の肉を食べると、ヒトも同じ症状を発症すると恐れられました。

原因は、飼料として与えられていた肉骨粉(にくこっぷん)。
牛の肉以外の部分を高温で粉砕したもので、栄養補給源として飼料に混ぜられていたのです。

BSEに感染した牛の肉骨粉を与えたことで感染が拡大しましたが、草食動物の牛に同じ牛の骨や内臓などを食べさせたこと自体も、原因として問題視されました。

そのため、今は牛に動物の肉骨粉を与えることを禁止しています。(カナダとアメリカは、豚、トリの肉骨粉を牛に与えてもOK)

また、OIE(国際獣疫事務局牛)によって、牛の飼料に肉骨粉を禁止することと、BSEの発生状況を確認する検査をおこなうことの2点が定められ、各国はこれに従っています。

これにより、世界的に発生していたBSEは激減。
日本は2002年の1月以降、国内で生まれた牛でBSEは確認されていません。

さらに、2013年にはBSEのリスクが無視できる国としてOIE(国際獣疫事務局牛)から認定を受けています。

ちなみに、このBSEをきっかけに始まったのが、牛の個体情報を管理する牛肉のトレーサビリティシステムです。
牛1頭ずつに10桁の番号が割り当てられていて、その番号から出生地や飼育場所、屠畜日などの情報を確認できます。

10桁の番号は、スーパーなどでパック詰めされた肉の表示シールに印字されているので、自分でも確認することができます。
ただし、ミンチや細切れ肉、内臓やタン、テールなどは、1頭の牛ではない場合もあるため、番号表示はありません。

【牛肉トレーサビリティシステム】
参照元:家畜改良センター-牛の個体識別情報検索サービス

口蹄疫(こうていえき)

口蹄疫は、牛や豚、ヤギなど、四肢の指が2本または4本でヒヅメのある動物がかかるウイルス性の病気。

発熱や大量のヨダレを流す症状のほか、舌や口の中、ヒヅメの付け根など、皮膚の柔らかい部分に水ぶくれができるのが特徴です。
水ぶくれの破裂した箇所が悪化すると、エサが食べられなくなり弱体化します。

口蹄疫は感染力が非常に強く、発生が確認された家畜は感染防止のためにすぐ殺処分されます。

日本では宮崎県で発生が確認された2010年を最後に、口蹄疫は発生していません。
しかし2014年以降、中国や韓国、香港などアジア周辺では口蹄疫が多数確認されており、2016年1月には韓国で約8ヶ月ぶりに口蹄疫が発生しています。

口蹄疫はヒトには感染せず、感染した肉を食べても問題ありません。
しかし、ヒトに付着したウイルスが原因で感染が広がる場合もあるので、感染を拡大させないためにも、海外で家畜に触れたり、農場に立ち入ることは控えましょう。

鳥インフルエンザ

鳥インフルエンザは、鳥がA型インフルエンザウイルスに感染する病気。
ウイルスの型によって、高病原性鳥インフルエンザと低病原性鳥インフルエンザがあり、高病原性鳥インフルエンザにかかると、多くの鳥が死に至ります。

発症した鶏を食べてもヒトには感染しませんが、感染した鶏に長時間接触したり、汚染された内蔵や排泄物に触れた場合は感染する恐れがあります。

日本での発症は2014年以降確認されていませんが、2015年以降もアジアや欧米など、世界各国で発生している状況です。

なお、鳥インフルエンザがヒトに感染するケースはベトナムやインドネシア、中国などアジアが中心です。

感染を防ぐには、むやみに野鳥や排泄物に触らないこと。
鶏肉を食べる場合は、十分に加熱することも大切です。

生食のリスク

病気ではありませんが、家畜の体内にはさまざまな菌が存在しています。
そのため家畜の肉やレバーの生食や加熱が不十分だと、生きた菌も体内に取り込んでしまい、食中毒を引き起こす場合があります。

そのため家畜の肉やレバーの生食や加熱が不十分だと、生きた菌も体内に取り込んでしまい、食中毒を引き起こす場合があります。

では、家畜が原因になる食中毒を3つチェックしていきましょう。

【腸管出血性大腸菌(O-157など)】
肉による食中毒で代表的なのは、O-157などの腸管出血性大腸菌による食中毒。
毒素が非常に強く、菌が10個未満のわずかな数でも発症する危険があります。

また、子どもや高齢者では重症化しやすく、過去には死亡事故も起きている危険な食中毒です。

腸管出血性大腸菌の食中毒を防ぐには、加熱すること。
腸管出血性大腸菌は熱に弱いので、加熱すれば食中毒は起こりません。

なお、腸管出血性大腸菌は牛のレバーに存在することが多いので、牛のレバーは生食の提供が禁止されています。
加熱用のレバーを生食しないことはもちろんですが、加熱も75℃以上で1分間じっくり火を通すようにしましょう。

【E型肝炎ウイルス】
豚やシカ、イノシシの肉やレバーを生で食べると、E型肝炎ウイルスに掛かる危険があります。
E型肝炎ウイルスの症状は、腹痛や黄疸、食欲低下など。
通常は1~2ヶ月で完治しますが、妊娠中は重症化しやすく、死亡率は20%まで高くなります。

E型肝炎ウイルスを防ぐには、肉やレバーの中まで十分に火を通すこと。
生肉を触った箸で調理後の肉を触らない、調理器具や手はしっかり洗うなど、菌が移らないように細心の注意をはらいましょう。

【カンピロバクター】
カンピロバクターは家畜の肉(牛・豚・鶏など)に存在する菌ですが、特に多いのが鶏。
また、O-157やE型肝炎ウイルスと比べて最も発症数が多く、2015年だけで2000人以上が発症しています。

そもそも、鶏肉は生食の基準が定められておらず、流通している鶏肉はすべて加熱用です。
しかし、牛のレバーや豚肉(レバーを含む)のように生食の規制がないため、生食を提供する外食店もあります。

カンピロバクターの症状は嘔吐や発熱、下痢などで、1週間程度で治る場合が多いですが、筋肉の神経障害であるギラン・バレー症候群を引き起こす危険があります。

ギラン・バレー症候群は、手足や顔面がマヒする難病です。

大きな病気を引き起こさないためにも、鶏肉の生食は避け、75℃以上で1分間しっかり加熱してから食べましょう。

このように、家畜の肉が原因となる食中毒の多くは、加熱することで予防できます。

そして、家畜の病気は感染を拡大させないことが、重要なポイントとなります。
自分が感染源とならないように、農場や海外での行動には注意しましょう。

では最後に、成型肉と呼ばれる加工肉について、チェックしましょう。

成型肉ってどんな肉?

ファミレスなどの外食店で、ステーキが1,000円未満のメニューを見たことはありませんか?
高級なはずのステーキが、なぜ低価格で提供されているのか…。

その理由は、安価な輸入肉に脂肪を注入したり、内臓肉や端肉を固めた、成型肉と呼ばれるステーキ風の肉だからです。

そもそも、成型肉には大きくわけて3つのタイプがあります。

成型肉の種類とは

成型肉の種類とは

・インジェクション加工(脂肪を注入する)
・テンダライズ処理(肉の繊維を細かく刻む)
・結着処理(肉や添加物を混ぜて作る)

それぞれの特徴と危険性を詳しく見てみましょう。

インジェクション加工

1つ目のインジェクション加工とは、赤身肉を霜降り肉に加工する方法です。

インジェクションとは、牛脂に水あめやコラーゲン、酸化防止剤などを混ぜあわせたもの。
そのインジェクションを細い針で赤身肉に注入すると、霜降りように脂肪が細かく入った肉となるのです。

調理後は特に、通常のステーキ肉と見分けがつかないため、提供する店は消費者が誤解しないように、霜降り加工と表記しなければいけません。
しかし義務ではなく、脂肪注入は1種の加工技術と認められているため、無表記のところも多いのが現実。

そのため、脂肪注入肉を見分けるには、脂肪の入り方をチェックするしかありません。
脂肪の入り方が同じ方向ではなく、縦横とバラバラに入っていれば、人工的に脂肪が注入された肉の可能性が高いです。

テンダライズ処理

テンダライズ処理は肉の繊維や筋を細かく切ることで、肉の食感を柔らかくする加工のこと。

肉に切り込みが入れば、その部分に菌が侵入するため、中までしっかり火を通さなければいけません。
そのため、成型肉を販売する際は「中心部まで十分に加熱して食べてください」など、調理上の注意表示が義務づけられています。

テンダライズ処理は肉の繊維や筋を細かく切ることで、肉の食感を柔らかくする加工のこと。

なお、先ほどのインジェクション肉も針で肉を指しているため、テンダライズ処理肉と同じく、中まで火を通さないと食中毒を起こす危険があります。

結着処理

結着処理の肉とは、主要部分を切り落とした後に残った内臓肉や端肉などに、動物タンパクや添加物を加え、リン酸塩などの結着剤で人工的に固めたもの。

ミンチのような細かい肉を固めてカットした、サイコロステーキ風の肉が代表的な使用方法です。
ただし、つなぎ合わせただけなので、食べるとボロっと剥がれるような食感があります。

また、この結着処理の肉も中までしっかり加熱しないと、食中毒を起こす恐れがあります。

ただ、いずれも肉の加工技術として認められているため、違法ではありません。
安価でステーキ風の肉を楽しめるなどの利点もあるので、利用する場合は十分火を通すことを意識しましょう。

まとめ

パック詰めされた切り身のお肉しか目にしないため、つい意識せず食べていましたが、お肉は動物の命を食べているということ。
感謝の気持ちを忘れず、改めて大切に食べなければいけないと思いました。

また、食べ過ぎるのも控えたいと思います。
成長ホルモンの使用や人間中心的すぎる飼育方法は、消費者が肉を求めすぎていることが要因のひとつです。

美味しく食べていたはずのお肉が、後になって自分たちの体に害を与える場合も考えられます。
そのため、飼料や環境に配慮した方法で育てられたお肉を選び、必要な分だけ大切に食べていきたいですね。

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