化学調味料は危険じゃない?それでも摂取したくない危ない理由とは

化学調味料は危険じゃない?それでも摂取したくない危ない理由とは

料理のダシや味付けが簡単にできる、顆粒だしや化学調味料。
しかしサラサラした真っ白な粒は、いかにも人工的につくられた化学物質という感じから、体に危険なイメージがありますよね。

そもそも化学調味料の原料や、顆粒だしに含まれるカツオやコンブエキスとは何なのでしょうか?

そこで、化学調味料や顆粒だしの原料や危険性について調べてみました。
また同じ調味料でも値段に大きな差がある理由や購入時の注意点など、その他の調味料についても確認していきましょう。

化学調味料って何?

化学調味料って何?

今回チェックする調味料は、料理に欠かすことのできないダシ・醤油・味噌・お酢・みりんの5つです。
では、体に危険なイメージが強い、化学調味料から順に見ていきましょう。

化学調味料は、砂糖と同じくサトウキビが原料。
サトウキビから砂糖成分を取り除いたあとに残る、糖蜜を発酵して作られます。

この発酵によって作られるのが、うま味成分と呼ばれるグルタミン酸です。

ただ、グルタミン酸は水に溶けにくく、このままでは料理に使いづらい弱点があります。
そのため、一般的な化学調味料は、水に溶けやすくなるようにナトリウム(塩分)と結合した、グルタミン酸ナトリウムの状態で使用されています。

ちなみに化学調味料の代表的な『味の素』も、成分の97.5%がグルタミン酸ナトリウムです。

なお、うま味成分であるグルタミン酸はアミノ酸の一種。
私たちの体の20%を占めるタンパク質は、大量のアミノ酸がつながったものなので、アミノ酸やグルタミン酸は、私たちの体にとって重要な成分です。

ですから、化学調味料の主成分であるグルタミン酸ナトリウムも、体に必要な成分ということ。
それなのに、体に危険なイメージが強いのはなぜでしょうか。

化学調味料が危険だとする3つの理由

化学調味料を危険視する主な理由は、3つのことが考えられます。
それは、化学調味料という呼び名・石油原料・中華料理店症候群です。

では、ひとつずつ詳しく見ていきましょう。

1つ目の化学調味料という呼び名が広まったのは、50年以上前のこと。
NHKの番組内で味の素の商品名を呼ぶ代わりに、化学調味料と呼んだことが始まりとされています。

化学調味料という呼び名はいかにも人工的で、抵抗感を強めるきっかけとなったのです。
今はグルタミン酸がうま味成分であることから、うま味調味料とも呼ばれています。

今はグルタミン酸がうま味成分であることから、うま味調味料とも呼ばれています。

2つ目の石油原料も50年以上前の話です。
当初、味の素は小麦粉を原料として作られていたのですが、一度に生産できる量が少なく効率が良くありませんでした。

そこで大量生産のために、小麦粉に代わって使用されたのが石油だったのです。

ところが、石油には発がん性が疑われるタールが含まれていました。
そのため、石油由来の味の素にも発がん物質が含まれるのではないかと、有害性が問題になったのです。

ただ、長い年月をかけて発生するがんとの関連性を結びつけることは難しく、石油由来の味の素が原因とされる健康被害は報告されていません。

味の素を製造するAJINOMONOも、石油由来の味の素はサトウキビ由来の製品と成分に差はなく、安全だと主張しています。

現在製造されている味の素は、サトウキビなど天然由来のものだけですが、発がん性のある石油が原料だったという、衝撃的な過去があったのです。

3つ目は中華料理店症候群。

3つ目は中華料理店症候群。

化学調味料を危険とする、最も大きな理由です。

1960年代、中華料理を食べた一部の人に頭痛や発汗、体のしびれ、顔面の紅潮・圧迫感などの症状が現れ、その原因とされたのが中華料理に大量に使用されていた、グルタミン酸ナトリウムだったのです。

1974年、食品添加物の摂取許容量を定めるJECFA(FAO/WHO合同食品添加物専門家会議)は、グルタミン酸の1日の摂取許容量を120mg/kg以下に設定。

これをきっかけに、化学調味料(グルタミン酸ナトリウム)は危険というイメージが広がりました。

ところが1987年の再調査の結果、グルタミン酸ナトリウムと中華料理店症候群に関連性はないことが確認され、グルタミン酸ナトリウムの摂取制限は解除に。

しかし、一度広まった危険なイメージを変えることは難しく、今も中華料理店症候群や体への影響を危険視する声があります。

なお、中華料理店症候群の原因は、塩分の過剰摂取や酸化した油、化学調味料の過剰摂取など、総合的なことが要因と考えられています。
原因はひとつではなく、個人の体質や体調が影響して引き起こされる症状なのです。

そのため、化学的にグルタミン酸ナトリウムと中華料理店症候群の関連性は否定されていますが、人によってはグルタミン酸ナトリウムを大量に摂取すれば、頭痛やめまいなどの症状が現れる場合もあります。

化学的にグルタミン酸ナトリウムと中華料理店症候群の関連性は否定されていますが、人によってはグルタミン酸ナトリウムを大量に摂取すれば、頭痛やめまいなどの症状が現れる場合もあります。

以上が、化学調味料(グルタミン酸ナトリウム)を危険とする、主な理由です。
では、本当に化学調味料は危険なのか、真相に迫っていきましょう。

化学調味料は、国際的に安全性が認められている

結論からいうと、化学調味料は体に危険なものではありません。
というのも、化学調味料は国際的に安全性が認められているのです。

その証拠に、グルタミン酸ナトリウムは摂取量の制限がありません。

中華料理店症候群のところで少し触れましたが、食品添加物は1日の摂取許容量(ADI)がそれぞれ定められています。

1日の摂取許容量(ADI)とは、動物実験によって毒性が発生しなかった量から、さらに1/100に減らした値。
毎日一生食べ続けても健康に影響しない値として、JECFA(FAO/WHO合同食品添加物専門家会議)によって設定されます。

つまり、食品添加物は国際基準によって、安全な範囲内で使用されるように定められているのです。

1日の摂取許容量(ADI)とは、動物実験によって毒性が発生しなかった量から、さらに1/100に減らした値。
毎日一生食べ続けても健康に影響しない値として、JECFA(FAO/WHO合同食品添加物専門家会議)によって設定されます。

ところが、化学調味料の主成分であるグルタミン酸ナトリウムは、1日の摂取許容量(ADI)が設定されていません。
摂取量を制限する必要がないほど、安全な添加物として認められているのです。

さらに摂取量の制限がないのは大人だけでなく、乳幼児も問題なく体内で代謝できると安全性が評価されています。

なお、グルタミン酸ナトリウム以外に、化学調味料の主成分となるうま味成分はイノシン酸ナトリウム、グアニル酸ナトリウム、リボヌクレオチドナトリウムがありますが、これらも全てADI(1日の摂取許容量)は設定されておらず、グルタミン酸ナトリウムと同じく安全性が認められています。

危険なイメージの化学調味料ですが、体に悪いものではなかったのです。

ただ食品添加物に限らず、100%安全な食品はありません。
摂取制限がないからと大量に摂取すると、体に悪影響を与える危険性が一部で報告されています。

化学調味料は、偏頭痛と緑内障のリスクとなる

化学調味料は、偏頭痛と緑内障のリスクとなる

1日の摂取制限がなく、体への安全性が国際的に認められているグルタミン酸ナトリウムですが、じつは大量摂取による体への影響が心配されています。

それは、偏頭痛と緑内障です。

偏頭痛は緊張やストレス、天候などの要因によって引き起こされると考えられていますが、グルタミン酸ナトリウムもその要因のひとつ。

グルタミン酸ナトリウムは血管を収縮する作用があるため、化学調味料(グルタミン酸ナトリウム)を使用した食品を食べると、頭痛が起こる恐れがあります。

また、グルタミン酸ナトリウムの大量摂取は、緑内障のリスクを高めるという研究結果も報告されています。

グルタミン酸ナトリウムを大量に摂取すると、眼球の硝子体(ガラス体)のグルタミン酸濃度が高まることで網膜細胞が損傷し、緑内障を引き起こす危険があるというのです。

緑内障は日本人の失明原因の最大の理由であり、20人に1人が発症すると考えられています。

グルタミン酸ナトリウムを大量に摂取すると、眼球の硝子体(ガラス体)のグルタミン酸濃度が高まることで網膜細胞が損傷し、緑内障を引き起こす危険があるというのです。

本来、緑内障は眼圧が高いために、視神経が傷つけられることが原因と考えられていますが、日本人の緑内障患者の約7割は、眼圧が正常にも関わらず発症しています。

日本人の視神経は欧米に比べて弱いため、緑内障を発症しやすい傾向にあるのですが、化学調味料の使用量は欧米よりも日本の方が多いのです。

そのため、グルタミン酸ナトリウムの大量摂取が、緑内障の発症に影響しているのではないかと考えられています。

とはいえ、グルタミン酸ナトリウムはJECFA(FAO/WHO合同食品添加物専門家会議)により安全性が認められているので、化学調味料を摂取したからといって必ず頭痛や緑内障が引き起こされるものではありません。

ただ、安全とされるグルタミン酸ナトリウムでも、過剰に摂取すると悪影響が起こる危険性があるのです。

では、化学調味料を使用していない、無添加の調味料は安全なのでしょうか。

無添加の調味料も、無添加ではない

無添加の調味料も、無添加ではない

添加物を使用した化学調味料は摂取したくないからと、無添加と表示された顆粒だしや麺つゆなどを選ぶ人も多いはず。
しかし無添加の調味料には、添加物ではない他の成分が使用されているって知っていますか?

その成分とは、無添加調味料のうま味成分となる、食品由来のエキス(カツオエキス・チキンエキスなど)や酵母エキス・たんぱく加水分解物です。

カツオエキスなどの食品由来のエキスの原料は、他の加工食品の煮汁や、切り落とされた野菜や肉などの余り物。

カツオエキスなどの食品由来のエキスの原料は、他の加工食品の煮汁や、切り落とされた野菜や肉などの余り物。

酵母エキスは、ビールの製造で余ったビール酵母を再利用し、たんぱく加水分解物も加工時に余った肉や魚、大豆、小麦を原料とします。

他の加工品の残り物を再利用して、うま味成分(アミノ酸)を作り出しているのです。

なお、体への危険性はないものの、製造方法は酵素分解や塩酸など化学的で、完成したエキスやたんぱく加水分解物は、食品の原型を留めていません。

しかし製造方法が化学的にも関わらず、原料が食品由来だからと、添加物ではなく食品として扱われているのです。

そのため、無添加の調味料は化学調味料を使用しない代わりに、化学的な方法で製造されたカツオエキスや酵母エキス、たんぱく加水分解物が使用されています。
無添加といっても、化学的な調味料に変わりはないのです。

また、人への影響は問題ないとされていますが、たんぱく加水分解物は製造時に発がん性物質がつくられる危険性もあります。
無添加だから、100%安全というわけではありません。

また化学調味料や顆粒だしは、本物のカツオや昆布などから取るだしと比べて、塩分や糖分が多く含まれています。

本来、カツオや昆布から取るだしは、塩分や糖分はほぼ含まれていません。

一方、顆粒だしの主成分はカツオエキスや昆布エキスではなく、食塩や砂糖が主成分として作られています。
その塩分量は、かつお節から取っただしの約24倍もの多さだというのです。

塩分や糖分の過剰摂取は、高血圧や糖尿病などのリスクを高めます。
化学調味料や無添加の調味料が、体へ直接的な危険性は低くても、健康のためには控えるほうが無難です。

だしを取るのが面倒だという方は、カツオや昆布がパックされているだしパックを利用しましょう。

だしを取るのが面倒だという方は、カツオや昆布がパックされているだしパックを利用しましょう。

お鍋に入れるだけで簡単に本格的なだしが取れますよ。

購入の際は、塩や砂糖が含まれていない天然素材(カツオ・昆布・イワシ・シイタケなど)のタイプを選びましょう。

続いては、醤油についてです。

脱脂加工大豆しょうゆは危険?

脱脂加工大豆しょうゆは危険?

醤油で気になることと言えば、原料の大豆。
醤油の原料表示を見ると、大豆と表示されているもの以外に、脱脂加工大豆と表示されている醤油があります
大豆と脱脂加工大豆の醤油のちがいは、一体何でしょうか。

まず大豆と表示されている醤油は、大豆を丸ごと使用した醤油のこと。

一方、脱脂加工大豆は大豆に含まれる油分を搾りだした残りの大豆を利用したもの。
大豆油の搾りカスとも呼ばれ、危険視する声があります。

その理由は大豆の油分を搾り出すときに、ガソリンと同じ成分の薬品が使用されているからです。

大豆は皮が固いので油分を搾り出すために、ヘキサン溶剤という薬品が使用されるのですが、このヘキサン溶剤はガソリンと同じ成分が含まれています。
その薬品漬けになった大豆が、脱脂加工大豆なのです。

そのため脱脂加工大豆を原料とする醤油は、薬品漬けになった油の搾りカスで作られたとして危険性を問う声があります。

ただ、大豆に使用される薬品は製造工程で除去され、完成した醤油や大豆油には含まれないため、農林水産省や厚生労働省は問題ないとしています。

食品にガソリンに似た薬品が使用されている違和感や抵抗感はあるものの、丸大豆醤油よりキレのある強いうま味が特徴という良い点もあるのです。

そのため、醤油は丸大豆と脱脂加工大豆のどちらを選ぶかは、自分次第。
脱脂加工大豆の薬品による危険性は低いものの、抵抗感がある人は丸大豆醤油を選びましょう。

また、大豆は遺伝子組み換えの問題もあります。
次は、遺伝子組み換えの問題について見ていきましょう。

遺伝子組み換え大豆は、だし醤油やポン酢に使われている

遺伝子組み換え大豆は、だし醤油やポン酢に使われている

日本の大豆の自給率は6%と低く、ほとんどを輸入品に頼っている状況です。
なお、世界では遺伝子組み換え大豆が盛んに栽培されていて、日本も遺伝子組み換え大豆を大量に輸入しています。

遺伝子組み換え作物は、現段階で危険性は確認されておらず安全とされているものの、長期的な摂取や、自然界への影響を警戒する声があとを絶ちません。

そのため、日本で遺伝子組み換え作物を使用する場合は、遺伝子組み換え作物の使用有無を表示する義務が設けられています。
その表示があるおかげで、私たちは自分の意志で遺伝子組み換え作物を使用した食品を買うか買わないか決めることができるのです。

ただ醤油をはじめ、一部の食品には遺伝子組み換えの表示義務がありません。
そのため遺伝子組み換え大豆を使用した醤油があっても、私たちはわからないのです。

一般的に遺伝子組み換えに対するイメージは悪く、食品メーカーも遺伝子組み換え作物は表示義務のない食品に使用しています。
醤油も表示義務がなく、遺伝子組換え大豆が使用される危険性が高い食品です。

ところが、近年は醤油にも遺伝子組み換えの使用有無を、自主的に表示するメーカーが増えています。
遺伝子組み換えの表示があるものは、ほぼ遺伝子組み換え不使用と書かれているため、醤油の遺伝子組み換え大豆の不安は少なくなったように思えるのですが、1つ注意点があります。

それは、だし醤油やポン酢、麺つゆなど、醤油を原料とする調味料です。

それは、だし醤油やポン酢、麺つゆなど、醤油を原料とする調味料です。

だし醤油や醤油を原料とするポン酢・麺つゆなどは、原料に醤油と表示できるため、醤油の原料である大豆については何も表示されていません。

日本に流通する大豆の90%以上は輸入品で、その8割以上は遺伝子組み換え大豆と考えられています。
そのため、遺伝子組み換えの表示のない大豆製品に関しては、遺伝子組み換え大豆を使用している可能性が高いのです。

遺伝子組み換え作物による危険性は未知数ですが、だからこそ知らずには摂取したくありません。

醤油は遺伝子組み換え大豆を栽培していない国産大豆の醤油か、遺伝子組み換え不使用の表示があるものを選びましょう。

大豆の問題点を確認した次は、醤油の製造方法について見ていきましょう。

本醸造方式の醤油は、旨味成分がじっくり作られている

本醸造方式の醤油は、旨味成分がじっくり作られている

醤油の製造は、本醸造方式・混合醸造方式・混合方式の3つの方法があります。
この中で選びたいのは、本醸造方式の醤油です。

本醸造方式は昔ながらの伝統的な製法。
麹菌や酵母によって、大豆に含まれるタンパク質をじっくり発酵・熟成させ、うま味成分であるアミノ酸に変えていきます。

一方、混合醸造方式は本醸造方式のもろみ(加熱・ろ過していない醤油)に、アミノ酸液を加える製法。
混合方式は、生揚げ醤油(きあげしょうゆ:もろみを搾った醤油)にアミノ酸液を混ぜたもの。

本醸造方式は、麹菌の力で大豆に含まれるタンパク質をうま味成分であるアミノ酸に変えていましたが、混合醸造方式と混合方式では、大豆などに塩酸を加えて化学的にうま味成分のアミノ酸を抽出した、アミノ酸液が使用されています。

塩酸による体への影響は問題ないとされていますが、食品に塩酸を使用する製造方法には抵抗感があります。
問題ないとはいえ、薬品を使用せず麹菌でじっくり旨味が作られる本醸造方式の醤油を選びたいですね。

なお、現在流通している醤油は8割が本醸造方式で、商品にも製造方法は記されています。
醤油を購入するときは、本醸造方式の醤油を選ぶようにしましょう。

ちなみに、最近人気の生(なま)醤油は、生揚げ醤油をろ過した醤油のこと。
火を通していないので、生(なま)醤油と呼ばれています。

また、生タイプや旨味を売りにしている醤油の中には、本来なら醤油に含まれない砂糖や添加物などが使用されているものがあるので、製造方法を確認するときに原料表示も一緒にチェックしましょう。

美味しい醤油は、ランクで見分けられる

美味しい醤油は、ランクで見分けられる

醤油は美味しさによって、ランクが付けられているって知っていますか?
醤油は旨味の判断基準とされる窒素分の含有量や、色の濃淡でランクが付けられているため、自分で美味しい醤油を選ぶことができます。

美味しさのランクは、3段階。
下から標準、上級(優良・上撰)、特級(優秀・特醸)と区別されています。
また、特級よりも窒素分が10%以上なら特選、20%以上なら超特選と、グレードの高いものは特別表示が許されています。

大豆の種類、遺伝子組み換え使用の有無、製造方法と一緒に、醤油のランクもぜひ確認して選びましょう。

次は、味噌についてです。

味噌は高血圧・がんを予防する

味噌は高血圧・がんを予防する

塩分の摂り過ぎは体に良くないと、お味噌汁を控えていませんか?
じつは高血圧やがんの予防に、味噌が効果的という報告があります。

ある動物実験では、味噌が血圧の上昇に影響しないことが確認されました。
その実験とは、同じ塩分濃度の食塩と味噌をラットに与え、通常のエサを摂取したラットの血圧と比較したのです。

その結果、食塩を摂取したラットの血圧は上昇したものの、味噌を摂取したラットの血圧は、通常のエサを摂取したラットの血圧とほぼ変わらなかったのです。

味噌が血圧の上昇に影響しないことが確認されました。その実験とは、同じ塩分濃度の食塩と味噌をラットに与え、通常のエサを摂取したラットの血圧と比較したのです。

またラットだけでなく、人も味噌汁を1日に2杯以上飲む人は、飲まない人に比べて高血圧になるリスクが低くなることも報告されています。
味噌は高血圧の原因ではなく、高血圧予防に効果的な食品だったのです。

また国立がん研究センターでは、味噌汁を飲む人ほど乳がんになりにくいことが発表されています。

この研究では味噌汁と区別して、大豆製品(大豆・豆腐・納豆・油揚げ)の摂取量と乳がんの発生率も調べられましたが、乳がん予防との関連性がはっきり認められたのは味噌汁だけ。

味噌汁を多く飲むほど、乳がんになりにくい傾向が確認されたのです。

味噌汁を多く飲むほど、乳がんになりにくい傾向が確認されたのです。

他にも胃がんや動脈硬化、老化など、味噌によるさまざまな健康効果が確認されています。

ただ、注意したいのは味噌の品質。
味噌による健康効果は、発酵食品であることが理由の1つと考えられています。
しかし市販の味噌には、発酵作用のある乳酸菌や酵母が生きていないため、健康効果が期待できないものがあるのです。

発酵している、生きた味噌を選ぼう

発酵している、生きた味噌を選ぼう

味噌の中に含まれる乳酸菌や酵母菌は、味噌を美味しくするだけでなく、私たちにさまざまな健康効果を与える大切な成分です。

このとき重要なのは、乳酸菌や酵母が発酵し続けていること。
味噌による健康効果を得るには、乳酸菌や酵母が味噌の中で生きていなければ期待できません。

ところが、市販の味噌の中には出荷前に加熱されたり、乳酸菌や酵母の働きを止める酒精が添加されて、乳酸菌や酵母が生きていない味噌があるのです。

特に注意が必要なのは、だし入り味噌。
アミノ酸などの調味料を添加しただし入り味噌は、だしを取る必要がなく簡単に味噌汁を作れる便利な商品です。
アミノ酸などの調味料を添加しただし入り味噌は、だしを取る必要がなく簡単に味噌汁を作れる便利な商品です。

しかし、だし入り味噌は、添加した調味料が乳酸菌や酵母によって分解されないように、出荷前に加熱されたり、乳酸菌や酵母の働きを止める酒精(エチルアルコール)を添加して、乳酸菌や酵母の働きを止めています。
そのため、健康効果が期待できない味噌になっているのです。

また、だし入り味噌だけでなく無添加表示の味噌でも、加熱によって菌が生きていない味噌があります。

では、どうやって生きた味噌を見分ければいいかというと、容器にある空気孔がポイントです。

乳酸菌や酵母菌が生きている味噌は発酵し続けるため、密封していると空気が膨張して容器が破裂する恐れがあります。
そのため空気孔のある容器に入っていれば、味噌が生きている証拠になります。

逆を言えば、空気孔のない容器の味噌はすべて生きていない味噌ということ。
さまざまな健康効果を得るためにも、空気孔のある味噌を選ぶようにしましょう。

次は、お酢についてです。

お酢を飲むときの注意点

お酢を飲むときの注意点

お酢は調味料でありながら、健康食品としても扱われています。
ただ、お酢は体に良いからと原液のまま飲むのは、おすすめできません。

お酢の主成分は酢酸といって、酸味と独特な刺激臭のある酸性の液体です。
そのため原液のまま飲むと、強い酸によって食道や胃の粘膜が荒れたり、胸焼けを起こす場合があります。

飲むタイプのお酢で希釈が必要なものは、必ず薄めてから飲むこと。
特に小さな子どもや胃腸の弱い人、空腹時の摂取は刺激が強すぎるので、原液での摂取は避けましょう。

刺激に弱い人は牛乳で割れば飲みやすく、お酢はカルシウムの吸収を促進する作用もあるのでオススメです。

また、お酢は貧血を改善する作用もありますが、摂取方法を間違うと逆効果になる危険性があります。
では、その注意点について見ていきましょう。

お酢は貧血に良い?悪い?

お酢は貧血に良い?悪い?

お酢に含まれるグルコン酸は、鉄分の吸収を良くする作用があるため、鉄分不足が原因の鉄欠乏性貧血の改善に効果的です。

貧血気味の人は、1日大さじ1~3杯(15~30ml)のお酢をドレッシングや料理に使用して、摂取するように心掛けましょう。

ただし、これ以上の摂取は厳禁。
お酢は貧血予防に効果的な作用を持つ反面、大量に摂取すると赤血球を破壊して溶血性貧血を引き起こす危険性があります。

また、貧血は男性よりも女性の方が多いと思いますが、お酢は体を冷やす作用もあり、女性に多い冷え症を悪化させる原因にもなります。

お酢の良い作用だけを摂り入れるためにも、必ず摂取量は守りましょう。
また、冷え症が気になる人がお酢を飲む場合は、お湯で割って飲めば体を冷やしません。

では、お酢を選ぶポイントも見ていきましょう。

調味酢に含まれる糖分・塩分に注意

調味酢に含まれる糖分・塩分に注意

お酢の種類は、醸造酢と合成酢に分類されます。
醸造酢は一般的な食酢とされるお酢で、米などの穀類、果実、野菜、ハチミツ、アルコール、砂糖類を原料とするもの。

一方の合成酢は、お酢の主成分である酢酸や氷酢酸を水で薄めて、液体調味料や醸造酢を加えたものです。
合成酢は化学的な製法ですが、生産数が少なく家庭用にはほぼ使用されていません。

そのため、お酢の種類で問題はありませんが、注意が必要なのは調味酢です。

調味酢は、お酢のツンとした臭いや酸っぱさが抑えられていて、料理に使いやすい利点があります。
しかし、原料には通常のお酢には含まれない果糖ブドウ糖液糖や、酸味料・調味料などの添加物が含まれています。

健康目的で摂取するお酢に、砂糖が含まれていては意味がありません。
酸っぱくてツンとした臭いがあるからこそ、酢なのです。

最後は、みりんについて見ていきましょう。

みりん

みりん

砂糖とはちがう甘さや照りを出すみりんですが、調味料の中でもみりんは本物とそうでないものの差が大きい食品です。

みりんには、本みりん・みりん風調味料・発酵調味料(みりんタイプ)の3つの種類がありますが、この中で本物のみりんは本みりんだけ。
あとの2つは名前のとおり、みりん風の調味料です。

では、ちがいについて見ていきましょう。

まず、本みりんはアルコールの一種。
みりん風調味料・発酵調味料(みりんタイプ)は、非アルコール製品という大きなちがいがあります。

本みりんは、酒税法で定められた原料(もち米・米麹・醸造アルコールなど)しか使用できません。
一方、みりん風調味料と発酵調味料(みりんタイプ)は、原材料の規定は一切なし。

みりん風調味料は水あめ、果糖ブドウ糖液糖、酸味料、化学調味料などを原料とし、本みりんの原料である米や米麹は少量しか含まれていません。

発酵調味料(みりんタイプ)は本みりんと同じく、米や米麹などを主原料とするものの、化学調味料や酸味料で風味が加工されています。

発酵調味料(みりんタイプ)はまだ主原料が米や米麹ですが、みりん風調味料に至っては水あめや糖分が主原料と、似た名前にも関わらず中身は全然ちがいます。

名前に惑わされず、原料表示を確認して本物のみりんを選びましょう。

まとめ

危険なイメージの化学調味料は、国際的に安全性が認められていました。
そのため、過剰に心配する必要はなさそうです。

ただ、頭痛や緑内障への影響など不安な点もあります。
便利なアイテムではありますが、安全・安心の食事を心がけるなら、やはり天然の昆布やカツオからだしを取るようにしたいですね。

また他の調味料に関しても、原料や製法に大きなちがいがありました。
調味料だからと軽く考えず、料理に欠かせない毎日使うものだからこそ、本物の調味料を選んでいきましょう。

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