トクホは誰にでも効果がある訳ではない!知っておきたいトクホの危険性
「体に脂肪がつきにくい」「脂肪を消費しやすくする」など、嬉しい作用があるトクホ(特定保健用食品)製品。
そんなトクホの中でも特に人気の高いお茶は、飲むだけで肥満予防やダイエット効果が期待できると、毎日飲んでいる人もいるはず。
ところが、トクホの効果は摂取方法を守らなかったり、人によっては効果がないこともあります。
そればかりか、原料に遺伝子組み換えの作物が使われていたり、うつ病の発症や皮下脂肪の増加など、体に悪影響を及ぼす危険性があるというのです。
そこで、トクホの効果や安全性について調べてみました。
実際の効果や注意点、危険性について確認していきましょう。
トクホって、どんな食品?
そもそもトクホ(特定保健用食品)とは、お腹の調子を整えたり脂肪の吸収を抑えるなど、体を健康にする特定の効果が消費者庁によって認められた食品のこと。
トクホの認定を受けるには、本当に効果があるのか、また安全面で問題がないかを科学的に証明しなければいけません。
もちろん食品に使用される添加物なども、動物実験によって科学的に安全確認はされているのですが、トクホは動物だけでなく実際にヒトによる実験で安全性や有効性が確認されています。
その分、実験数は多くなりトクホ申請の費用もかかるため、トクホでない他商品と比べて価格は高くなりがち。
しかし、実際にヒトが摂取して効果があることが証明されているので、信頼できる健康食品として今や一種のブランドとなり、人気の高いジャンルです。
ただ、トクホの効果は誰でも得られるものではありません。
摂取方法や体質によっては効果がなかったり、さらには体に悪影響を及ぼす危険性もあるのです。
そのためトクホ製品は効果や原料などを理解した上で、自分に必要がどうか判断しなければいけません。
では、トクホ製品の代表的なお茶とコーラ、そして油(食用油)について危険性や注意点を確認していきましょう。
トクホのお茶は効果なし?
まずは、トクホの中でも人気の高いお茶です。
各飲料メーカーからトクホのお茶は販売されていますが、どのお茶も脂肪に作用する効果があります。
脂肪に作用する効果など、体に特定の効果をもたらす成分は『機能成分』と呼ばれていて、トクホ認定を受けるために重要な成分です。
ちなみに、各メーカーとも脂肪に作用する効果がありますが、機能成分はそれぞれちがうため、体への効果も微妙に異なります。
では、下記トクホのお茶4点にある、機能成分の効果や危険性について見ていきましょう。
トクホ認定のお茶飲料(機能成分の種類)
- ヘルシア緑茶(茶カテキン)
- 伊右衛門特茶(ケルセチン配糖体)
- 黒烏龍茶(ウーロン茶重合ポリフェノール)
- からだすこやか茶W(難消化性デキストリン)
ヘルシア緑茶(花王)
ヘルシア緑茶の機能成分は、緑茶に豊富に含まれている茶カテキンという抗酸化成分。
茶カテキンは脂肪を分解・消費する酵素を活性化させる作用があり、体内の脂肪を燃焼させる働きをサポートします。
トクホのお茶の中には食事と一緒に飲まなければ効果のないタイプもありますが、ヘルシア緑茶はいつ飲んでも茶カテキンの作用を得ることができます。
ただし、効果があるのはBMIが高い人だけ。
ヘルシア緑茶を製造している花王は、ある専門誌で「BMIの数値が低い場合は茶カテキンによる脂肪低減の効果はない」という論文を掲載しているのです。
(※参考資料:三万人の為の情報誌「選択」-横行する「トクホ」食品の嘘)
BMIとは身長と体重で割り出される体格指数のことで、標準値は22前後。
ヘルシア緑茶に限らず脂肪に作用するトクホ製品の実験の多くは、BMI26以上の肥満傾向の人を対象におこなわれています。
肥満対策の1つなので太っている人を対象とするのは当然ですが、ある程度肥満気味でないと効果はなく、標準体型の人がちょっとダイエットしたいと思って飲んでも効果は得られません。
またカナダなどの海外では、カテキンを含むサプリメントによって肝機能障害が報告されていることを受けて、高濃度カテキンの摂取を危険視する声もあります。
ただし、カナダで報告された症例はカテキン由来のサプリメントだけでなく、ホルモン注射も打っていて原因は定かではありません。
ちなみに、ヘルシア緑茶に含まれるカテキン量は1本(350ml)あたり540mg。
お茶の産地である静岡や埼玉では1日にお茶を10杯飲む方もいて、カテキンの摂取量は1000~1500mgだと考えられています。
ヘルシア緑茶よりも2倍以上のカテキン量ですが、これまでお茶の飲み過ぎによる健康被害の報告はありません。
他にも茶カテキンの安全性は動物実験などで確認されているため、高濃度カテキンの危険性は気にしなくて良いでしょう。
続いて、伊右衛門特茶の効果を見ていきましょう。
伊右衛門特茶(サントリー)
伊右衛門特茶は、ケルセチン配糖体というポリフェノールを含んでいます。
ケルセチン配糖体とはタマネギやブロッコリー、リンゴなどに含まれる色素成分です。
ヘルシア緑茶と同じく、脂肪を分解する酵素を活性化させて体内の脂肪燃焼を促します。
ただし効果の程度は、腹部の全脂肪面積のたった1.8%。
体脂肪が減るからと大盛りご飯を食べれば、消費されない分がしっかり体に蓄積されるので気をつけましょう。
(※参考資料:Business Journal-サプリ、トクホの嘘と本当)
続いて、サントリーの黒烏龍茶です。
黒烏龍茶(サントリー)
サントリーの黒烏龍茶はウーロン茶特有のポリフェノールである、ウーロン茶重合ポリフェノールが含まれています。
体への作用は、食事に含まれる脂肪の吸収を抑えて、排出を増加すること。
先ほどのヘルシア緑茶と伊右衛門特茶は体の脂肪に作用するものでしたが、黒烏龍茶は体ではなく食事に含まれる脂肪に作用します。
そのため、食事と一緒に飲まなければ効果はありません。
またその効果は飲まなかった場合と比べて、血中の中性脂肪が2割ほど抑えられるだけ。
それほど大きな効果は期待できません。
4つ目は、からだすこやか茶です。
からだすこやか茶は(日本コカ・コーラ)
今までのお茶は3つともポリフェノールの作用を利用したものでしたが、からだすこやか茶Wはポリフェノールではなく、難消化性デキストリンの作用で体に働きかけます。
難消化性デキストリンとは、トウモロコシなどのデンプンを由来とする食物繊維の1種で、
体内で吸収されないため、食べても体の中を通り抜けて排出されます。
からだすこやか茶Wはその性質を活かして、食事に含まれる脂肪の吸収を抑え、糖の吸収をおだやかにする作用があるのです。
作用のメカニズムを簡単に説明すると、まず食事で摂取した脂肪は胆汁酸ミセルという、油の集合体となって体内をめぐり小腸で吸収されます。
ところが難消化性デキストリンは、胆汁酸ミセルに含まれる脂肪が小腸に吸収されないようにブロックする働きがあります。
そのため食事に含まれる脂肪の吸収率が低下し、また吸収されなかった脂肪は難消化性デキストリンと一緒に体外へ排出されるのです。
また、難消化性デキストリンは食事に含まれる糖質に絡みつくことで、糖の吸収速度を遅らせる作用もあります。
なお、糖の吸収を遅らせることが体に良い理由は、肥満ホルモンと呼ばれるインスリンの分泌に関係しています。
砂糖など糖質を含む食品を食べると体内の血糖値が上昇するのですが、血糖値はある一定値でなければ正常に機能しません。
そのため私たちの体はインスリンというホルモンを分泌して、上昇した血糖値を下げるように働きかけます。
ところがインスリンは血糖値を下げる作用以外に、体に脂肪を溜めやすくする作用があるのです。
ですから血糖値が上昇してインスリンが分泌されれば、体に脂肪が溜まりやすくなり肥満リスクが高まるのです。
その点、難消化性デキストリンを食事と一緒に摂取すれば、難消化性デキストリンが糖に絡みついて、糖はなかなか体内に吸収されません。
その結果、血糖値は急上昇しないためインスリンは大量に分泌されず、肥満リスクにつながらないのです。
なお、難消化性デキストリンは脂肪や血糖値に作用する以外にも、お腹の調子を整えるなどさまざまな効果があるので、難消化性デキストリンを使用したトクホ製品は他にもたくさんあります。
しかし、難消化性デキストリンには気になる点がいくつかあるのです。
難消化性デキストリンで血糖値は改善されない?
難消化性デキストリンを摂取する上で、知っておきたい注意点があります。
それは血糖値と体脂肪、原料の3つです。
まず血糖値についてです。
先ほども説明しましたが、難消化性デキストリンは糖の吸収を遅くして血糖値の急上昇を抑える作用があります。
血糖値の急上昇しなければ、体内の脂肪増加に作用するインスリンも分泌されないので、肥満予防になりダイエットに効果的ということ。
また常に血糖値が高い状態にある糖尿病患者にとっては、今以上に血糖値を上げないための効果的な作用となります。
ただ、血糖値が急上昇しないからと安心してはいけません。
下記の表は、軽度の肥満男性に難消化性デキストリンを1日3回、食事と一緒に3ヶ月間摂取し続けた実験結果ですが、ある項目に注意したい点があります。
開始前 | 3ヵ月後 | |
---|---|---|
3ヵ月後 | 168.8±1.3 | 168.8±1.3 |
体重(km) | 73.7±3.4 | 73.0±3.3 |
BMI | 25.8±0.9 | 25.6±0.9 |
体脂肪率(%) | 27.7±0.9 | 25.9±1.0 |
総コレステロール(mg/dl) | 232.0±10.8 | 201.3±7.8 |
HDL-コレステロール(mg/dl) | 47.8±3.2 | 44.48±3.0 |
中性脂肪(mg/dl) | 344.7±63.8 | 192.9±28.2 |
空腹時血糖(mg/dl) | 105.8±6.5 | 104.3±4.5 |
3ヶ月後の値を見ると、実験開始前に比べて体脂肪率や血中の中性脂肪値は低下しているものの、空腹時の血糖値は実験前後とも100mg/dl以上。
これは正常高値と呼ばれる、正常値のギリギリの範囲です。
難消化性デキストリンを3ヶ月摂取しても、血糖値は正常値まで改善されないのです。
また、もう1点気になるのがHDLコレステロール値の低下。
HDLコレステロールは善玉コレステロールとも呼ばれ、体内の余分なコレステロールを回収する働きがあります。
実験結果ではHDLコレステロール値は正常の範囲ですが、HDLコレステロール値が40mg/dl以下になると、心臓にある冠動脈などで血行不良が起こり動脈硬化を発症するリスクが高まるので注意が必要です。
難消化性デキストリンは皮下脂肪を増やす?
2つ目の注意点は、体脂肪です。
難消化性デキストリンの健康効果の1つに、内臓脂肪の低下作用があります。
ところが難消化性デキストリンを3ヶ月間摂取し続けた実験では、内臓脂肪は減少したものの皮下脂肪は増加する場合があることが確認されたのです。
内臓脂肪はメタボの要因の1つで、内臓の周りにつく脂肪のこと。
体の内側に蓄積しているので外側からつまむことはできず、お腹はパンッと張った状態です。
一方、皮下脂肪は皮膚のすぐ下に溜まる脂肪のため、たるみがあり手でつまむことができます。
皮下脂肪は直接メタボのリスクとなる脂肪ではありませんが、内臓脂肪よりも落ちにくい脂肪です。
難消化性デキストリンは消費されやすい内臓脂肪は少なくするものの、消費されにくい皮下脂肪を増やしてしまう恐れがあるのです。
難消化性デキストリンの原料は、遺伝子組み換えトウモロコシ
3つ目の注意点は、難消化性デキストリンの原料です。
難消化性デキストリンの原料には、遺伝子組み換えトウモロコシが使用されている可能性があります。
日本はトウモロコシの約98%を海外から輸入しているのですが、輸入先1位のアメリカと2位のブラジルは、どちらも遺伝子組み換え作物の栽培国。
アメリカで生産されているトウモロコシの約90%、ブラジルは約65%が遺伝子組み換えだと考えられています。
遺伝子組み換え作物は安全と言われているものの、長期的な摂取や自然界への影響に対する不安点は解決されていません。
難消化性デキストリンは、そんな不安要素を抱えた作物で作られている恐れがあるのです。
このようにトクホで認められている成分も100%安全なものはなく、多少のリスクが伴っています。
なお、難消化性デキストリンはトクホのコーラにも使用されています。
トクホのコーラは危険?
トクホのコーラ系飲料は、キリンの「メッツコーラ」とサントリーの「ペプシスペシャル」。
どちらも機能成分は難消化性デキストリンです。
難消化性デキストリンの作用によって、脂肪の吸収を抑えて、脂肪の排出を増加させる効果があります。
ただし作用するのは体脂肪ではなく、食事に含まれる脂肪にだけ。
そのため、トクホのコーラは食事と一緒に飲まなければ効果はありません。
ダイエットコーラとも呼ばれるため勘違いしそうになりますが、飲むだけで体脂肪が減るということはないのです。
また、前の章でお伝えした難消化性デキストリンの原料が遺伝子組み換えの危険性があることや、皮下脂肪を増やす場合があることなどの危険性も忘れてはいけません。
そして、トクホのコーラが従来のコーラと違う点は、人工甘味料を使用していること。
コーラは清涼飲料水の中でも糖分の多い飲み物です。
500mlのペットボトル1本あたり56.5gの糖分が含まれています。これは、3gの角砂糖に換算すると約19個にもなります。
ちなみにWHO(世界保健機関)が推奨する砂糖の摂取量は、成人で1日25g未満。
なんとコーラを1本飲むだけで、WHOの推奨する2倍以上の量を摂取してしまうのです。
しかし、トクホのコーラには砂糖が一切使われていません。
砂糖の代わりにカロリーのほとんど無い人工甘味料が使用されているので、カロリーはゼロです。
ただ、人工甘味料にも体に悪影響を及ぼす危険性があるのです。
人工甘味料は危険な甘味料
トクホのコーラは砂糖を使わず、カロリーをほとんど含まない人工甘味料を使用することでカロリーを抑えています。
人工甘味料は科学的に合成して作られていて、血糖値を上昇させる糖質を含んでいません。
血糖値が上昇しなければ、体内の脂肪増加に作用するインスリンも分泌されないので、肥満予防や糖尿病患者の人も安心して摂取できると考えられています。
ところが血糖値を上げないはずの人工甘味料でも、血糖値が上昇する場合があるのです。
2014年にイギリスの科学雑誌ネイチャーが、人工甘味料は腸内細菌に作用することで血糖値の上昇に影響する可能性があると発表しました。
ただ腸内環境は人それぞれちがうため、すべての人に当てはまるものではないとされています。
しかし、人工甘味料が腸内細菌に作用して血糖値が上昇した場合は、砂糖を摂取したときよりも20%も多くインスリンが分泌されることが確認されています。
人工甘味料で血糖値が上昇すれば、砂糖を摂取した場合よりも太りやすい危険性があるのです。
さらにNIH(アメリカ国立衛生研究所)が26万人以上の人を対象とした調査では、人工甘味料の入った炭酸飲料を多く摂取する人ほど、うつ病を発症しやすいことが確認されています。
カロリーがゼロとはいえ、完全に信用するのは危険な食品です。
トクホのコーラに疑われる発がん性は?
また、トクホのコーラは発がん性を心配する声もありますが、この件は気にする必要ありません。
なお、発がん性の原因とされるのは、トクホのコーラに含まれるカラメル色素です。
本来カラメルは砂糖を煮詰めて作られるのですが、食品メーカーで使用されるカラメルは科学的に製造されたもの。
製造のちがいでカラメル色素1~4に分類されるのですが、カラメル色素3と4には発がん性が疑われる4 -メチルイミダゾールが含まれていることが問題視されているのです。
KIRINに問い合わせたところ、トクホのコーラ系飲料メッツに使用されているカラメル色素は発がん性が疑われる4番。
ちなみにコカ・コーラにも問い合わせましたが、情報公開していないとカラメル色素の種類は教えてはくれませんでした。
ただ日本ではカラメル色素1と2はほぼ生産されていないので、トクホのコーラに限らず従来のコーラも発がん性が疑われるカラメル色素3と4のどちらかである可能性が高いです。
それでも問題ないと言えるのは、カラメル色素は添加物の1つだから。
どんな食品でも異常な量を摂取すれば体に悪影響は及ぼす危険性がありますが、添加物は動物実験で毒性や安全性が確かめたうえで、毎日一生食べ続けても体に影響しない量(ADI)が国際基準で決められています。
また、カラメル色素の発がん性は確実なものではなく、ヒトでは認められていません。
そのため安全な範囲で使用されているカラメル色素の危険性を気にする必要はありません。
それよりも難消化性デキストリンや人工甘味料にあるリスクに注意を向ける方が大切です。
体に良い効果とリスクのどちらも知った上で、従来とトクホのどちらのコーラを摂取するか判断しましょう。
続いて、トクホの油について見ていきましょう。
トクホの油は危険?
油はカロリーが高いので、普通の食用油よりもトクホの油のほうが体に良いだろうと使用している人もいるかもしれませんが、トクホの油にも注意が必要です。
なお2017年現在、トクホ認定を受けている食用油は下記の3つ。
トクホ認定の食用油
- ヘルシーリセッタ(日清オイリオ)
- ヘルシーコレステ(日清オイリオ)
- 健康サララ(J-オイルミルズ)
「ヘルシーリセッタ」は脂肪になりにくい油の成分が含まれていて、「ヘルシーコレステ」と「健康サララ」はコレステロールを下げる効果があります。
まず、ヘルシーリセッタは体に脂肪がつきにくい効果がありますが、その理由は中鎖脂肪酸という油の成分を含んでいるから。
私たちが料理に使用する菜種油やオリーブオイルなどの植物油の成分は、長鎖脂肪酸といって体内で消費されにくい油です。
長鎖脂肪酸は摂取すると一度脂肪として体内に蓄積され、エネルギー源が足りなくなったときに初めて消費されます。
そのため糖分など他にエネルギー源となるものが体内にあれば、どんどん体脂肪として蓄積され続けるのです。
一方、ヘルシーリセッタに含まれる中鎖脂肪酸は、体内に入るとすぐエネルギーとして消費されます。
その消費時間は菜種油などに含まれる長鎖脂肪酸より4倍も早く、このことから脂肪がつきにくい作用が認められているのです。
ただし、ヘルシーリセッタに含まれている中鎖脂肪酸の割合は、わずか11%だけ。
原料は菜種油をベースとしているため、残りの89%は他の食用油と同じく消費時間のかかる長鎖脂肪酸で構成されています。
約9割が長鎖脂肪酸なので、たくさん食べればその分の長鎖脂肪酸はどんどん体内に溜まっていきます。
コレステロール値は下げても、体内でつくられる
一方、コレステロールを下げるヘルシーコレステと健康サララには、植物ステロールという成分が多く含まれています。
植物ステロールとはコレステロールと似た構造をしているのですが、体内に吸収されるコレステロールとはちがい、植物ステロールは体内に吸収されません。
なお、コレステロールは胆汁酸ミセルという油の分子の中に入って体内に吸収されるのですが、胆汁酸ミセルに入れるコレステロールの数には限りがあります。
そのため植物ステロールが胆汁酸ミセルの中に入ってしまうと、コレステロールは入ることができず体外へ排出されるのです。
ヘルシーコレステと健康サララは、植物ステロールのこの作用を利用してコレステロール値を下げる効果を得ています。
ところがコレステロールは体に必要な成分なので、私たちの体は一定量を保つように働きかけます。
そのため必要以上に下げれば、体内での合成量が増えることになるのです。
また、トクホの油すべてに共通する危険性もあります。
トクホの油は遺伝子組み換え
結論からいうと、トクホの油は原料と製造方法に問題があります。
まず原料ですが、トクホの油の主原料はそれぞれ、ヘルシーリセッタが菜種油、ヘルシーコレステが米油と菜種油、健康サララが大豆油です。
このうち米油以外の大豆油と菜種油は、遺伝子組み換えの原料が使用されている可能性が高いです。
農林水産省の2011年の国内自給率を見ると、大豆は約6%、菜種は約0.1%と、国内ではほとんど生産されていません。
そのため日本は大豆をアメリカやブラジルから、菜種をカナダから大量に輸入しています。
そして、いずれの国も遺伝子組み換え作物の栽培国であり、輸入品の大豆や菜種の80%以上が遺伝子組み換えの可能性が高いと考えられているのです。
難消化性デキストリンの危険性でもお話しましたが、遺伝子組み換え作物は長期摂取や自然界への影響に不安が残る食品です。
トクホの油は、そのような食品を原料として作られている恐れがあります。
また、製造方法も問題です。
一度に大量の食用油を生産する大手メーカーは効率よく油を絞り出すため、ガソリンと同じ成分を含んだヘキサン溶剤という薬剤を使用しています。
さらに薬剤の臭いを取るために、油を200℃以上の高温の熱風にさらして製造されているのですが、これはとても危険な製造方法なのです。
じつは油は200℃以上の高温に熱せられると、有害なトランス脂肪酸をつくり出す性質があります。
トランス脂肪酸はがんや心臓病のリスクを高めるとして、世界では摂取量を規制するほど危険視されている有害物質です。
この危険な製法はトクホの油だけでなく、効率を重視して作られる多くの大手メーカーの油にいえる問題です。
ちなみに魚の油や亜麻仁油、えごま油などに豊富に含まれるオメガ3という油の成分には、脂肪の燃焼を促したり、血中の中性脂肪・コレステロール値の改善など、トクホの油と似た作用があります。
現代人はオメガ3の油が不足しているので、トクホの油よりもオメガ3を積極的に摂るように心掛けましょう。
まとめ
トクホのマークが付いていれば、何でも体に良いと信じ切っていましたが、条件付きの効果だということが分かりました。
飲むだけで簡単に効果を得られるならと、つい試したくなりますが、効果とは反対にどんなリスクがあるのかも知った上で、本当に自分に必要か判断しましょう。
また難消化性デキストリンやポリフェノールの効果は、野菜や果物などを摂取することでも得られます。
手抜きせずに毎日の食生活を正すほうが、安全に効果的に健康な体を手に入れられるのかもしれません。