コレで解決!ややこい脂肪酸が理解できちゃう話
健康について調べていくと、必ず立ちはだかる壁があります。
それは『脂肪酸の種類』。
飽和脂肪酸とか、オメガ3やら、6やら…。
聞きなれない言葉に加えて、種類も多い!
そんな分かりにくい脂肪酸の種類と働き、まったく知らなかった私が解説してみました!
脂肪酸はグループで働く
脂肪酸は炭素・水素・酸素から構成され、つながり方のちがいで下記4つのグループに分かれています
・飽和脂肪酸
・一価不飽和脂肪酸-オメガ9
・多価不飽和脂肪酸-オメガ6
・多価不飽和脂肪酸-オメガ3
それぞれのグループには、オレイン酸やリノール酸、DHAなどの脂肪酸が所属しています。
何となく聞いたことがある人もいるのではないでしょうか?
今、私たちはオメガ6グループを過剰に摂りすぎ、オメガ3グループの摂取が不足しています。
そのことで、花粉症などのアレルギー症状から、動脈硬化やガン、認知症など、さまざまな健康被害を引き起こしているのです。
このまま、何も知らずにいるのは危険では…。
脂肪酸が体内でどんな働きをしているのか、詳しく知る必要がありそうです。
ひとつずつ含まれる食品や特徴を見ていきましょう。
飽和脂肪酸
肉の脂身に多く含まれている脂肪酸です。
動物の脂がヒトの体内に入るとどんな働きをするのか、気になりますね。
▼代表的な食品
牛脂やラードなど肉の脂身、バター、パーム油、ココナッツオイルなど
▼特徴・働き
・常温で固体
・熱に強く、酸化しにくい
・コレステロールや中性脂肪を増やす
・血管壁を強くする
▼過剰摂取の場合
・動脈硬化
・高血圧
コレステロールや脂肪を増やすため、体にはあまり良くないのかな…と思いますよね。
しかし、コレステロールは体内の細胞を包む細胞膜、中性脂肪は内臓全体を守るクッションとして、私たちの体を守る大切な役目を持っています。
だからといって、過剰摂取は危険です。
血液中にコレステロールが増えすぎると血流が悪くなり、高血圧や動脈硬化を引き起こす原因となります。
血液サラサラやドロドロと表現することがありますが、ドロドロの状態はこの飽和脂肪酸が多く含まれた血液のことなんですね。
この飽和脂肪酸は、食事で摂取する以外に体内でもつくることができます。
肉が中心の食事が多い現代では、過剰摂取にならないよう注意が必要です。
一価不飽和脂肪酸-オメガ9
続いての脂肪酸はオリーブオイルに多く含まれているオメガ9です。
オリーブオイルは体に良いなんて聞きますが、真実はどうなのか確かめてみましょう。
▼代表的な食品
オリーブオイル、菜種油、米油、ヘーゼルナッツ、ウナギなど
▼特徴・働き
・常温で液体
・熱に強く、酸化しにくい
・悪玉コレステロールを減らす
・胃酸の分泌を調整して、胃炎、胃潰瘍を防ぐ
・排泄物を軟らかくし、便通をよくする
オメガ9といえば、代表的な脂肪酸はオレイン酸です。
オリーブオイルに含まれる脂肪酸の70%以上を占める、強い抗酸化力が魅力のひとつ。
常温で液体状の脂肪酸は加熱に弱いものが多いなか、比較的熱に強く、酸化しにくい性質です。
また、悪玉コレステロールを減らす作用により、動脈硬化や高血圧を予防します。
過剰摂取による体への悪影響は特にありませんが、摂り過ぎると肥満につながります。
オメガ9も体内でつくることができ、肉などの飽和脂肪酸の一部は体内でオメガ9に変換されるので、この脂肪酸もたくさん摂る必要はありません。
多価不飽和脂肪酸-オメガ6
このオメガ6グループに所属している脂肪酸は、個々で働きが変わります。
所属している脂肪酸は、リノール酸・γ-リノレン酸・アラキドン酸の3つです。
ひとつずつ、詳しく見ていくことにしましょう。
リノール酸
サラダ油など馴染みのあるものに含まれている脂肪酸です。
私たちが毎日使っている油の脂肪酸とは、どんなものなんでしょう。
▼代表的な食品
サラダ油、大豆油、ゴマ油、グレープシードオイル、くるみ、マヨネーズなど
▼特徴・働き
・常温で液体
・熱に弱く、酸化しやすい
・悪玉コレステロール、中性脂肪を減らす
▼過剰摂取の場合
・動脈硬化
・高血圧
▼不足の場合
・皮膚炎
・感染症
リノール酸は調理油に多く含まれていますが、じつは加熱に弱く酸化しやすい脂肪酸。
体内でつくることができないため、食事で摂る必要のある必須脂肪酸です。
悪玉コレステロールや中性脂肪を減らす作用がありますが、摂り過ぎると逆の効果に変わります。善玉コレステロールを減らし、動脈硬化を促すのです。
また、不足すると皮膚炎や感染症にかかりやすくなりますが、現代では多くの人が過剰摂取している状態です。
現代が抱えている健康の悩みの多くが、このリノール酸の過剰摂取が原因のひとつと考えられています。
今すぐ摂取量を減らしたい脂肪酸ですが、調理油以外にもマヨネーズやドレッシング等にも使用され、意識せずに食べていることが過剰摂取となった原因でもあります。
γ-リノレン酸
聞きなれない名前ですが、母乳に含まれている脂肪酸です。
赤ちゃんが初めて口にする脂肪酸の働きとは、どんなものでしょうか。
▼代表的な食品
月見草油、母乳など
▼特徴・働き
・常温で液体
・熱に弱い、酸化しやすい
・悪玉コレステロールを減らす
・血圧・血糖値を下げる
▼過剰摂取の場合
・ゲップ
・吐き気
γ-リノレン酸は、体内の各器官の機能を正常にする生理活性物質をつくります。
生理活性物質により血圧や血糖値、コレステロール値を下げ、動脈硬化や高血圧などを予防。
他にもアレルギーや生理痛の改善にも効果があるといわれています。
一般的な食品にはあまり含まれていませんが、同じオメガ6グループのリノール酸は体内でγ-リノレン酸に変換され、そこから私たちは摂取しています。
しかし、リノール酸や動物性脂肪の過剰摂取、乳幼児や高齢者は体内での変換が十分おこなえない場合があります。
アラキドン酸
肉に含まれている脂肪酸みたいですが、はじめにあった飽和脂肪酸とちがいはあるのでしょうか。
▼代表的な食品
肉(特にレバー)、卵など
▼特徴・働き
・常温で液体
・熱に弱い、酸化しやすい
・免疫機能、血圧の調整
・悪玉コレステロールを減らす
・脳の働きをよくする
▼過剰摂取の場合
・善玉コレステロールを減らす
・動脈硬化
・高血圧
・アレルギー症状
・ガン細胞促進
▼不足の場合
・免疫力低下
・胎児、乳児の発育不全
体内でつくられる量が少なく、食事から摂る必要のある必須脂肪酸のひとつです。
γ-リノレン酸と同じく、体内の各器官の機能を正常にする生理活性物質をつくり、免疫機能や血圧の調整をおこないます。
アラキドン酸は固まりにくい性質から、細胞膜を柔らかくし栄養を取り込みやすくします。
特に脳細胞に多く含まれ、脳細胞を活性化することで脳の働きをよくするのです。
そのため、脳の発育時期である胎児・乳児に欠かすことはできません。
しかし過剰状態になると、炎症物質が大量発生し細胞を傷つけます。
傷つけられた細胞はガンの原因とも考えられている危険因子です。
また、炎症物質から体を守ろうと免疫機能が過剰に反応します。
少しの刺激に対しても敏感に反応するようになり、それがアトピーや花粉症などのアレルギー症状となってあらわれるのです。
細胞膜の材料となる大切な脂肪酸ですが、過剰摂取は危険です。
同じグループのリノール酸は、体内でアラキドン酸にも変換されます。
肉が主流の食事とリノール酸の過剰摂取により、私たちはアラキドン酸も必要以上に摂っています。
そのため、過剰摂取の症状が現代に多くあらわれているのです。
リノール酸とアラキドン酸は必須脂肪酸でありながら、今すぐ摂取量を減らしたい脂肪酸です。
多価不飽和脂肪酸-オメガ3
おつかれさまです、やっとここまで来ました。
最後の脂肪酸グループです。
このオメガ3のグループは、現代の私たちに不足している脂肪酸です。
α-リノレン酸、EPA(IPA)、DHAの3つの脂肪酸が所属しています。
私たちに足りない脂肪酸とは何なのか、じっくり見ていきましょう。
α-リノレン酸
同じリノレン酸という名前ですが、オメガ6にあったγ-リノレン酸とは全くちがうものです。
どんな働きを持つ脂肪酸か、見ていきましょう。
▼代表的な食品
亜麻仁油、えごま油など
▼特徴・働き
・常温で液体
・熱に弱い、酸化しやすい
・悪玉コレステロール、中性脂肪を減らす
・アレルギー症状を改善
・ガン細胞の抑制
▼過剰摂取の場合
・軟便、下痢
▼不足の場合
・免疫力低下
・アレルギー症状
α-リノレン酸は、体内で作ることのできない食事から摂る必要のある必須脂肪酸です。
悪玉コレステロールや中性脂肪を減らし、高血圧や動脈硬化を予防します。
また、アレルギー症状をやわらげ、ガン細胞を抑制する働きも認められています。
α-リノレン酸の含まれる食品は少なく、植物油の中でも一般的なものではありません。そのこともあり、多くの人が不足しています。
アトピーや花粉症を発症している人が多いのも、α-リノレン酸の不足が原因のひとつと考えられています。
α-リノレン酸の不足、オメガ6のリノール酸の過剰摂取、この2つが血液や免疫力などのバランスを崩し、さまざまな健康被害をもたらしているのです。
EPA(エイコサペンタエン酸)またはIPA(イコサペンタエン酸)
魚に多く含まれている脂肪酸です。
魚をあまり食べなくなった現代、魚の秘めたるパワーを見直してみましょう。
▼代表的な食品
本マグロの脂身、マイワシ、サバ、ブリ、サンマ、養殖のハマチ・マダイ、ウナギなど
▼特徴・働き
・常温で液体
・熱に弱い、酸化しやすい
・悪玉コレステロール、中性脂肪を減らす
・高血圧、動脈硬化を予防
・アレルギー症状を改善
▼過剰摂取の場合
・血が止まりにくくなる
・ゲップ、吐き気
▼不足の場合
・血栓ができやすい
・悪玉コレステロール、中性脂肪が増える
さまざまな効力がありますが、EPAが特に優れている力が2つあります。
それは血液を固まらせないようにする力と、オメガ6グループのアラキドン酸がつくりだす炎症物質を抑える力です。
血液を固まらせないということは、体内の血液がサラサラ流れます。
それは高血圧や動脈硬化などの予防につながっているのです。
またアラキドン酸がつくる炎症物質を抑える力が強く、花粉症などのアレルギー症状を改善、予防します。
DHA(ドコサヘキサエン酸)
魚に含まれているものとは知っていましたが、脂肪酸の名前だったとは初めて知りました。
最後の脂肪酸です。きっちりチェックしましょうね。
▼代表的な食品
本マグロの脂身、マイワシ、サバ、ブリ、サンマ、養殖のハマチ・マダイ、ウナギなど
▼特徴・働き
・常温で液体
・熱に弱い、酸化しやすい
・悪玉コレステロール、中性脂肪を減らす
・脳の働きをよくする
・目の機能改善
・高血圧、動脈硬化を予防
・認知症予防
・ストレスの緩和
▼過剰摂取の場合
・血が止まりにくくなる
▼不足の場合
・記憶力、学習能力の低下
・胎児、乳児の発育不全
・血栓ができやすい
・悪玉コレステロール、中性脂肪が増える
EPAと同じく青背魚に多く含まれています。
働きも似ていますが、DHAの大きな特徴は脳の働きに欠かせない重要な脂肪酸だということです。
DHAは脳細胞に多く含まれ、脳を活性化させます。
DHAが十分にある脳は記憶力や学習能力が高まり、不足すると認知症、情緒不安定になり、うつなどを引き起こす原因ともなります。
脳以外の神経伝達にも欠かすことができず、胎児や乳児に不足すると脳や視力、心筋発達に支障をきたす場合もあるのです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
脂肪酸の摂り方で花粉症を引き起こしたり、大きな病気にまでつながってしまうなんて、ちょっと怖くなりましたね。
現代の多くの人に当てはまる、『リノール酸過剰、α-リノレン酸不足』。
これは今日から改めていきたいものです。
ここに出てきた脂肪酸はどれも体に必要で、悪い脂肪酸なんてありません。
脂肪酸のバランスが、どこかに傾いていることが問題なのです。
ただ今はリノール酸が過剰になっているため、リノール酸を減らし、α-リノレン酸を増やすことが課題となっているのです。
どれかだけを摂ればいいではなく、バランスよく脂肪酸を摂ることを心がけていきましょうね。