世界生産1位のパーム油は健康も自然環境も破壊する危険な油

世界生産1位のパーム油は健康も自然環境も破壊する危険な油

日本で菜種油の次に多く消費されているパーム油。
消費が多い割には、あまり馴染みがないですよね。

パーム油はチョコレートやアイス、カレールー、インスタントラーメンなど、多くの加工食品に含まれています。

しかし、他の植物油脂とブレンドして使われることが多く、原材料名では植物油脂とまとめて表示されることがほとんどです。
そのため、私たちがパーム油の名を目にする機会は少なく、意識しないまま摂取しています。

ほぼ毎日食べていると思われるパーム油ですが、私たちの健康だけでなく環境破壊にまでつながる問題を抱えています。

何も知らないまま食べ続けるのは危険です。
パーム油が私たちの健康や環境に与える危険性を知りましょう。

パーム油って何の油?

まず、パーム油とはアブラヤシの実から採れる油のこと。
ココナッツオイルと混同されがちですが、ココヤシの実から採れる白い油がココナッツオイルになり、この2つの油は全くちがうものです。

パーム油は年中収穫できる安定性があり、油脂類の中で最も安価な油。
また、パーム油に含まれる脂肪酸の9割近くが熱に強く酸化しにくい性質を持ちます。
熱に強く価格も安いという好条件のため、加工食品や外食産業など幅広く使用されています。
では、熱に強いパーム油の脂肪酸組成を見てみましょう。

パーム油の成分表グラフ

  • 飽和脂肪酸

    48.1%

  • オレイン酸

    41.6%

  • リノール酸

    9.4%

  • その他

    0.9%

熱に強い飽和脂肪酸とオレイン酸が合計89.7%も含まれ、他には現代人が過剰摂取しているリノール酸が微量に含まれています。
熱に強い脂肪酸を9割も含む、非常に酸化に強い油だということが分かります。

また、最も含有量が多い飽和脂肪酸は、動物性脂肪に多く含まれる脂肪酸です。
パーム油は植物油でありながら動物性脂肪に似た油なのです。

パーム油でトランス脂肪酸を減らす

パーム油の約半分は、動物性脂肪に多く含まれる飽和脂肪酸です。
そのため、ラードのように常温でも溶けることなく、冷めた揚げ物などもサックリとした食感が残せます。

他の植物油脂の多くは液体のため、サックリとした食感が残せないのが課題でした。
そこで植物油脂に水素を添加し、人工的に植物油脂を固形状にしてサックリ感を出していたのです。

しかし、人工的に作り替えた植物油脂にはトランス脂肪酸という有害物質が発生していました。
トランス脂肪酸は人体に害があり、摂取を控えるように注意勧告されています。

そこでトランス脂肪酸の代替品として選ばれたのがパーム油です。
加工食品や外食産業だけでなく、トランス脂肪酸低減目的のためにもパーム油が使われ、使用量は増える一方となっています。

パーム油に潜む危険性

加工食品のトランス脂肪酸量が減ることは良い傾向ですが、代替品となったパーム油の摂取量が増えてしまうことは危険です。

パーム油は動物性脂肪と同じ成分が多く含まれています。
動物性脂肪と同じく常温で固形のため、大量に摂取すると血液が固まりやすく、動脈硬化を引き起こす危険性が高まります。

また体内に蓄積されやすいため、肥満にも注意が必要です。

そして、パーム油に添加されている酸化防止剤も危険です。
発ガン性や環境ホルモン、胎児奇形などに影響を与えるBHAやBHTといった酸化防止剤が使われています。

BHAやBHTの使用を避け、没食子酸という酸化防止剤を使用するケースも多くなりましたが、この没食子酸も問題アリです。

直接触れるとアレルギー性皮膚炎になるといわれ、ラットの実験では貧血や肝細胞、卵巣、子宮の肥大化などの報告もされています。

そもそもパーム油自体にも脳卒中を促進する有害物質が含まれているという研究もあり、毎日口にする油としてはあまりに危険な要素が多い油です。

トランス脂肪酸の代替品として使われていますが、パーム油も避けるべき油ではないでしょうか。

パーム油は環境破壊につながる

危険な要素を含むパーム油ですが、その危険性とは裏腹に世界で最も多く生産されている植物油です。
主な生産国はマレーシアとインドネシア。
その生産量は全世界の8割にも及び、マレーシアは世界の総生産量の半分を担っています。

しかし、マレーシアのボルネオ島ではパーム油による環境破壊が深刻な問題です。
問題となった発端は、パーム油のもとになるアブラヤシの果実でした。

アブラヤシの果実は収穫すると油を分解させる酵素が働き出すため、できるだけ早く搾油することが求められます。

そのため、アブラヤシ農園のすぐそばに搾油工場が必要となり、森林を伐採して工場を建てているのです。

森林には絶滅危惧種のオラウータンやテングザル、ボルネオ島の北東部にしか生息していないボルネオゾウ、先住民族、他にもたくさんの動植物が住んでいます。
森林伐採は彼らの生きる場所を奪っているのです。

搾油工場は半永久的に使用されるため、森林が元に戻ることはありません。
工場からの流出物で川は汚染され、生きる場所を失った動物たちは消滅の危機にさらされるのです。

まとめ

私たちの健康や自然環境までにも悪影響を及ぼすパーム油は、消費量を減らすべき油です。
しかし、世界で最も多く生産され、加工食品や外食などで多用されていることを考えると、消費量を減らすのは簡単ではありません。

そもそも、パーム油の抱える問題点を知らない人が多く、まずはこの問題を知ることが大きな一歩となります。

パーム油を使用していない食品を選ぶことは自分自身を守るだけでなく、環境を守ることにもつながっています。

できる範囲から少しずつパーム油の摂取を減らす動きを広げていきたいですね。

このページのトップに戻る