牛乳は体に悪い?骨やがんへの影響、乳糖不耐症って本当はどうなの?
牛乳といえば、骨に良いカルシウムを含む食品。
しかし、牛乳は骨粗しょう症やがんのリスクを高めるなど、体に悪い影響を疑う声もあります。
そもそも、食品が私たちの体に与える作用は研究中のものが多く、さまざまな情報が存在している状況。
とはいえ、体に悪い作用が疑われる食品を食べたくありません。
そこで、牛乳や牛乳を原料とするチーズやヨーグルトの体への影響について、調べてみました。
また、1日1個までと言われていた、卵の摂取量の制限がなくなった理由も一緒に調べましたので、乳製品や卵の体への影響や疑問点について確認していきましょう。
牛乳は、本当に体に悪いの?
まずは牛乳が体に良いのか悪いのか、チェックしていきましょう。
牛乳が体に悪いとされる主な理由は、3つ。
骨粗しょう症のリスク、がんへの影響、日本人の体質の問題についてです。
では、牛乳が与える影響について、骨粗しょう症から順番に見ていきましょう。
牛乳は骨を弱くする?
カルシウムは、骨や歯の主成分となる重要な栄養素。
牛乳をはじめ、小魚や野菜などにも含まれています。
じつは、牛乳のカルシウム量は他の食品と比べて、特別多いわけではありません。
煮干しやヒジキをはじめ、牛乳よりもカルシウムを豊富に含む食品はたくさんあります。
ただし、牛乳が他の食品よりも優れている点は、カルシウムの体内吸収量。
カルシウムは体内に吸収されにくい栄養素のため、小魚は摂取量の30~35%、野菜は20%しか体内に吸収されません。
それに比べて、牛乳のカルシウム吸収率は40~50%。
他の食品よりも吸収率が高いため、同じ量を摂取しても効率よくカルシウムを吸収できるのです。
ちなみに、カルシウムの必要摂取量の目安は、成人で1日600~650mg。
日本人はどの年代も、この必要摂取量を満たしておらず、積極的にカルシウムを摂取することが推奨されています。
なお、牛乳コップ1杯のカルシウム量は約220mgなので、3杯飲めば1日に必要なカルシウムを摂取できます。
また、カルシウム不足が原因で引き起こされる病気といえば、骨粗しょう症。
骨の内部がスカスカになり、骨折しやすくなる症状のことです。
特に、閉経後の女性は骨の減少を抑える女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が減るため、骨密度が急激に低下することから、骨粗しょう症になりやすい傾向があります。
そのため、厚生労働省は骨粗しょう症を防ぐ対策として、閉経期から閉経後の女性に毎日コップ1杯以上の牛乳・乳製品を摂取することを推奨しています。
また、高齢になれば性別に関係なく骨量が減少して骨折しやすくなることから、高齢者に対しても同じく毎日コップ1杯以上の牛乳・乳製品の摂取を促しているのです。
やはり、牛乳は骨の強化を助ける食品であるということ。
ところが、牛乳は骨粗しょう症を防ぐどころか、かえって骨粗しょう症のリスクを高めるという意見がメディアや書籍を通じて報道されたのです。
牛乳を飲むほど、骨粗しょう症になりやすい?
牛乳が骨粗しょう症のリスクを高めるのではないかという疑惑は、アメリカ人の牛乳の消費量と骨粗しょう症患者の割合によるものでした。
それは、アメリカ人は日本人の3倍も多く牛乳や乳製品を摂取しているが、骨粗しょう症患者は日本人よりもアメリカ人の方が多いということ。
そのため牛乳の摂取量が多いほど、骨粗しょう症になりやすいのではないかと、牛乳に対して疑いの声が上がったのです。
しかし、WHO(世界保健機関)や国内外の骨粗しょう症財団などで、牛乳や乳製品が骨粗しょう症を引き起こすような報告は、ひとつもありません。
さらにWHOでは、牛乳や乳製品はカルシウムの最良の補給源だと評価すらしているのです。
このことから、牛乳や乳製品は骨粗しょう症を引き起こす危険な食品ではなく、骨粗しょう症を予防する安全な食品だと判断できます。
ちなみに、アメリカ人に骨粗しょう症が多い理由のひとつとして、大腿骨の骨の一部がアジア人よりも小さく、負担がかかりやすいことが考えられています。
ただし、注意したいことが1点あります。
それは、リンの多い食品を食べ過ぎないこと。
リンは牛乳にも含まれている栄養素のひとつですが、摂り過ぎるとカルシウムの吸収を阻害する作用があります。
そのため、リンを多く含む食品は食べ過ぎないように注意しなければいけません。
リンの多く含む食べものは、煮干しやするめ、イクラなど、小魚や魚卵をはじめ、肉や豆類にも含まれています。
リン酸塩という添加物にも含まれているため、カップラーメンやスナック菓子など、添加物を使用した食品も食べ過ぎないように注意しましょう。
牛乳は、がんリスクを高める?
2つ目は、がんへの影響です。
牛乳(乳製品含む)ががんに与える影響については、研究ごとに真逆の結果が出ています。
では、研究結果について詳しく見ていきましょう。
まずは、国立がん研究センターがおこなった、乳製品と前立腺がんについての研究では、乳製品は前立腺がんのリスクを高めると報告されています。
その研究内容は、45~74歳の男性約43,000人を対象におこなわれたもの。
研究対象の男性を4つのグループに分け、乳製品(牛乳・チーズ・ヨーグルトなど)の摂取量と前立腺がんの発症率を調べました。
その結果、最も摂取量の多かったグループは、最も摂取量が少ないグループに比べて前立腺がんの発生リスクは1.5倍上昇したのです。
また、他の2グループと比較したところ、摂取量が多くなるほど前立腺がんの発生率は高くなっていたのです。
アメリカのハーバード大学の研究でも、この研究結果と同じく乳製品が前立腺がんのリスクになることが報告されています。
しかし、国立がん研究センターは今回研究した前立腺がんをはじめ、全てのがんに対して、乳製品との関係は今も研究段階でありデータが不十分として、関連づけていません。
では、他の研究ではどんな結果が出ているかというと、乳製品の摂取量が多いスウェーデンでは、牛乳の摂取量が多いほど、心筋梗塞などの心血管疾患をはじめ、全死亡リスクが高くなる結果が報告されています。
一方、日本では牛乳を全く飲まない人に比べて、月1回~毎日飲む人のほうが大腸がんや全死亡リスクは低下するという反対の結果に。
先ほどもお伝えしましたが、牛乳をはじめとする乳製品が体に与える影響は、今も研究段階であり、明確な答えは出ていません。
ただ、がんのリスクを高める結果が出たのは、もともと乳製品の摂取量が多い国が多く、乳製品に含まれる脂肪(飽和脂肪酸)の過剰摂取が影響しているとも考えられています。
飽和脂肪酸とは、お肉に多く含まれる脂肪の一種。
2016年、アメリカでは30年に及ぶ研究の結果、飽和脂肪酸の過剰摂取は死亡リスクを高めることが確認されています。
アメリカやヨーロッパに比べて、日本は肉や乳製品の摂取量は少ないです。
食べ過ぎに注意すれば、牛乳をはじめとする乳製品はカルシウムを効率的に摂取できる食品ではないでしょうか。
ところが、牛乳は体に良くても日本人は消化できないと言われています。
では、日本人の体質の問題について見ていきましょう。
日本人は牛乳を消化できない?
牛乳を飲むと、お腹がゴロゴロしたり、下痢になったことはありますか?
これは乳糖不耐症といって、牛乳に含まれる乳糖を分解する酵素(ラクターゼ)が少ないため、乳糖が十分に分解されずに起こる症状。
日本やアジアは、欧米に比べて乳製品を多く摂取する習慣がなかったため、大人になるに連れて、体内のラクターゼの量は減少する傾向があります。
そのため、牛乳を飲むと乳糖を上手く分解できず、お腹がゴロゴロする人がいるのです。
このことを受けて、日本人は牛乳を上手に消化できないから、飲んでも意味がないという意見があります。
しかし、2013年に15歳以上の男女1万人を対象にした調査結果では、牛乳を飲んでいつもお腹がゴロゴロしたり、下痢になる人の割合はわずか7%。
たまになる人でも29%と、乳糖不耐症の割合はそれほど多くなかったのです。
また、乳糖不耐症の問題は、牛乳の摂取方法を工夫すれば解決できます。
その方法とは、牛乳を少しずつ飲むこと。
一度に大量に飲むことは避け、少しずつ飲むようにすれば、乳糖は分解されやすくなります。
他には、牛乳を温めたり、ココアや紅茶などに入れるのもオススメ。
シチューなど牛乳を使った料理や、隠し味として牛乳をプラスする方法もあります。
なお、牛乳を原料とするチーズやヨーグルトは、牛乳よりも乳糖の含有量が少ない食品なので、牛乳だけに偏らず、これらの食品とバランス良くカルシウムを摂取していきましょう。
妊娠中に牛乳を飲むと、赤ちゃんはアレルギーになる?
また、妊娠中に牛乳を飲むと、赤ちゃんが牛乳アレルギーにならないか、心配なママもいるのでは。
牛乳はアレルギーを起こしやすい食品ですが、お母さん自身が牛乳アレルギーでなければ、通常に摂取する分は問題ないとされています。
牛乳は骨や歯の強化以外にも、免疫機能を高めたり、高血圧の予防、さらにはイライラや不安を和らげる効果も期待されています。
牛乳や乳製品を適度に摂取することで、妊娠中の体と心を健康で過ごせるようにしたいですね。
ただし、家系に牛乳アレルギーの人がいる場合は、妊娠8ヶ月目以降はアレルギーの抗体がつくられる時期なので、控えたほうが良いでしょう。
次は、私たちが普段飲んでいる牛乳が、どうやって作られているか見ていきましょう。
子牛が飲むお乳を、私たちは飲んでいる
ヒトと同じように牛も出産しなければ、お乳が出ることはありません。
そのため、乳用牛(ホルスタイン:白黒のまだら模様)は毎年赤ちゃんを産み、年間200日以上も搾乳されています。
乳用牛は赤ちゃんを産むと、免疫成分を含んだ特殊なお乳を50日間出します。
そのため、産後50日までは子牛がお乳を飲むので、販売する牛乳用として搾乳されることはありません。
産後50日を過ぎると、私たちが飲んでいる牛乳の成分になるため、そこから牛乳用として毎日搾乳されるのです。
そして、来年もお乳が出るように産後2~3ヶ月後には、次の出産に向けて交配させられます。
なお、乳用牛の寿命は6~7年。
牛乳の生産量が減少した頃に役目を終え、肉用として利用されます。
このように、牛のハードな一生のおかげで、私たちは牛乳を飲むことができています。
牛乳の生産方法を知ると、感謝の気持ちを忘れずに、大切に飲もうと改めて思いました。
次は、牛乳の殺菌方法や成分など、牛乳の製法についてチェックしていきましょう。
牛乳の製法によって、栄養は変わる?
牛から搾ったままのお乳を生乳といいますが、牛乳は低脂肪や成分無調整など、さまざまな種類があります。
まずは、そのちがいについて簡単に確認しておきましょう。
【牛乳の種類】
牛乳
生乳の成分調整をおこなわず、そのまま殺菌や減菌したもの
牛乳の表記しかないものは、成分無調整の牛乳
成分調整牛乳
生乳から水分、乳脂肪分、ミネラルなど乳成分の一部を除去したもの
低脂肪乳
生乳から乳脂肪分を除去し、低脂肪(0.5%以上1.5%以下)にしたもの
無脂肪牛乳
生乳から乳脂肪分を除去し、無脂肪(0.5%未満)にしたもの
成分調整牛乳はその名の通り、乳脂肪分やミネラルを調整していますが、低脂肪や無脂肪牛乳は乳脂肪分以外の成分は牛乳と同じです。
乳脂肪分が少ないほどあっさりした風味となりますが、コクを求めるなら成分無調整の牛乳に勝るものはありません。
また、生乳に含まれる微生物や菌が繁殖しないように、牛乳は殺菌や減菌の処理がされています。
殺菌・減菌の方法は下記のとおりです。
【牛乳の殺菌・減菌方法】
低温殺菌:62~63℃で30分加熱
高温殺菌:72℃以上で15秒以上加熱
超高温殺菌:UHT:120~130℃で2~3秒加熱
超高温減菌:LL:135~150℃で1~4秒減菌処理
日本に流通する牛乳の9割は、UHTと呼ばれる超高温殺菌がおこなわれています。
牛乳に含まれるほとんどの菌を死滅させるため、日持ちしやすくなります。
なお、加熱によって一部のタンパク質は変化しますが、タンパク質やカルシウムなどの栄養が減ったり、吸収率が低下することはありません。
LL牛乳と呼ばれる超高温減菌の牛乳は、密封性の高い容器に入れられていることが多く、数ヶ月保存が可能です。
また殺菌温度が低いほど、保存できる期間は短くなりますが、最も生乳の風味を壊していないのは、低温殺菌の牛乳です。
自分の好みや用途に合わせて、いろんな牛乳を飲んでみたいですね。
ちなみに、牛乳に含まれるIGF-1(インスリン様成長因子)は、乳がんの発生に影響するのではという声もあります。
しかし、日本の牛乳の9割がおこなっているUHT(超高温殺菌)後の牛乳には、IGF-1はほとんど検出されていません。
フランスの食品環境労働衛生安全庁(ANSES)は、IGF-1の血中濃度と乳がんや前立腺がんなどの罹患率は関係あるとしていますが、乳製品由来のIGF-1の影響は低いとしています。
ということは、気にせず飲んでも大丈夫そうです。
牛乳と豆乳、どっちが体にいい?
また豆乳は牛乳の代わりになるか、気になったので調べてみたところ…。
カルシウムの含有量は、牛乳100g(コップ1/2杯)あたり110mg。
一方、豆乳は100gあたり15mgと、豆乳のカルシウム量はとても少ないです。
そのため、カルシウムを補う目的では、豆乳は代わりになりません。
そもそも豆乳に含まれるイソフラボンは、カルシウムのように必須栄要素ではなく、体への作用も研究途中です。
良い作用だけでなく、悪い作用に働く場合もあるので、ときどき飲む程度にとどめておきましょう。
以上のことから、牛乳はカルシウムを摂取するためには有効な食品であること。
そして、適量であれば体に有害ではないことがわかりました。
次からは、牛乳を原料とするチーズやヨーグルトなどの加工品での、注意点や疑問点について見ていきましょう。
プロセスチーズは、チーズの本場ヨーロッパにはない
料理のトッピングに使ったり、そのまま単品で食べてもおいしいチーズ。
そのチーズの種類は主に、ナチュラルチーズとプロセスチーズの2つに分類することができます。
ナチュラルチーズは、牛やヤギなどの生乳を乳酸菌や酵素の働きで、発酵させて固めたもの。
チーズに含まれる乳酸菌は生きているので、時間が経つとともに熟成は進み、風味の変化を楽しめるのが魅力です。
モッツァレラやカマンベール、ゴーダなど、数多くの種類があります。
一方、プロセスチーズはナチュラルチーズを原料としています。
ナチュラルチーズを加熱し、乳化剤やph調整剤、ソルビン酸などの添加物を加えて、成型し直したもの。
加熱によって、ナチュラルチーズに含まれる乳酸菌は死滅するため、それ以上熟成しません。
その代わり、ナチュラルチーズよりも長期間、同じ味を楽しむことができます。
引用元:チーズクラブ・チーズの基本的製法
なお、ナチュラルチーズとプロセスチーズを区別しているのは、日本とアメリカだけです。
もともとチーズはヨーロッパ発祥の食べ物ですが、プロセスチーズの発祥はアメリカ。
保存のために誕生したのが、プロセスチーズなのです。
またプロセスチーズがアメリカだけでなく、日本でもよく食べられている理由は、プロセスチーズの方がナチュラルチーズよりも、匂いやクセが無かったから。
チーズに馴染みのなかった日本人は、熟成が日ごとに進むナチュラルチーズよりも、プロセスチーズの方が受け入れやすかったといわれています。
そのため、プロセスチーズはアメリカや日本ではよく食べられていますが、ヨーロッパでチーズと言えばナチュラルチーズのことで、プロセスチーズはほとんど食べられていません。
なお、プロセスチーズに含まれる乳化剤には、リン酸塩が含まれていることがあります。
リン酸塩は過剰摂取すると、カルシウムを体外へ排出させる作用があるため、摂り過ぎには注意したい添加物です。
同じチーズを食べるなら、添加物の含まれていないナチュラルチーズを食べたいですね。
では、チーズを食べる上で、注意しなければいけないことってあるのでしょうか?
乳糖不耐症の人も、チーズはOK
先ほど、牛乳を飲むとお腹がゴロゴロする乳糖不耐症についてお話しましたが、乳糖不耐症の人でもチーズは安心して食べることができます。
そもそもお腹がゴロゴロする原因は、牛乳に含まれる乳糖を上手に分解できないから。
しかし、チーズを作る際に出る水分(ホエイ)に乳糖はほとんど移行するため、チーズに乳糖はほとんど含まれていません。
そのため、お腹の不調を心配することなく、チーズは食べることができます。
ただし、チーズを食べ過ぎると体質によっては、頭痛や吐き気が起こる場合があります。
これは、チーズに含まれる成分(チラミン)が原因。
チラミンは体内に蓄積されると血圧を上昇させて、頭痛や吐き気を誘発する作用があります。くれぐれも食べ過ぎには注意しましょう。
チーズを食べると、脂肪が燃える
また、チーズは太りやすいイメージがありますが、じつはダイエット効果が期待できる食品です。
ある研究では、チーズを食べさせたラットと、食べていないラットの健康状態を調べた結果、チーズを食べたラットは食べていないラットに比べて、血中の中性脂肪やコレステロール、内臓脂肪が減少したのです。
これはチーズに含まれる、ビタミンB2やB6の影響が考えられています。
ビタミンB2は、体内の代謝を促して脂肪燃焼に働きかける作用があり、ビタミンB6も血流を整える作用があります。
ただ、チーズを使った料理といえば、ピザやグラタンなど。
これらの料理は、小麦粉やジャガイモといった糖質を多く含む食品が使用されています。
糖質は摂り過ぎると、体内にインスリンが大量に分泌されます。
インスリンは脂肪の分解を抑えるだけでなく、脂肪を体内に蓄積する作用があるホルモンです。
チーズ料理に含まれる食材を食べ過ぎると、反対に太ってしまう場合があるので注意しましょう。
また、チーズにはビタミンCが含まれていないので、チーズだけでダイエットをおこなうとビタミンC不足になります。
栄養が偏らないように、野菜も食べることを心掛けましょう。
チーズのカビは、なぜ安全?
食べ物にカビが生えると、腐敗を意味するため食べることはできません。
しかし、チーズにはブルーチーズの青カビやカマンベールの白カビのように、カビの生えたタイプが多くあります。
なぜ、チーズはカビが生えても食べられるのでしょうか。
その答えは、チーズなど食用に使用されるカビの多くは、毒性が無いように改良して培養されているから。
お餅やパンなどに自然発生するカビとは、全く別物なのです。
ただし、チーズをお家で保存している間に発生したカビは、食べてはいけません。
チーズの表面に生えたカビは、乳酸菌によって中までは浸透していないので、カビの部分を取り除けば、食べることができます。
カビの部分をカットするか、オリーブオイルでカビを拭き取ってから食べましょう。
続いて、ヨーグルトについて見ていきましょう。
乳酸菌より、ビフィズス菌入りのヨーグルトを選ぶ
ヨーグルトといえば、お腹の調子を整えるヘルシーな食品。
ただ、各メーカーでヨーグルトに含まれる乳酸菌の種類はちがうため、どのヨーグルトを選べば良いか、よく分かりません。
そこで、ヨーグルトに含まれる乳酸菌の種類や働きについて、見ていきましょう。
ビフィズス菌と乳酸菌のちがい
ヨーグルトに含まれる菌は、大きく2種類に分けることができます。
それは、ビフィズス菌と乳酸菌。
どちらも整腸作用のある菌なので、ヨーグルトの種類に関係なく便秘の改善が期待できるのですが、その効果には大きな差があります。
じつは、便秘解消には乳酸菌入りのヨーグルトよりも、ビフィズス菌入りのヨーグルトの方が効果は高いと言われているのです。
その理由は、ヨーグルトに含まれる菌の種類。
そもそも、市販のヨーグルトに含まれる乳酸菌の種類は、ブルガリア菌とサーモフィラス菌の2つがほとんどです。
各メーカーはこの2つの乳酸菌に、ガセリ菌やBB-12など別の乳酸菌を独自に加えて、特性を出しているのですが、ビフィズス菌入りのヨーグルトもその内の1つなのです。
そのため、ビフィズス菌入りのヨーグルトには乳酸菌(ブルガリア菌・サーモフィラス菌)も含まれているため、ビフィズス菌入りのヨーグルトの方が整腸作用は期待できるということ。
さらに、ビフィズス菌からつくり出される酢酸は強い殺菌力があるため、O-157などの感染を予防。
腸の粘膜を保護する作用もあり、栄養素の吸収を高めるなど、整腸作用以外の効果も期待できます。
以上のことから、ヨーグルトを選ぶならビフィズス菌入りのヨーグルトをオススメします。
乳酸菌やビフィズス菌には相性がある
とはいえ、ヨーグルトを毎日食べているけれど、便秘がちっとも治らない人もいるのでは?
それはヨーグルトに含まれている乳酸菌やビフィズス菌が、自分の体質に合っていないから。
じつは、乳酸菌やビフィズス菌には相性があるため、相性が悪ければいくら食べても効果は期待できません。
そのため同じヨーグルトを2週間食べ続けて、何も変化が起きなければ、別のヨーグルトを試してみましょう。
まずは、ビフィズス菌入りのヨーグルトを試してみてください。
先ほどもお話しましたが、ビフィズス菌は乳酸菌よりも整腸効果が高いため、便秘改善の効果が期待できます。
また、乳酸菌はヒトや動物の腸内だけでなく、自然界や発酵食品などにも存在していますが、ビフィズス菌は主にヒトや動物の腸内にしか存在しません。
ヒト由来のビフィズス菌なら、安心して試すことができそうです。
下記は、代表的なヨーグルトメーカーの菌の種類なので、ぜひ参考にしてください。
【森永 ビヒダスヨーグルト】
ビフィズス菌の種類:ビフィズス菌BB536
健康な乳児から発見された、ヒト由来のビフィズス菌です。
便秘だけでなく、下痢を改善する効果も確認されています。
他にも、がんや感染病の予防、アレルギー症状の軽減などが報告されています。
【小岩井 生乳100%ヨーグルト】
ビフィズス菌の種類:ビフィズス菌BB-12
腸に付着しやすく、腸内に長く留まるビフィズス菌です。
腸内環境を改善する作用のほかに、免疫力を高める効果があります。
原料は、生乳(牛から搾ったままのお乳:殺菌済)のみを使用。
混じりっけなしのヨーグルトを味わえます。
【雪印メグミルク ナチュレ恵】
ビフィズス菌の種類:ビフィズス菌SP株
乳酸菌の種類:ガセリ菌SP株
ビフィズス菌SP株は、ヒト由来のビフィズス菌。
ガセリ菌SP株は、日本人由来の乳酸菌です。
ガセリ菌SP株は、内臓脂肪を減らす作用もあります。
【ダノン ビオ】
ビフィズス菌の種類:ビフィズス菌BE80
発酵乳由来のビフィズス菌。
胃酸などに負けない酸耐性が高く、大腸まで生きたまま届きます。
しかし、砂糖不使用のプレーンタイプでも、増粘剤の添加物が含まれている点が残念です。
【明治 ブルガリアヨーグルト】
乳酸菌の種類:LB81(ブルガリア菌・サーモフィラス菌)
今回比較する5社の中で、ビフィズス菌が含まれていない唯一のヨーグルト。
整腸作用による便秘解消や美肌効果が期待できます。
他に、胃がんや胃潰瘍の原因とされる、ピロリ菌に対抗する乳酸菌を含むLG21や、インフルエンザの予防効果が期待できるR-1などの種類もあります。
いろんなヨーグルトを試して、自分に合うヨーグルトを見つけましょう。
では最後に、日本人がよく食べる卵について見ていきましょう。
卵は摂取量より、生食に注意!
私たち日本人は、1人あたり年間で約330個の卵を食べています。
これは1位のメキシコ、2位のマレーシアに次いで、世界で3番目に多い消費量。
なお、卵は1日1個しか食べてはいけないと言われていましたが、2015年にその勧告はなくなっています。
以前まで、卵はコレステロールを増やす食品として注視されていました。
卵を食べ過ぎることで体内のコレステロール値が上昇すれば、動脈硬化のリスクが高まると考えられていたからです。
しかし、アメリカの心臓協会は、食事由来のコレステロールと血中のコレステロールの関係に、科学的な根拠はないと報告。
この報告を受けて、アメリカ政府はコレステロールの摂取制限を2015年2月に撤廃したのです。
それにともない、2015年4月に厚生労働省もコレステロールの摂取制限を廃止。
そのため、卵は1日1個までという呼びかけも無くなったのです。
そもそも、コレステロールの8割は体内でつくられていて、食品はほとんど影響していませんでした。
卵の摂取制限は、全く意味がなかったのです。
それよりも私たちが注意しなければいけないのは、卵の生食です。
卵かけご飯など、日本人は生卵を食べる機会が多いですが、じつは卵を生で食べることはリスクを伴っています。
卵による食中毒
生卵を食べる時に気をつけたいのが、サルモネラ菌による食中毒です。
サルモネラ菌は、エサと一緒に鶏の体内に入って保菌されます。
そのため、卵の殻にもサルモネラ菌が付着している恐れがあり、1万個に1個は汚染されているというデータも。
1万個に1個の確率なら、心配ないようにも思えます。
しかし、2015年に発生した食中毒野中でサルモネラ菌による食中毒は、ノロウイルス、カンピロバクターに次いで、3番目に多く発生しているのです。
そのため、卵を食べるときは食中毒に注意する必要があります。
サルモネラ菌は熱に弱いため、75℃以上で1分以上加熱すれば、菌は死滅します。
卵を調理する場合は、十分火を通すようにしましょう。
また生食するなら、卵の保存状態、賞味期限に注意すること。
卵の賞味期限は、生食できる期限が表示されています。
そのため期限内の卵であれば、原則問題ないということ。
ただし、保存状態が悪ければ、安全性は保証されません。
サルモネラ菌を増殖させないためにも、卵は10℃以下の保存が基本です。
保存温度が高ければ、生食できる期間はどんどん短くなるので、必ず冷蔵庫で保存しましょう。
なお、スーパーでは常温で販売しているところも多いですが、冷蔵販売している店舗の方が安心です。
ちなみに、卵を割ったときに鮮度を見分けるポイントがあります。
それは白身の状態。
黄身がぷっくりと立体的なことはもちろんですが、黄身を囲うように白身も少し立体的になっていれば、鮮度が高い証拠です。
反対に、白身が流れて広がるものは鮮度が落ちています。
期限内でも加熱して食べるほうが安全。
また、殻の割れた卵も期限に関係なく、火を通して食べましょう。
鶏はメスだけでも卵を産む
では、私たちが食べる卵はどうやって、確保されているのでしょうか。
じつは、鶏はメスだけでも卵を産むことができます。
そのため市販されている卵は、メスだけで産卵された無精卵のものがほとんど。
有精卵の表示がない限り、市販の卵は温めてもヒヨコにはなりません。
採卵用の鶏は、年間300個以上も卵を産みます。
多くの鶏舎は、ほとんど身動きが取れない狭い空間で飼育されているのが現状です。
採卵用の鶏舎
また、秋から冬の2~4ヶ月は卵を生まなくなり、新しい羽に生え変わる(換羽)期間があります。
しかし産卵時期を操作するため、強制的に羽をむしり人工的に換羽するところもあります。
採卵用の鶏の寿命は、わずか2年。
肉用鶏(ブロイラー)よりも肉質が固いため、ミンチや加工品に利用されます。
ちなみにEUでは、閉じ込められた鶏が産む卵は健康的ではないとして、2012年に採卵用の鶏のケージ飼育を禁止しています。
日本でもカゴに入れず、ある程度の範囲の中で放し飼いにしている平飼いや、日中は屋外に放し飼いにしている農場もあります。
そういった農家が増えるためにも、できる限り自然な方法で飼育されている鶏の卵を選んでいきたいですね。
赤玉と白玉のちがい
また、卵には殻の白い白玉と茶色がかった赤玉があります。
なんとなく赤玉の方が良いイメージがありますが、卵の殻の色は鶏の羽の色が影響しているだけ。
昔、採卵と肉用を兼ねていた鶏の卵が赤玉だったため、赤玉のほうが良いイメージが広がったと言われていますが、殻の色によって栄養に違いはありません。
なお、赤玉を産む鶏は白玉を産む鶏に比べて、エサを多く食べる割には産卵率が低いこともあり、赤玉のほうが値段は高い場合もあります。
また、卵の黄身はエサの色が反映しています。
エサにトウモロコシやお米の多いと、白っぽい黄身。
パプリカが多いとオレンジ、草をよく食べると黄色とのこと。
殻と同じく、黄身の色でも栄養に差はありません。
まとめ
牛乳の有害説はずっと気になっていたことでしたが、牛乳は骨を強くする体に良い食品でしたね。
ただ、卵がコレステロールと関係無かったことが2015年に分かったように、食品が体に与える影響はまだまだ解明中のものが多いです。
そのため、体に良いとされる食品でも食べ過ぎるのは良くありません。
牛乳だけでなく、いろんな食品をバランス良く摂取するように心掛けていきましょう。