食中毒はこうして防ぐ!調理やお弁当、買い物時の注意点とは

食中毒はこうして防ぐ!調理やお弁当、買い物時の注意点とは

暑い時期になると、心配になるのが食中毒。
しかし、食中毒は季節に関係なく1年中起こります。

というのも、2015年の食中毒の発生数が多かったのは夏ではなく、気温の低い1月~3月の3ヶ月間でした。
そのため、食中毒はいつも注意しなければいけません。

また、食中毒は重症化すると命に関わる場合もありますが、少し気をつけるだけで、ほとんどの食中毒は予防できます。

そこで、食中毒を起こさないために、食中毒の種類や症状、調理やお弁当の注意点を詳しく調べてみました。

食中毒は、なぜ起こる?

そもそも食中毒とは、O-157やノロウイルスなどの原因物質が体内に入ることで、下痢や嘔吐、発熱などの症状を引き起こす病気です。

しかし通常は、食品中に存在する細菌やウイルスが体内に入っても、私たちは分解できるので食中毒は起こりません。

ところが、体調が悪かったり、食品の保存状態や調理が不十分で細菌やウイルスが増え過ぎると、私たちはすべての菌を分解できず、食中毒を起こすのです。

また食中毒を起こす原因物質は、細菌やウイルス、自然毒、寄生虫、化学物質と、さまざまな種類があります。

また食中毒を起こす原因物質は、細菌やウイルス、自然毒、寄生虫、化学物質と、さまざまな種類があります。

食中毒を起こす細菌として代表的なのが、O157やサルモネラ菌など。
ウイルスでは、ノロウイルスやA型肝炎ウイルスで、自然毒はフグやキノコが持つ毒素のことです。

また、魚に含まれる栄養素が化学変化を起こして毒素を発生させるものは、化学物質による食中毒に分類されています。

そのため、代表的な食中毒だけでも20種類以上あるので、全部覚えるのは大変です。
ですので、今回は2015年に発生人数の多かった食中毒と、それ以外で特に注意したい食中毒に絞って見ていきましょう。

発生数の多い食中毒ワースト5

厚生労働省の調査によると、2015年に発生した食中毒で被害者数が多かったのは、下記の5種類でした。

【発症人数の多い食中毒ワースト5】【発症の多い食中毒の特徴】

 食中毒の原因物質発症人数件数
1位ノロウイルス14,876481
2位カンピロバクター2,089318
3位サルモネラ属菌1,91824
4位ブドウ球菌61933
5位ウェルシュ菌55121

圧倒的な多さのノロウイルスは感染力が強く、1件起こると2次感染で多くの人にも影響が出やすい食中毒です。
2位のカンピロバクターと比べて、件数は約1.5倍ですが、発症人数は7倍にも増えているのは感染力の強さが影響しています。

では、それぞれの食中毒を起こしやすい食品や症状、予防法を順番にチェックしていきましょう。

発症の多い食中毒の特徴

【ノロウイルス】

発症の多い食中毒の特徴
・注意する食品:牡蠣などの二枚貝
・特徴:海水に存在し、20℃以上で増殖真水に弱い
・潜伏期間:12時間前後
・症状:激しい腹痛、下痢、寒気など
・対策・予防:魚介類は真水で洗浄。5度以下で保存。

※潜伏期間…汚染された食品を食べた場合に、食中毒の症状が現れるまでの時間

ノロウイルスと聞くと、牡蠣のイメージが強いですが、牡蠣だけでなく、シジミやアサリ、ハマグリなどの2枚貝を、十分に加熱せず食べると発症します。

そもそも2枚貝はプランクトンをエサとしており、プランクトンと一緒にノロウイルスを取り込むことで感染します。
そのため、ノロウイルスに感染した2枚貝であれば、鮮度に関係なく食中毒を起こすということ。

しかし、ノロウイルスは熱に弱いため、85℃以上で90秒以上加熱すれば、食中毒は起こりません。
もし牡蠣やシジミがノロウイルスに感染していても、十分に火を通せば食中毒は起きないのです。

また、牡蠣を生で食べる場合は、海水調査がされている牡蠣を選ぶこと。
ノロウイルスに汚染されていない海域の牡蠣なら、生食も安全です。

ちなみに生食用として販売されている牡蠣は、細菌の量によって決められていますが、細菌はゼロではないため、絶対安全とは言い切れません。
体調が良くない日は、食べないようにしましょう。

そして、食中毒は冬に起こりにくいとされていますが、ノロウイルスは冬に発生しやすい異質の食中毒です。
2015年のノロウイルスの発症数は、4月~10月の月間の平均発症人数は358人でしたが、11月~3月は平均2,472人と、約7倍もの多さです。

さらに、ノロウイルスは感染力が強く、2次感染の危険があります。
感染者の便や吐物の清掃中や掃除用具からの感染を防ぐため、掃除する場合は必ずマスクや手袋を付け、清掃後はビニール袋に入れて密封して捨てることを徹底してください。

なお、症状が消えた後も3~7日間は便にウイルスが含まれている恐れがあるので、数日間は2次感染に注意しましょう。

【カンピロバクター】

カンピロバクター
・注意する食品:肉(特に鶏肉)
・特徴:家畜やペット、野鳥など、多くの動物が保菌
・潜伏期間:2~5日間
・症状:血便を含む下痢、発熱、嘔吐など
・対策・予防:75℃以上で1分以上の加熱

※潜伏期間…汚染された食品を食べた場合に、食中毒の症状が現れるまでの時間

鶏や牛、豚などの家畜をはじめ、ペットや野鳥、野生動物など、あらゆる動物に存在する菌です。
特に鶏に多く、市販されている鶏肉の40%が汚染されているというデータもあります。

菌が付着した肉の生食や、加熱が十分でない肉を食べた場合に食中毒が起こりますが、カンピロバクターは熱に弱いため、加熱すると死滅します。
そのため、75℃以上で1分間以上加熱すれば、カンピロバクターでの食中毒は起こりません。

ただし、生肉を扱った手や調理器具が野菜に触れ、その野菜を生食することで食中毒を起こす場合もあります。
ですので、生肉を扱った場合は、必ず手や調理器具をしっかり洗うこと。
保存時も生肉と他の食品が触れないように注意が必要です。

また、カンピロバクター食中毒の感染後に、ギラン・バレー症候群を発症する場合があります。
ギラン・バレー症候群は筋肉を動かす神経に障害を起こし、手足や顔面がマヒする難病です。

ギラン・バレー症候群を発症した約6割の人は、カンピロバクターなどの細菌に感染した後に発症していると考えられています。

2015年、ノロウイルスに続いて発生数が多かったカンピロバクター食中毒。
大きな病気を引き起こさないためにも、鶏肉の生食は避けるほうが安全です。

【サルモネラ属菌】

サルモネラ属菌
・注意する食品:生卵、肉(特に鶏肉)
・特徴:人や動物の腸管、川や下水などに存在
・潜伏期間:6~48時間
・症状:嘔吐、発熱、下痢、脱水など
・対策・予防:75℃以上で1分以上の加熱

※潜伏期間…汚染された食品を食べた場合に、食中毒の症状が現れるまでの時間

牛や豚、鶏などの家畜の腸管や、川や湖、下水などに広く存在しています。
特に鶏肉と卵は汚染されやすく、生食や加熱が十分でない場合に食中毒が起こります。

そのため食中毒を防ぐには、肉や卵は75℃以上で1分以上加熱すること。
サルモネラ菌は熱に弱いため、十分に火を通せば菌は死滅します。

そして、卵の扱い方にも注意が必要です。
サルモネラ菌は気温が高くなるほど増殖するので、卵は必ず冷蔵保存すること。

また、卵を割ったまま放置すれば、菌が増殖する恐れがあるので、卵を割ったらすぐに調理しましょう。

なお、菌は卵の殻にも付着している場合があります。
殻の割れた卵や、割ったときに殻が入った卵は生食せず、加熱して食べましょう。

もちろん、期限切れの卵の生食は避けること。
生食や半熟卵など火をあまり通さない卵料理は、新鮮な卵を使いましょう。

【ブドウ球菌】

ブドウ球菌
・注意する食品:おにぎり、サンドイッチなど
・特徴:人や動物の皮膚や粘膜
・潜伏期間:1~6時間
・症状:嘔吐、下痢、疲労感など
・対策・予防:傷のある手で食品に触れない

※潜伏期間…汚染された食品を食べた場合に、食中毒の症状が現れるまでの時間

人の鼻やノドの粘膜、動物の皮膚、ホコリなどに存在しています。
また傷口やニキビ、水虫の中にも存在しており、手に付着しやすい菌です。

菌が食品を汚染すると、エンテロトキシンという毒素を作り、食中毒を起こします。
そのため、手で直接触れるおにぎりなどで感染しやすく、注意が必要です。

また、ブドウ球菌そのものは熱に弱いですが、発生する毒素は熱に強く、加熱しても分解されません。
ですので、ブドウ球菌の食中毒を防ぐには、毒素を発生させないようにすることがポイント。

ブドウ球菌の毒素は20℃以上で発生するので、食品は10℃以下で保存すること。
また食品に触れる際は手をしっかり洗い、おにぎりはラップを使って直接触れないようにしましょう。

【ウェルシュ菌】

ウェルシュ菌
・注意する食品:カレーやシチューなど
・特徴:人や動物の腸管に存在。酸素のない所で増殖する
・潜伏期間:6~20時間
・症状:腹痛、下痢など
・対策・予防:常温放置しない。再加熱は75℃で1分以上

※潜伏期間…汚染された食品を食べた場合に、食中毒の症状が現れるまでの時間

ウェルシュ菌は、酸素のないところで増殖する菌です。
そのため、大量に作ったカレーやシチューを常温保存している間に、空気に触れない鍋の内部で菌が増え、食中毒を起こします。

ですので、ウェルシュ菌による食中毒を予防するには、室温で長時間放置しないこと。
空気に触れる面積が増えるように、小分けにして早く冷まし、冷蔵庫で保存しましょう。

また、ウェルシュ菌は火に強いといわれますが、これは初めの調理中の話です。
例えば、カレーを調理する間に、加熱によってさまざまな菌が死滅します。
しかし、ウェルシュ菌は熱に強い芽胞状態を保ち、死滅しません。

芽胞状態のウェルシュ菌は、カレーが冷めると芽胞状態から通常の菌体に戻り、増殖します。
そして、菌が増殖したカレーを食べると食中毒が起こるのです。

しかし、芽胞状態のウェルシュ菌は熱に強いですが、一度冷めてから増殖する通常のウェルシュ菌は熱に弱い性質です。
そのため、再加熱の際にしっかり加熱すれば、増殖したウェルシュ菌は死滅し、食中毒は起こりません。

鍋に入った料理を再加熱するときは、しっかり混ぜて十分に加熱しましょう。

以上が、2015年に発生数の多かった5つの食中毒の特徴です。
次は、その他に注意したい食中毒をチェックしましょう。

大腸菌O157や寄生虫など、要注意な食中毒

ここからは上記以外の食中毒で、年間100人以上発症している食中毒4つをご紹介します。
その4つの食中毒とは、下記の通りです。

【腸炎ビブリオ】

腸炎ビブリオ
・注意する食品:魚介類とその加工品
・特徴:海水に存在し、20℃以上で増殖真水に弱い
・潜伏期間:12時間前後
・症状:激しい腹痛、下痢、寒気など
・対策・予防:魚介類は真水で洗浄。5度以下で保存

※潜伏期間…汚染された食品を食べた場合に、食中毒の症状が現れるまでの時間

まず、腸炎ビブリオは海水の中に存在しているため、魚介類やその加工品で発生しやすい食中毒です。
特に、海水の温度が20℃以上になると増殖しやすいので、夏の魚介類は要注意。

しかし、真水や熱に弱いため、魚を真水でしっかり洗ったり、加熱すれば食中毒は起こりません。
75℃以上で1分以上加熱すれば、確実に死滅します。

なお、刺し身などで生食する場合は、増殖を防ぐために5度以下で保存すること。
また、魚介類を調理したまな板は放置せず、すぐに洗いましょう。

【腸管出血性大腸菌】

腸管出血性大腸菌
・注意する食品:牛肉やハンバーグ、サラダなど
・特徴:強い毒性があり乳幼児や高齢者は重症化しやすい
・潜伏期間:3~8日間
・症状:血液を含む水のような下痢
・対策・予防:75℃以上で1分以上の加熱

※潜伏期間…汚染された食品を食べた場合に、食中毒の症状が現れるまでの時間

O-157やO-111が代表的な菌の種類で、人や牛などの家畜の腸管に存在し、強力な毒素を発生させます。
菌の付着した肉を生で食べたり、加熱が十分でないと発症する場合が多いですが、井戸水やサラダなどが原因で発症した例もあります。

また毒性が強いため、小さな子どもや高齢者は重症化しやすく、命に関わる場合も。
腎機能や神経に障害を起こすHUS(溶血性尿毒症症候群)を発症すると、長期的な治療が必要になります。

そのため、予防するには肉の生食は避けること。
菌を死滅させるために、75℃以上で1分以上加熱するようにしましょう。

特に、ミンチは菌が全体に広がっている恐れがあります。
中が赤い状態で食べるのは危険なので、中までしっかり火を通すように気をつけましょう。

【セレウス菌】

セレウス菌
・注意する食品:大量調理のチャーハンやパスタなど
・特徴:熱に強い。嘔吐型と下痢型の2つの症状がある
・潜伏期間:30分~16時間
・症状:嘔吐、下痢
・対策・予防:大量のご飯や麺類を調理・常温放置しない

※潜伏期間…汚染された食品を食べた場合に、食中毒の症状が現れるまでの時間

土壌に存在する菌の一種で、穀類や豆類、香辛料などに感染しやすい特徴があります。
熱に強く、増殖するときに発生する毒素が食中毒を起こします。

また、毒素の種類によって嘔吐と下痢の2つ症状があり、日本で発症する多くは嘔吐タイプです。

(嘔吐タイプ)潜伏期間:30分~5時間
大量に作ったチャーハンやパスタ、焼きそばを常温保存している間に増殖する。

(下痢タイプ)潜伏期間:8~16時間
保存状態が悪い肉や野菜、牛乳などに繁殖。
セレウス菌は熱に強いため、加熱調理しても菌は死滅しません。
そのため、汚染された食材で作ったスープや弁当、プリンなどでも発症。

どちらのタイプも熱に強いため、菌を増やさないことが予防法になります。
作り置きしないことや冷蔵保存で、菌の増殖を防ぎましょう。

【アニサキス】

アニサキス
・注意する食品:サバやアジなどの魚介類
・特徴:魚介類の内臓に寄生する虫。魚が死亡すると筋肉に移動する
・潜伏期間:数時間~3日間
・症状:激しい腹痛、嘔吐
・対策・予防:70℃以上の加熱で瞬時に死滅

※潜伏期間…汚染された食品を食べた場合に、食中毒の症状が現れるまでの時間

サバやアジ、サンマ、サケ、カツオ、イカなど、多くの魚介類に寄生する、寄生虫の一種です。
通常は内臓に寄生していますが、魚が死亡すると筋肉(魚の身)に移動します。

アニサキスによる食中毒は2タイプありますが、多くは数時間で発症する急性胃アニサキス症で、みぞおちに激しい傷みや嘔吐などの症状が現れます。

一方、十数時間から数日後に発症する急性腸アニサキス症の症状は、下腹部に激しい痛みや腹膜炎などを引き起こします。

アニサキス食中毒を防ぐには、新鮮な魚を選び、内臓はすぐに取りだすこと。
また内臓は生で食べず、身も十分加熱するように心掛けましょう。

ちなみに、アニサキスは目で見える病原体です。
魚に白色の太い糸のようなもの(長さ2~3cm、幅0.5~1mm)が付着していれば除去し、しっかり火を通してから食べましょう。

その他の食中毒

また上記以外にも、魚に含まれる栄養素が化学変化を起こして、ヒスタミン中毒という食中毒を起こす場合があります。
では、ヒスタミン中毒と自然毒について、簡単にチェックしておきましょう。

【ピスタミン】

マグロやサバ、サンマなどの赤身魚に多いヒスチジン(アミノ酸の一種)が、酵素の働きによって、ヒスタミンに変わります。

マグロやサバ、サンマなどの赤身魚に多いヒスチジン(アミノ酸の一種)が、酵素の働きによって、ヒスタミンに変わります。

このヒスタミンを一度に100g以上摂取すると、舌がピリピリしたり、口周りや耳が赤くなったり、じんましんや頭痛などの中毒症状が起こります。

そのため、ヒスタミンの増加を防ぐには魚の常温放置は避け、冷蔵や冷凍保存すること。

しかし、冷蔵でも保存期間が長くなれば、ヒスタミンの量が増える場合があります。
ヒスタミンは加熱しても減らないので、できるだけ早く食べることが予防のポイントです。

【自然毒】

フグやキノコ、ジャガイモの芽やスイセンなど、毒成分を持つ動植物による食中毒です。

フグやキノコ、ジャガイモの芽やスイセンなど、毒成分を持つ動植物による食中毒です。
フグや食用でないキノコの毒性は強く、誤って食べると命を落とす場合もあり注意が必要です。

参照元:厚生労働省-自然毒の一覧

以上のように、食品には食中毒の原因となる菌やウイルスが存在しています。
しかし、その多くは熱に弱いので、しっかり加熱することが食中毒を防ぐ大きなポイントです。

また、調理後の食品に菌が繁殖しないように注意しましょう。
特に菌が繁殖しやすい30~37℃で放置すれば、たった2~3時間で食中毒を引き起こす量にまで菌は増殖します。

そのため、残った食品は早く冷まして冷蔵保存すること。
涼しい場所でも、食べるまでに3時間以上空く場合は、必ず冷蔵庫に入れましょう。

この他にも、食中毒を防ぐためにできることは、たくさんあります。
食中毒を防ぐためのポイントとして、食品の保存や調理、お弁当の注意点を、それぞれチェックしていきましょう。

食中毒を防ぐポイント①:買い出し~冷蔵庫の保存まで

食中毒を防ぐには、食材の買い出しから気をつけたいポイントがあります。

食中毒を防ぐポイント①:買い出し~冷蔵庫の保存まで

そのポイントとは、下記の通りです。

【買い出し時の注意点】

  • 肉や魚は、最後に買い物かごに入れる
  • 肉や魚は、ビニール袋に入れる
  • 買った食材は、車のトランクに入れない

スーパーの入口付近には野菜や果物、続いて魚、肉など生鮮食品が順番に陳列されていることが多いです。
しかし、最初に肉や魚を買い物かごに入れると、肉や魚の温度は高くなります。

少し手間ですが、たくさん買うものがある場合は、肉や魚は最後に買い物かごに入れる方が安全です。
また、肉や魚の汁が他の食品にかからないように、ビニール袋に入れましょう。

そして、買い物が済んだらすぐ家へ帰ること。
車の場合は、温度の高いトランクに食品を入れてはいけません。
座席に置くか、トランクに入れる場合はクーラーボックスを使用しましょう。

【冷蔵庫に入れるときの注意点】
冷蔵庫に入れるときの注意点

  • 持ち帰った食材は、すぐに冷蔵庫へ
  • 肉や魚は、冷蔵庫の下側に保存
  • 冷蔵庫に食品を詰め込みすぎない
  • 冷蔵庫の扉ポケットに、生鮮食品は入れない

家に着いたら、冷蔵(冷凍)が必要な食品は、すぐに冷蔵庫(冷凍庫)に入れます。
このときも、肉や魚の汁が他の食品や冷蔵庫内に落ちないように、ビニール袋に入れたまま保存します。

もし、肉や魚の汁が漏れ出てビニール袋が汚れていれば、新しく入れ替えるか、パックから取り出してラップに包み直すようにしましょう。
また、肉や魚を冷蔵庫内の下側に置けば、汁が漏れた場合も他の食品に影響しにくいです。

なお、冷蔵庫にたくさん詰め込むのは厳禁です。
冷蔵庫内に物が入りすぎていると、冷たい空気の循環が悪くなり、食品が十分に冷やされません。
また、冷蔵庫の扉ポケットは、庫内よりも温度が高くなるので生鮮食品は入れないようにしましょう。

その他には、庫内の温度が上がらないように、冷蔵庫を何度も開け閉めしない。
冷蔵庫の中を定期的に掃除し、期限切れの食品がないかチェックすることも大切です。

また、冷蔵庫の裏側にホコリが溜まると、上手く放熱されず冷えが悪くなるので、冷蔵庫の裏側もときどきチェックすること。
当たり前のことばかりですが、改めて意識することで食品を傷めないようにしましょう。

食中毒を防ぐポイント②:調理前~調理後まで

次は、調理時の注意点です。
ここからは肉や魚などに直接手で触れるため、さらに注意しなければいけません。

では、調理を始める前から、調理中や調理後の気をつけるポイントを見ていきましょう。

【調理前の注意点】
調理前の注意点

  • しっかり手を洗う(爪の間や手首も念入りに)
  • 携帯やペットに触れた場合は、手を洗い直す
  • 土の付いている野菜は、しっかり洗う

当たり前ですが、調理する前はしっかり手を洗います。
その際、必ず石けんを使うこと。

手に付着している細菌は、水だけでは落ちません。
石けんを使って30秒以上を目安にしっかり洗う習慣をつけましょう。

特に洗い残しやすい部分は、指の間と指先(爪の間)、手首です。
そして、意外に手の甲は細菌が多いので、全体的にしっかり洗うように意識しましょう。

なお、しっかり手を洗っても携帯やペットに触れれば、新たな菌が付着します。
ですので、ペットに触れたときやトイレに行ったら、その度に石けんで洗い直すこと。
調理中に携帯を使用する場合は、除菌シートで携帯を拭いておくと安全です。

そして食品で注意したいのは、土が付いているゴボウやジャガイモなどの根菜類や、ホウレン草など根の付いた野菜を扱うときです。
土の中にはたくさんの微生物や細菌が存在しているので、土の付いている野菜はしっかり洗いましょう。

【調理中の注意点】

  • 肉や魚を調理したら、その度に手や調理器具を洗う
  • 生の肉や魚に使用した箸は、他の食品に使わない
  • 肉や魚は、しっかり加熱する
  • 冷凍食品は、室内で自然解凍しない

理想をいえば、食品を調理するごとに、まな板や包丁は洗う方が良いです。
しかし、時間がない場合は生食する野菜を先に切ってから、加熱する肉や魚を切れば、問題ありません。

ただし、肉や魚のどちらかを切った場合は、続けて調理してはいけません。
肉と魚は菌が増殖しやすいので、続けて使用するのは危険です。
そのため肉や魚を調理した場合は、その度に手やまな板、包丁などの調理器具を洗いましょう。

またサッと洗った程度では、まな板のキズに入り込んだ菌がまだ残っている場合もあります。
その場合は、まな板に熱湯をかけて殺菌しましょう。
熱湯消毒は漂白剤と同じくらいの殺菌効果があるので、まな板や包丁の殺菌にオススメです。

また、調理中に使用する菜箸も要注意。
焼き肉やしゃぶしゃぶなどの生肉に使った箸で、そのまま食べたり、他の食品を触ってはいけません。

そして、生肉や生魚が他の食材や調理した食品に触れないように、分けて置くことも意識しましょう。
なお、調理する上で最も大切なのは、しっかり加熱することです。
なお、調理する上で最も大切なのは、しっかり加熱することです。
多くの菌は、加熱すると死滅します。
75℃以上で1分以上(ノロウイルスは85℃以上で90秒以上)の加熱を目安に、しっかり火を通しましょう。

ハンバーグや唐揚げ、牡蠣フライなど厚みのある食品は、フタをしたり低温でじっくり加熱すれば、中心部までしっかり火が通り安全です。

また冷凍食品の解凍は、常温で自然解凍すると菌が繁殖しやすく危険です。
冷蔵庫や電子レンジでの解凍や、流水に漬けて解凍するようにしましょう。
ちなみに、半解凍くらいで調理すると、風味が落ちにくくオススメです。

【調理後の注意点】

  • 使い終わった調理器具を、流しに放置しない
  • 調理器具は、熱湯をかける
  • 食器洗いのスポンジは、使用後洗う
  • フキンは、こまめに取り換える

使い終わった包丁やまな板は、すぐに洗いましょう。
肉や魚を切った包丁やまな板を流しに放置すれば、菌はどんどん繁殖します。
菌が増える前に洗浄し、仕上げに熱湯をかければ、殺菌効果が高まり安全です。

また食器洗い用のスポンジは、調理器具の中でも菌が繁殖しやすいアイテムです。
肉や魚を切ったまな板の洗浄時に付着した菌が、スポンジ内でどんどん繁殖しています。

そのため食器を洗い終えたら、スポンジをしっかり洗うこと。
仕上げに熱湯をかけたり、水を切った後に洗剤を含ませておくのも効果的です。

なお、肉や魚を調理したまな板を洗った後も、スポンジを洗いましょう。
そのまま洗わずに食器や鍋を洗えば、菌が付着する恐れがあります。

そして、手拭きのタオルは湿ったら取り替えて、菌の繁殖を抑えましょう。
肉や魚を調理したまな板を洗った後も、スポンジを洗いましょう。 そのまま洗わずに食器や鍋を洗えば、菌が付着する恐れがあります。

食中毒を防ぐポイント③:お弁当を傷めにくくする

最後は、調理してから食べるまでに時間のある、お弁当の注意点をチェックしていきましょう。

【お弁当の注意点(ご飯・おにぎり)】
お弁当の注意点(ご飯・おにぎり)

  • 冷めてから、お弁当に入れる
  • ご飯に酢や梅干しを混ぜる
  • おにぎりは素手で握らない

まず、温かいご飯をそのままお弁当に入れてはいけません。
お弁当の中に水分が増えて、菌が繁殖しやすくなります。

ですので、ご飯は冷めてからお弁当に詰めましょう。
お弁当に入れる分だけを小皿に取り出せば、早く冷ますことができます。

また、お米を炊くときにお酢を入れると、ご飯全体にお酢の抗菌作用が広がります。
お米3合に対して、お酢は小さじ1杯程度で良いので、匂いも気になりません。
炊きあがり後にお酢をかけても、同じ効果があります。

その他には、塩分の強い梅干しも抗菌作用があります。
ただし、抗菌作用は梅干しが触れるところだけなので、梅干しをそのまま乗せるよりも、細かくちぎって全体に混ぜるほうが良いでしょう。

そして、ご飯をおにぎりにする場合は素手で握らず、ラップに包んで握ります。
手にはたくさんの細菌が付着しているので、ラップ越しに握る方が安全です。

また、温かいうちに握るとラップの中に水分が溜まるので、握った後ラップから取りだすか、冷ましてから握ること。
海苔を巻くと菌が繁殖しやすくなるので、食べる直前に巻きましょう。

なお、おにぎりの具も梅干しが安全ですが、鮭フレークや明太子を入れる場合は必ず加熱し、冷めてから入れてください。

ちなみに、おにぎりは食べる日の朝に作るのが安全です。
もし前日の夜に作る場合は、冷蔵保存して朝レンジで温め直すこと。
そして、おにぎりを冷ました後に、新しいラップに包むようにしましょう。

お弁当を食べる場所にレンジがあるなら、夜作ったおにぎりは冷凍のまま持って行くのも安全です。

【お弁当の注意点(おかず)】
お弁当の注意点(おかず)

  • 冷めてから、お弁当に入れる
  • しっかり水分を切る
  • 味付けを濃い目にする
  • 夜ご飯の残りは、再加熱する
  • ドレッシングは食べる直前にかける

水分があると菌が増えやすいので、ご飯と同じくおかずも冷めてからお弁当に詰めます。

また、おかずの水分はしっかり切ること。
フライパンで炒って水分を飛ばしたり、片栗粉でとろみを付けたり、ゴマや鰹節をまぶして水分を吸わせる工夫をしましょう。

そして、塩や砂糖を加えると食品中の水分が減るので、お弁当のおかずは少し濃い目がポイントです。
夜ご飯のおかずをお弁当に入れる場合は、必ず再度加熱することも忘れずに。
ソースやドレッシングは別容器に入れて、食べる直前にかけるようにしましょう。

また、おかずの水分でご飯が傷まないように、ご飯と別の容器に入れることも守りましょう。

【お弁当の注意点(お弁当の保存・その他)】
お弁当の注意点(お弁当の保存・その他)

  • 暑い時期は、保冷剤を入れる
  • 抗菌シートの活用や、フタにワサビを塗る
  • 日の当たらない、涼しい場所で保管
  • お弁当箱も熱湯消毒する
  • 空のお弁当箱も、湿気のある場所に置かない

お弁当は調理してから食べるまでに時間があるので、保存状態も気をつけましょう。
特に、暑い季節はお弁当箱を保冷剤で冷やし、菌を繁殖させないこと。
季節に関係なく、長時間持ち歩くときも保冷剤を入れておく方が安心です。

また、市販の冷凍食品の中には、凍ったままお弁当に入れるタイプがあります。
保冷剤の代わりになるので、お弁当の中心に入れましょう。
しかし、食べるまでに長時間空く場合は、保冷剤も一緒に入れてください。

他には、殺菌・防腐作用のあるワサビをフタの内側に塗るのもオススメです。
市販の抗菌シートを入れるのも良いでしょう。

そして、食べ終わった後のお弁当箱にも気をつけたい点があります。
まず、フタのパッキンが外せる場合は、外して洗うこと。
さらに、お弁当箱に熱湯をかけて殺菌すれば、より安全です。

熱に弱いお弁当箱は、塩素系の漂白剤を水で薄めて漬け置きしたり、薄めた酢で拭いても抗菌効果があります。
洗ったお弁当箱は湿気の多いシンク周りには置かず、涼しい場所で保管しましょう。

では次は、より安全なお弁当を作るために、傷みやすいおかずと傷みにくいおかずをチェックしていきましょう。

傷みやすいおかず

傷みやすいおかず
  • レタスなどの生野菜
  • チャーハンや炊き込みご飯などの混ぜご飯
  • 卵焼き
  • ポテトサラダ
  • コロッケ
  • ちくわなどの練り物
  • ハムやチーズ

生野菜
野菜は水分が多いので、レタスなどを仕切りに使うのは危険です。
彩りに入れることの多いプチトマトは、ヘタに菌が繁殖しやすいのでヘタは取ること。
汁が出るのでピックは刺さず、しっかり水分を拭きとって、丸ごと入れるようにしましょう。

混ぜご飯
チャーハンや炊き込みご飯など、色んな食材を入れる混ぜご飯は傷みやすい食品です。
そぼろご飯やオムライスも避けるほうが無難です。
お弁当のご飯は、白米にしましょう。

また、ふりかけや海苔、ごまは、ご飯が冷めてからかけるか、食べる直前にかける方がより安全です。

卵焼き
卵は、サルモネラ菌に気をつける必要があります。
そのため、卵焼きの内部をしっかり加熱せず、作るのは危険です。
暑い時期はお弁当に入れないか、入れる場合は厚く巻かず、中までしっかり焼きましょう。

ポテトサラダ
ポテトサラダは、マヨネーズによって野菜の水分を引き出されるため、菌が繁殖しやすいです。
また、ジャガイモに多いデンプンも傷みやすいので、危険な要素が重なっています。
お弁当には入れるのは、止めましょう。

コロッケ
火をしっかり通す揚げもの料理は、本来なら傷みにくいおかずです。
しかし、コロッケだけは例外。
ジャガイモに含まれるデンプンが傷みやすいので、コロッケもお弁当に入れるのは控えましょう。

ちくわ
ちくわやかまぼこなどの練り物は、そのまま食べられるので調理が要らず、お弁当の一品として役立ちます。
しかし、火を通さずお弁当に入れると傷みやすいので、お弁当に入れる場合は必ず加熱しましょう。

ハム・チーズ
ハムやチーズも同じく、生のままお弁当に入れると傷みやすいです。
ハムは必ず加熱すること。
チーズは入れない方が良いでしょう。

傷みにくいおかずのポイント

傷みにくいおかずのポイント
  • 野菜は酢漬けにする
  • 梅干しやショウガ、シソ、カレー粉で味付け
  • 揚げもの
  • きんぴら
  • しぐれ煮

酢漬け
そのまま入れると危険な野菜は、抗菌作用のある酢に漬けて持っていきましょう。
ただし、余分な水分は切り、別容器に入れることを忘れずに。

梅干し・ショウガ・シソ・カレー粉
酢と同じく抗菌作用のある、梅干しやショウガ、シソ、カレー粉で味付けするのもオススメです。
豚のしょうが焼きや、シソと梅肉で肉や魚を巻いて揚げたり、抗菌作用のあるカレー粉を使えば、簡単に味を変えらます。

揚げもの
しっかり加熱する揚げ物料理は、お弁当のおかずにオススメです。

ただし、しっかり中まで火を通すこと。
中心部まで火が通っていないと、食中毒の危険が高まります。
じっくり低~中温で揚げて、中まで火を通しましょう。

きんぴら・しぐれ煮
きんぴらやしぐれ煮など、しっかり水分を飛ばす料理もおかずに最適です。
きんぴらに酢を加えたり、しぐれ煮はしょうがを加えて、抗菌作用を高めておくとより安心です。

まとめ

食品に菌が増殖しても、見た目や匂いに変化はないので、見分けることはできません。
そのため、いつも予防する意識を持つことが大切です。
特に、細菌の繁殖しやすい5月~9月は、いつも以上に注意しましょう。

また、小さな子どもや妊婦、高齢者、体調の良くない時などは、抵抗力が弱くなっている場合があるので、生食は極力控えること。

食中毒は、ちょっと意識するだけで予防できるので、しっかり加熱して安全な食事を心掛けましょう。

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