油は体に悪くない!?記憶や感情にも関わる油のはたらきの真実

油は体に悪くない!?記憶や感情にも関わる油のはたらきの真実。油で揚げた美味しいけど太りそうなもの上位のとんかつ。

油って聞くと、どんなことを思い浮かべますか?
『太りそう』『カロリーが高い』『メタボ』『生活習慣病の原因』など、一般的にはちょっと悪者のイメージがありますよね。

特に体型を気にしてダイエットしている女性やメタボのお父さんは脂っこい食べ物が食べたくても『油は断固禁止!』と我慢していませんか?

油は体を太らせ、健康に悪いと悪者扱いされていますが、本当に体に悪いものなのでしょうか?
太るイメージだけで、油がどう体に影響しているのかよく分からない人も多いのでは?

食べた油が私たちの体の中でどんな働きをしているのか。
体内での油の働きを知れば、油のイメージが変わるはずです!

油は体に必要?

私たちには生きていく上で欠かせない3つの栄養素があります。
その栄養素とは、たんぱく質・炭水化物・脂質です。

たんぱく質は、肉・魚・卵・大豆製品など主菜となる食品。
炭水化物は、ご飯・パン・麺類など主食となる食品です。
そして、脂質とは油のことを指します。
敬遠されがちな油は3大栄養素の1つだったのです。

ちなみに、油は『脂』とも書きますね。
油はゴマ油や菜種油・オリーブオイルなど常温で液体のもの。
脂は牛脂やラードなど常温で固体のものを指します。

他にもピーナッツやアーモンドをはじめ、魚・アボカド・卵などさまざまな食品に脂質は含まれています。

油を栄養素と知らずに避けてきた人もいるのではないでしょうか。
では、油が栄養素としてどんな風に働いているのか探っていきましょう。

油のはたらき

油は私たちの体の中でさまざまな働きをしています。
大きな働きとして、この3つがあげられます。

・体を動かすエネルギー源
・細胞膜をつくる材料
・脳神経の情報伝達を調整

エネルギー源はなんとなく分かりますが、あとの2つはどんな働きのことなのかよくわからないですね。
それぞれの働きで油がどう関わっているのでしょうか。

体を動かすエネルギー源

カロリーとは、体内で使われる熱量(エネルギー)の単位。
脂質は1gあたり約9キロカロリーの熱量をつくります。
他の3大栄養素であるたんぱく質や炭水化物は1gあたり4キロカロリーの熱量で、脂質はその倍以上あり少量で多くのエネルギーをつくることができます。

脂質は食べてすぐエネルギーにはならず、食品の中で1番最後に時間をかけてゆっくり消化され、エネルギーとなります。
次の食事まで長時間空きそうなときに脂質のある食べ物を摂っておくと腹持ちがよく、スタミナ切れの心配がありません。

エネルギーとして使われなかった分は皮下脂肪となって体内に蓄えられます。
過剰に摂り過ぎると肥満になり、健康被害の要因になってしまうのです。

そのため、厚生労働省は生後12ヶ月以上の男女ともに1日の総エネルギーのうち、脂質は20~30%の摂取を目標量として推奨しています。(日本人の食事摂取基準2015年版より)

細胞膜をつくる材料

ヒトの体には、約37兆個(以前は60兆個と言われていました)もの細胞があります。
その1つ1つに細胞膜という細胞を包む膜があり、その膜は脂質でできています。
細胞膜は細胞内へのウイルスや発ガン性物質の侵入を防ぎ、必要な酸素や栄養素だけを取り込んで細胞を守っています。

脳や心臓などの臓器、骨、筋肉、皮膚、血液、神経など、私たちの体をつくる細胞すべてに細胞膜はあります。
この細胞膜が正常でなければ、体を形成するベースが崩れてしまうのです。
それほど細胞膜は私たちの体において、重要な役割を持っているのです。

脳神経の情報伝達を調整

ヒトの体の中で最も脂質が多く存在する場所は脳です。
脳の約60%は脂質から構成されています。
脳には1000億個以上の神経細胞があり、記憶、感情、運動などの情報処理を行っています。

脳内の脂質バランスが崩れると、脳の情報伝達に障害が起こり脳機能が低下。
記憶力の低下や感情のコントロールができない、体が動かしにくくなるなど、さまざまな影響を及ぼします。

まとめ

悪いイメージしかなかった油ですが、体の中での働きを知ると、私たちの体に欠かすことのできない大切な栄養素でしたね。
油が体をつくる上で大切な要素であり、脂質のバランスで記憶や感情の機能が崩れてしまうとは驚きです。

脂質は他にも血液をつくる、心臓を動かす、ホルモンの材料、皮膚や粘膜の潤いを保つ、便通を良くする、皮下脂肪になると体温維持・内蔵を衝撃から守る、などの役割も果たしています。

脂質は必要だけれど取り過ぎは肥満になってしまう。
脂質のバランスをどう取っていくのか見直していきたいところです。

脂質の種類や摂り方、脂質のバランスで起こる体への影響など、油のことをもっと知ってベストな油の摂り方を目指していきましょう。

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