アメリカ全廃決定!日本でも避けるべきトランス脂肪酸
マーガリンやショートニングに使われているトランス脂肪酸。
なめらかな口当たりや、サクッとした食感を生み出すため、洋菓子などに欠かせないものです。
しかし、アメリカやヨーロッパなどの海外では、トランス脂肪酸が含まれている食品の販売禁止や使用制限が設けられていることは知っていますか?
海外では規制がされているのに、日本では自由に使えるトランス脂肪酸。
このまま使用して大丈夫?
そもそも、なんで規制されているの?
人工的に作られたトランス脂肪酸のおいしさには、裏の顔があったのです。
おいしさの裏にある事実
トランス脂肪酸とは、植物油に水素を添加して固形状に加工した脂肪酸。
適度な柔らかさがあり、長期保存が可能な油です。
パッケージの裏に『食用加工油脂』または『食用精製加工油脂』などの表示があれば、それはトランス脂肪酸のこと。
なめらかな口当たりのマーガリンや生クリーム、サックリした食感のクッキーやクロワッサンに多く含まれています。
他にもコーヒー用のミルクやスナック菓子、アイスクリーム、カレーのルウ、マヨネーズなど、ジャンルを問わず幅広く使われているのです。
また、トランス脂肪酸は水素添加して作られたもの以外にも発生する場面があります。
それは、植物油を精製時に高温で加熱処理したときと、牛や羊などの反芻動物(食べたものをもう一度口に戻して咀嚼を繰り返す動物)の体内です。
つまり、サラダ油や菜種油、肉、チーズ、ヨーグルトなどにも含まれています。
私たちはほぼ毎日、さまざまな食品からトランス脂肪酸を食べているのです。
そんなトランス脂肪酸ですが、じつは体に必要のない脂肪酸で、理想は摂取量ゼロです。
しかし、体に必要な他の脂肪酸を食事から摂るときに、どうしても一緒に摂取する事になってしまいます。
体に必要のないトランス脂肪酸は、やはり体に良いわけがありませんでした。
おいしさの裏には、体への悪影響が潜んでいたのです
トランス脂肪酸は体に毒!
トランス脂肪酸を多く摂取していた人の中から、下記のような症状を訴える人が出てきました。
・動脈硬化
・糖尿病
・認知症
・ガン
・アレルギー
・胎児への悪影響
トランス脂肪酸は悪玉コレステロールを増やし、善玉コレステロールを減らします。
また、トランス脂肪酸は柔軟性がなく、細胞の膜を硬くします。
硬くなった細胞は栄養を十分に吸収できず、働きが鈍くなるのです。
その結果、糖尿病や認知症、ガン、アレルギーなど、さまざまな症状を引き起こします。
他にも脳細胞や発育に欠かせないDHAの体内合成を妨げ、その効果を弱めます。
妊娠初期のお母さんがトランス脂肪酸の含まれた食品を食べ続けていると、胎児の発育不全や流産の危険性まで高まってしまうのです。
国の規制を待っていては遅い!
健康に対してさまざまな被害があらわれたことで、海外ではトランス脂肪酸の使用に規制をかけました。
各国の規制内容は下記のとおりです。
▼アメリカ ニューヨーク市
飲食業に対して、1人前あたり0.5g以上のトランス脂肪酸の使用禁止
アメリカ全土ではトランス脂肪酸の含有量の表示を義務化
2018年6月以降、水素添加で作られるトランス脂肪酸の全廃を決定
▼デンマーク
油脂100gあたりトランス脂肪酸は2g以上の超過を禁止(外食産業を含む)
▼スイス・オーストリア
食用植物油脂100gあたり、トランス脂肪酸は2g以上の超過を禁止
その他、韓国や中国、台湾などのアジア圏でも、トランス脂肪酸の表示を義務づけています。
海外では対策が取られているのに、なぜ日本では規制されていないのか?
『日本人のトランス脂肪酸の摂取量は欧米に比べて少なく、現時点で規制の必要も、成分表示の必要もない』
これが国の意見です。
トランス脂肪酸の目標摂取量は、1日の総エネルギーのうち1%未満。
およそ1日に2gまでということになります。
ここで、トランス脂肪酸が含まれる代表的な食品をあげてみましょう。
・ショートニング 31g
・マーガリン 13g
・ファットスプレッド 10g
・ハヤシのルウ 4.6g
・クッキー 3.8g
・コーヒー用ミルク 3.4g
・クロワッサン 3g
・食用植物油 1.7g
・カレーのルウ 1.6g
・ナチュラルチーズ 1.5g
・スナック菓子 1.5g
・アイスクリーム 0.6g
(100gあたりの含有量最大値/農林水産省HPより)
//www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/trans_fat/t_kihon/content.html
けっこう含まれています。2gなんてすぐに超えそうです
あるフライドポテトは、100gあたり7.3gのトランス脂肪酸が含まれているとのデータもあります。
これでは1回の食事で3日分以上のトランス脂肪酸を摂取することになってしまいます。
ほとんどの加工食品にトランス脂肪酸が含まれているという現状で、本当に規制がなくても大丈夫なのか不安です。
何か症状が出てから…、国から規制がされてから…、では遅すぎます。
自分で少しずつ減らしていくしかないのです。
例えば、マーガリンをバターに変える。
価格はどうしても高くなってしまうのが、厳しいところです。
パンは週末だけなど、食べる回数を減らすのもひとつの手ですね。
まとめ
危険な脂肪酸とわかっても、多くの食品に含まれている現代では、完全に摂らなくすることは難しそうです…。
規制のない日本では、トランス脂肪酸を多く含む食品を自主的に避け、少しでも摂取量を減らすことが現実的かもしれません。
簡単に言うと、こんな感じです。
・食用精製加工油脂が含まれている食品はなるべく控える
・植物油は低温圧搾や一番搾りの表示があるものを選ぶ
・牛や羊の肉、チーズやヨーグルトなどの加工品は過剰摂取しない
そして、もうひとつ大事なことは、トランス脂肪酸だけを避ければ良いのではないということ。
トランス脂肪酸を避けても、体に必要な脂肪酸のバランスが崩れていたら、健康を損ねてしまいます。
トランス脂肪酸を避けるのと同時に、体内の脂肪酸バランスを整えることも健康な体には必要です。
脂肪酸のバランスや、トランス脂肪酸が発生する油の製造過程については、それぞれのページでお話ししています。
気になるところから、油の摂り方を少しずつ見直していきましょうね。