魚の油(DHA・EPA)で病気予防!健康な体に欠かせない訳とは?

魚の油(DHA・EPA)で病気予防!健康な体に欠かせない訳とは?

体に悪いと敬遠されがちだった油。
しかし、今や空前のオイルブームの到来によって、油が持つさまざまな健康効果や美容効果が注目されています。

その中でも特に気になる油といえば、青背の魚に豊富に含まれるDHAやEPAではないでしょうか。

DHA・EPAを摂取すると、血行促進や脂肪燃焼、抗炎症などの効果が期待できるだけでなく、近年急増しているアレルギーをはじめ、動脈硬化や生活習慣病、がんなど、多くの病気予防に効果があるといいます。

しかし、魚離れが進む現代の私たちは、DHAやEPAの摂取量が足りていません。
その結果、私たちの体は病気になりやすい不安定な状態となっているのです。

では、健康な体に欠かせないDHA・EPAのパワーを詳しく見てみましょう。

魚に豊富なDHA・EPAは、血液環境を整える

まず、油には色んな成分があり、油の種類によってその主成分は変わります。
動物性脂肪の主成分は飽和脂肪酸、サラダ油はリノール酸、オリーブオイルはオレイン酸など。
そして、魚の油の主成分となるのがDHAとEPAです。

この油の成分ごとに、私たちの体内での働きも変わります。
その中でも注目されているDHA・EPAは、体内で下記のような働きをします。

【DHA・EPAの体内での働き】
・中性脂肪の減少
・血行促進
・抗炎症
・脳の発達

では、DHA・EPAの働きについて、中性脂肪の減少から順番に見ていきましょう。
まず、ひとつ目の中性脂肪の減少は、肥満や動脈硬化の予防に効果的です。

そもそも、中性脂肪は肝臓で合成されると、血中を通って全身に届けられます。
通常は、各組織でエネルギーとして消費されますが、必要以上に送られた中性脂肪はそのまま体内に蓄積されます。
これが、肥満の原因です。

ところが、DHA・EPAは中性脂肪の合成と、肝臓から血中へ送り出す中性脂肪の量を抑える作用があります。
この2つの作用によって、体内に必要以上の中性脂肪が送られないように阻止し、肥満を予防するのです。

またDHA・EPAには、脂肪を分解させるペルオキシソームという器官に働きかけて、脂肪燃焼を活性化し、体内に溜まった脂肪を燃焼させる効果もあります。

また、中性脂肪の減少は、2つ目の血行促進にも効果があります。
じつは、中性脂肪が多い血液は血管壁に付着しやすく、血行不良の原因です。
しかしDHA・EPAによって、血中の中性脂肪が抑えられれば、その心配もありません。

また、体の冷えも血行を悪くする原因ですが、DHA・EPAの脂肪燃焼効果によって、体内に熱が作られれば、体内温度は上昇し血行不良も改善されます。

他にも、血を固める血小板の凝集を抑える作用によって、血管内にできる血栓を予防。
血管内の障害物を無くすことで血行不良を防ぎます。

DHA・EPAで体の炎症を抑え、病気を防ぐ

3つ目の抗炎症作用は、現代の私たちに特に必要な働きです。
というのも、多くの現代人は油の摂取内容が偏っていることで、体内に炎症が起こっています。

じつは、油の成分はそれぞれ体に良い作用と悪い作用があり、良い作用だけを働かせるためには、どの油もバランスよく摂取することが大切。

しかし、現代人は魚をあまり食べないため、体内のDHA・EPAは不足状態。
一方で、肉やサラダ油の摂取量は増加傾向にあり、油の摂取内容が偏っています。

その中でも特に危険なのが、サラダ油に多く含まれるリノール酸の過剰摂取です。
リノール酸は体内でアラキドン酸という成分に変わるのですが、このアラキドン酸は増えすぎると、炎症物質を発生させて細胞を傷つけます。

体の基盤となる細胞が傷つけられるため、攻撃された場所によっては、さまざまな症状が現れます。
近年急増しているアレルギーをはじめ、動脈硬化やがん、認知症など、さまざまな病気の原因にアラキドン酸の炎症作用は関係しているのです。

そこで、必要となるのがDHA・EPAです。
特にEPAには優れた抗炎症作用があり、アラキドン酸の炎症作用を抑えて、細胞を炎症物質から守ります。

現代の私たちはリノール酸の摂取を控えて、DHA・EPAの摂取量を増やし、体内の脂質バランスを整える必要があるのです。

脳に欠かせないDHA

DHAとEPAの体内での作用は共通しているものもありますが、先ほどの抗炎症作用はEPAの方が優れているように、どちらかが得意とする働きがあります。
4つ目の脳の発達は、EPAにはないDHAだけの働きです。

私たちの脳は、胎児から幼少期に成長のピークを迎えます。
そのときに必要となるのが、DHA。
DHAは脳の神経細胞に多く存在し、脳内の情報交換をスムーズにすることで脳の働きを高めます。

実際、妊娠中の母親のDHA濃度を比較すると、DHA濃度の高い母親の子どもの方が、そうでない母親の子どもよりも知能指数(IQ)が高いことがわかっています。

また、DHAの脳への影響は、幼少期までではありません。
じつは、体の組織の中でも特に重要な脳は、入れる成分が制限されています。
そして、油の中で脳内に入れるのは、DHAとアラキドン酸のたった2つ。

ちなみに、炎症物質を発生させるアラキドン酸も、本来ならDHAと同じく脳の働きを高める作用があります。
しかし、先ほどもお話しましたが、多くの現代人はリノール酸過剰によって、体内にはアラキドン酸の炎症物質が発生しています。

それは、脳も例外ではありません。
発達障害やうつ、認知症は、脳の働きが影響しているといわれていますが、症状が重い患者ほど血中のDHA濃度が低いという報告があります。
これほど、DHAは脳の働きに重要な存在なのです。

まとめ

魚の油(DHA・EPA)には、健康な体のために必要な働きがたくさん詰まっていました。
こんなにも体に良い効果があるなら、もっと魚を食べたくなりますね。

ちなみに、DHA・EPAは熱に弱いため、刺し身などの生食で食べる方法が、最も効率よくDHA・EPAを摂取できます。

しかし、魚には水銀が含まれているのが、気になるところ。
マグロなどの大きな魚は水銀量が多いので、イワシやアジ、サバなどの小魚を積極的に食べるようにしましょう。

また、亜麻仁油やえごま油に含まれるα-リノレン酸は、体内でDHA・EPAに変換されます。サラダなどにかけるだけで簡単に摂取できるので、ぜひ利用してみてください。

亜麻仁油やえごま油の摂取量は、1日小さじ1杯強を目安に。
摂り過ぎると、下痢や嘔吐などの症状が出るので、過剰摂取は厳禁です。

また、すでに過剰状態のリノール酸の摂取量を減らすことも、忘れてはいけません。
魚や亜麻仁油、えごま油は積極的に摂り、サラダ油などのリノール酸の多い植物油は利用を減らして、体内の脂質バランスを整えていきましょう。

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